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「いや、すげーの。マジで真っ白。超綺麗だった」
と驚いたり笑ったり表情豊かに話す耀優(よう)。
「耀優くんより派手は髪の先輩もいるんだね。あ、でもどうなんだろ。白よりピンクのほうが派手かな」
「いや、白のほうが派手でしょ。ピンク髪は最近割といるし。ま!オレより似合うやつはいないけどねっ」
と言う耀優にクスッっと笑う姫好(きい)。
「でも、どうやってんだろうね。そんな綺麗な白にするの」
と自分の黒髪を見ながら言う姫好。
「まあぁ〜、とりま限界までブリーチして、そんでムラシャンとか?
でも本人に聞いたわけじゃないし…。ま、でも白にするにはとりまムラシャンとは聞いたことある」
「ムラシャン?」
「紫のシャンプー。なんか、ブリーチして紫入れると白んなるらしい。原理はよくわかんないけど」
「へぇ〜」
「あ、そんときも天のお兄さんいたわ」
「そうなんだ?前にも会ったって言ってたよね。須木弁(スギべ)くんのお兄さんってどんな人なの?」
「どんな人…。なーんか、真面目そーな人?」
「へぇ〜。意外」
「な」
と姫好に向かってニカッっと笑う耀優。
黄葉ノ宮高校の制服の耀優と猫井戸高校の制服の姫好が並んで歩いている。
ピンク髪でピアスのチャラい耀優と黒髪清楚の姫好。一見正反対だが、両想いの好き同士。
ほぼ毎朝待ち合わせをして、ほぼ毎朝一緒に登校している。しかし高校が違うので、もちろん校門前まで。
「じゃあね、耀優くん」
「おう!また後でLIMEする!」
「うん。見れるかわかんないけど」
「ま、空き時間にでも見てよ。じゃ、また」
「うん」
手を振る耀優に手を振る姫好。猫井戸高校の制服が集まる猫井戸高校の校門前で
黄葉ノ宮高校の制服のピンクの髪の生徒に手を振る姫好は目立った。
「姫好ちゃん、おはよう」
黒髪ショートの女子が姫好に話しかけてくる。
「あ、舞桜(まお)ちゃん。おはよう」
彼女は真壇田(まだんだ)舞桜(まお)。姫好のクラスメイトである。
「あの人が噂の彼ピ?」
「うん。ん?噂って?」
「割と学校で噂になってるよ?他校のヤンキーと付き合ってる1年生がいるって」
「ヤンキー?耀優くんはヤンキーじゃないよ」
「まあ、姫好ちゃんがヤンキーと付き合うことはないだろうからヤンキーではないだろうし
ただの陽キャってのはあの笑顔見たらわかったけど、でも噂ではヤンキーってことになってるよ」
「そんな噂になってるの?」
「なってるねぇ〜。そりゃー他校の、あんな派手な陽キャと毎朝登校してたら噂にもなるでしょーよ」
「ま、それもそうか」
なんて話ながら昇降口に向かっていった。
耀優はワイヤレスイヤホンをつけて黄葉ノ宮高校に向かう。
校門から高校の敷地内に入る。するとドーン!と吹き飛ばされる。
黒髪に見えるが太陽の光の反射で綺麗な青が浮き出る
ダークブルーの髪をした男子が耀優にタックルしてきたのだ。
「いってぇ」
ワイヤレスイヤホンを外す。
「おはぁ〜」
そのダークブルーの髪をした男子が笑顔で挨拶してくる。
「おはぁ〜」
耀優は若干ムッっとした顔で返す。
ダークブルーの髪をした彼は千石(せんごく)夜輝(やき)。耀優のクラスメイト。
「朝からタックルかましてくんなよ」
「いやぁ〜すまんすまん」
笑顔で後頭部を掻く夜輝。
「今日も彼女を送ってから来たんすか」
「そうよー?」
「ラブラブっすか」
「ラブラブっすね」
「ふぅ〜!爆発しろやぁ〜」
笑顔で言う夜輝。
「笑顔で言うとなんか恐ぇわ」
なんて話ながら昇降口に入り、下駄箱で上履きに履き替える。
耀優も夜輝も、陽キャラか陰キャラかでいったら、ゴリゴリの陽キャラなため
廊下ですれ違う同じクラスの人からも他クラスの人からも
「耀優!夜輝!おはー!」
とか
「丘瀬(おかせ)、千石、おはよー」
とか、男女関係なく挨拶される。教室に入るとすでに天がいた。
「あぁ〜まねぇ〜」
「おぉ、耀優に夜輝、おは」
「おはぁ〜」
「おっはぁ〜」
「なに?2人で登校なんて珍しいじゃん」
「別に?校門で会っただけぇ〜」
「「なあぁ〜?」」
「息ピッタリかよ」
なんて話して盛り上がっていると担任の先生が入ってきて朝のホームルームが始まった。
ホームルーム中、机の教科書などを入れるための部分の手前、太ももの上でスマホをいじる耀優。
姫好「今日も送ってもらってありがとう!
なんかうちの高校で耀優くん噂になってるっぽい」
と姫好からLIMEが来ていた。
噂?
と思い返事をする。
耀優「噂?どんな噂?」
と送るが、黄葉ノ宮高校がホームルーム中ということは猫井戸高校もホームルーム中。
しかも姫好は真面目なほうなので、ちゃんと先生の話を聞いているため
黄葉ノ宮高校のホームルームが終わるまで姫好から返信は来なかった。1時間の用意を始める教室内。
「…あれ?待って。ヤバ。今日の2時間目って」
と少し焦り気味に言う耀優。
「ん?数学だけど」
「え。待って。ヤバい。プリント提出あったよな?」
「あったよ?」
「オレは今朝写させてもらった」
「オレは昨日のうちに写して」
机の、教科書などを入れる部分に手を入れ、プリントを出し
「ここに入れといたわぁ〜」
と言う夜輝。そんな2人を他所に、スクールバッグの中を漁る耀優。
「なに?耀優忘れたの?」
と笑う天。
「つかなんで持ち帰った?」
と言う夜輝。
「たしかに。持って帰るもんなんてないだろ」
実際、筆箱、ペンケースも教科書もノートもほとんどロッカーに置いている。
スクールバッグやリュックに入っているのは、謎のプリントの入ったクリアファイルや
ゲーム機、お弁当ならお弁当、少し寒い日ならマフラーなどしか入っていない。
イスに座るときに邪魔するになるので、財布を入れるくらい。
クリアファイルの中を探すが、クリアファイルに入っているのは
入学式後にもらった謎のプリントや、たまに朝に配られる謎のプリントが3、4枚だけ。
何回探しても数学のプリントはなかった。
「ヤバい。家かも…」
「はい終わったー。殺されるー」
「二宮マジで恐いらしいからな」
ここで話に出た「二宮」とは黄葉ノ宮高校の数学科教師。授業中寝たり、スマホをいじったり
授業に関係ないことを喋ったり、宿題を忘れたりすると恐いと有名。
「うっわ。終わった…」
「なんで持って帰った?家でやりもしねぇのに」
「いや、彼女に教えてもらおうと思って」
「「はあぁ〜?」」
天と夜輝の声が合う。
「いやぁ〜、さーせんさーせん」
とニマニマしながらヘコヘコ謝る耀優。
「マジで爆発しろ」
「それな」
「てかそんな場合じゃねぇわ」
「もう怒られろよ。リア充すぎてウゼェし」
「それな。二宮に死ぬほど怒らろよ。オレら笑ってるから」
「マジふざけんな。夜輝、チャリ鍵貸して」
「は?今から取り行くん?」
「チャリならよゆーで間に合うから」
「ま、いいけど」
と夜輝がポケットから自転車の鍵を出し、耀優に投げる。
「さんきゅ」
と言いながらキャッチする耀優。
「え、オレも行くわ」
と天が言う。
「は?なんで?」
「いや、…なんとなく?」
「授業サボりたいだけだろ」
「行こうぜ行こうぜ」
「は?ならオレも行きたいんだけど」
ということでクラスメイトに「具合悪いから保健室いるって先生に言っといて」と伝え
3人で、耀優の家にプリントを取りに、もとい1時間目をサボることにした。
天は天の自転車に乗り、夜輝は夜輝の自転車に乗り
耀優は夜輝の自転車の後ろの荷物を置くための部分に跨るように座って走っていった。
※1人乗り用自転車の成人の2人乗りは法律で禁止されており
軽車両積載量制限違反として罰金の対象となりますのでマネをしないように。
あと授業をサボるのも極力やめましょう。
自転車に乗って耀優の家に向かう3人。途中で前方に制服警察官が自転車に乗っている後ろ姿が見えた。
「警察警察」
と天が言って耀優が走ってる自転車からパッっと降りる。
しかし天も夜輝も自転車から降りることはなくサーッっと走っていく。なので耀優も軽く走ることになった。
「ちょっ…待っ…はえー…って…」
2人の自転車を追いかける耀優。自転車に乗っている制服警察官も
まだ時間も早いし、遅刻しただけかもしれない。と思い声はかけなかった。耀優の家の前に着き
「ちょ待ってて。ソッコー取ってくるから」
ということで、天と夜輝は耀優の家の外で待つことに。
「天は耀優と中学から同じなんだろ?」
「そー」
天は自転車のハンドルにもたれかかるようにして言う。
「耀優ん家(ち)行ったことある?」
「あるよー。なんで?」
「いや?ま、なんとなく。てか耀優の彼女ってさ」
「猫(猫井戸高校の略称)よ」
「っしょ?なんで?」
「なんで?同中(おなちゅう(同じ中学))だったからね」
「てことは天も知ってるってことっしょ?」
「まあぁ〜…」
微妙な反応をする天。
「なに。一緒のグループだったんじゃないの?」
「いや?全然」
「え。もしや他クラス女子?まあぁ〜うち(黄葉ノ宮高校の耀優たちのクラス)でも
もうクラス代表みたいな存在になってるしなぁ〜。
他クラスのやつとも交流あるし。まあぁ〜モテんだろうな、耀優は」
「まあ、モテなくはぁ〜…なかったと思う。んなこと言ったら夜輝もじゃね?」
「え?まあ、彼女はいたけど、別にモテはしなかったぞ?」
「嘘つけよ。1軍トップだろ?」
「んん〜…トップ…。いや、別にオレは軍分けしてなかったしなぁ〜」
「あぁ。オレと耀優も同じタイプ」
「マジ?」
「マジ」
「イエェ〜イ」といった具合にグータッチをする天と夜輝。
「気にしねぇよな?別に一軍とか二軍とか」
「いないしない。耀優もしないからこそあの子と付き合ったんだろうな」
「ん?え?もしかして陽キャタイプじゃない子?」
「全然。静かぁ〜な子」
「へぇ〜。意外。可愛い?」
「…可愛いー…かったよ?プリパニ(プリント カンパニーの略称)ではだけど」
「同中なら実物見てんだろ」
「…可愛いー…んじゃない?正味覚えてないんよな」
「んだよっ。ま、でもいるよな?静かだけど可愛い子」
「そう!いるんよ!たぶんそのタイプ」
「へぇ〜。めっちゃ気になる」
と話していると
「おぉ〜またぁ〜」
と耀優が出てきた。
「あった?」
「あったあった。テーブルの上に出しっぱだった」
「バカじゃん」
「うるせぇ」
と言いながら夜輝の後ろに座る耀優。
「猫って近い?」
と後ろの耀優に聞く夜輝。
「ん?なんとも言えん。遠くはないんじゃね?」
「天知ってる?」
「あぁ」
「先導よろ」
「オーキードーキー」
「は?どーゆーこと?」
という耀優を乗せて天の後をついて走る夜輝。そして学校が見えてきた。
「ここぉ〜」
と言う天。
「あぁ〜ねぇ〜。てかなんかやってんじゃん」
「体育じゃね?」
「しかも女子じゃね?」
自転車を止める天と夜輝。校門からチラッっと覗く3人。側から見たら通報待ったナシである。
「あ、姫好じゃん」
「え、マジ?」
「彼女?どれどれ?耀優、手ー振れ、手」
と夜輝に言われて手を振る耀優。
1時間目は体育の授業で、走り高跳びや50メートル走など、陸上の様々な競技をするところだった。
先生はいろんなところに顔を出して、生徒と仲良く話していたりした。
50メートル走を走り終えて、少し休憩していると、トントンと静葉に肩を叩かれた。
「ん?」
「あれ、丘瀬くんじゃない?」
と言われて
「え?」
と静葉が指指すほうを見た。
すると耀優くんや須木弁(スギべ)くん、あともう1人青い髪の人が校門から覗いていて
耀優くんと目が合ったら、耀優くんが笑顔でこちらに手を振ってきた。なので私も小さく手を振り返した。
「え。姫好ちゃんの彼ピじゃん。なにしてんの?」
と舞桜ちゃんに言われて
「さあ…」
としか答えられなかった。だって本当に知らないから。
「おサボり?」
「だろうね」
「ヤンキー説あながち間違ってない説」
「それは間違ってる。って私は言うけど、あれ見たらそう言われても仕方ないね」
姫好がこちらに手を振り返してくれた。
「え、あれ?」
と姫好のほうを見ながら耀優に聞く夜輝。
「そ」
「あぁ〜…。あんな顔だったかも…」
と呟く天。
「…遠すぎてあんまわかんねぇけど、可愛い…かも」
「可愛いわ。ほら、満足したんなら戻るぞ」
と耀優に言われて自転車に跨る天と夜輝。そして夜輝の後ろに跨る耀優。そして3人は黄葉ノ宮高校に戻った。
1時間目の途中で学校に戻れて、保健室の先生に事情を説明して口裏を合わせてもらうようにお願いして
1時間目の最後のほうで教室に戻った。無事2時間目の二宮先生の数学の授業、怒られずに済み
2時間目と3時間目の間の時間。スマホを見ると姫好からLIMEが届いていた。
姫好「なにしてたの?」
1時間目と2時間目の間に届いていたが
数学の時間はさすがにスマホを見れなかったので気づけなかったのだ。
通知をタップして姫好とのトーク画面に入って返信をする。
耀優「姫好と一緒にやった数学のプリント家に忘れてさ。取り行ってた」
「その帰りに友達が猫行きたいっていうから少し寄ったw」
と耀優くんからメッセージが届いた。
「彼ピから返事来た?」
と舞桜ちゃんに聞かれて
「あ、うん。家にプリント取りに戻ってたんだって。その帰りだったっぽい」
と答えた。
「あーね。にしても授業中に」
と笑う舞桜。
「たしかに…」
姫好も苦笑いをした。授業も過ぎていき、黄葉ノ宮高校も猫井戸高校もお昼ご飯の時間に。
姫好は中学からの友達である静葉と、高校で友達になった舞桜と机を寄せ合ってお昼ご飯を食べることに。
「姫好ちゃんと姫好ちゃんの彼ピとは同中だったんでしょ?」
と舞桜が静葉に聞く。
「うん」
「彼ピどんな人?」
「どんな…。とくかくクラスの中心だった。ね」
と姫好に同意を求める静葉。
「うん」
「おぉ〜。The 陽キャだ」
「そう…だね?」
「うん」
「あと優しかった」
と静葉が言う。
「ほお。たとえば?」
「たとえば?」
と舞桜に聞かれて少し戸惑うが
「えぇ〜っとね、移動教室で私が筆箱忘れて教室に取りに戻ったのね?」
と話し始める。
「移動教室で筆箱忘れる?」
舞桜が笑いつつ驚く。
「静葉はちょっと抜けてるとこがあって」
と姫好に言われて少しムッっとした顔を向ける静葉。
「あぁ。萌えタイプだ。で?」
「それでたまたま丘瀬くんも忘れ物?かなんかで教室にいて、筆箱のチャック閉めるの忘れてて」
「たしかにちょっと抜けてる」
「床にペンやらなんやらが散らばっちゃって」
「拾ってくれたんか」
「そう。教室内でも距離あったりするときあるじゃん?」
「あぁ、はいはい。わかるわかる」
「そのときも、私と丘瀬くん、距離離れてたんだけど、ガッシャーンって音で小走りで来てくれて」
「あらカッコいい。てかそんなガッシャーンなんて音出るほど盛大に落としたんだ?」
クスッっと笑う舞桜。
「落としてしまいました…」
「優陽(やさよう)キャかぁ〜。優良物件だ?」
「このやろぉ〜」的な表情をして姫好を見る舞桜。
「うん。…すごく優しい人」
と好きになったときのことを思い出しながら言う姫好。しかしどこか、なにか複雑な心境が混じってきていた。
「おぉ?惚気かぁ〜このこのぉ〜」
「違う違う!」
と話していると姫好のスマホに電話がかかってきた。
「顔見えんかったぁ〜…」
イスを後ろに傾けて言う夜輝。
「まあ。遠かったしな」
「なんだっけ?苗字」
「姫好の?」
「そ」
「本所塀(もとべ)」
「本所塀さんかぁ〜…。あんま覚えてねぇんだよなぁ〜」
「しゃーなくね?天と耀優は一軍グループで、耀優の彼女はそのグループじゃなかったんしょ?」
「でも天もクラスのみんなと仲良しタイプだったじゃん」
「耀優ほどじゃないけどな?」
「いや、オレも全員の名前と顔覚えてるかって言われたら覚えてはないよ?」
「オレもだわぁ〜…。明るい系の女子とかは覚えてんだけどなぁ〜…。なんでだろ」
両手で後頭部支えるようにして言う夜輝。
「関わる機会が多かったからじゃね?単純に」
天が答える。
「それか!」
「ま、あとは一軍女子は明るいから目立ってたからとか」
「ま、それもそうか。あぁ〜、オレも中学んときの彼女と今も付き合ってたらなぁ〜。
耀優みたいに自慢できんのにぃ〜」
「別に自慢してねぇよ」
「あ!」
とイスを後ろに斜めにしていた夜輝が体重を前にかけて、ガタン!とイスを元に戻し
今度は前のめりに、机に両肘をつけ
「電話して!」
と耀優に言う。
「は?」
「ビデオ通話。顔見して」
「いや、プリパニ(プリント カンパニーの略称)でよくね?」
「いや、プリパニは盛られてる。ブスでも割と可愛くなるから」
「酷ぇ言い様だな」
「ほれ。はよ」
と夜輝に言われて渋々ビデオ通話をかける耀優。
「お。出た」
姫好は出たものの、ビデオ通話ではなく音声通話をして電話に出たため、相手画面には顔は映っていなかった。
「よ、耀優くん?どうしたの?」
「あぁ、ごめんごめん。友達がかけろって」
「本所塀さん!須木弁(スギべ)です!ひさしぶり!」
姫好の画面には天が映り込む。
「あ、須木弁くん、ひさしぶり」
「おぉ。陽キャ2(ツー)」
と舞桜が呟く。
「ひさしぶりってことは静葉とも?」
「うん。同じ中学」
「はあぁ〜」
「ちはーっす。耀優がお世話になってます!」
今度は夜輝が映る。
「うるせーよバカ」
耀優の声も聞こえる。
「あ、こんにちは」
「すごいね。画面でも伝わるThe 陽キャ感」
と舞桜が呟く。頷く静葉。
「顔が見たいんだって」
と耀優に変わる画面。
「顔?」
「プリパニでいいじゃんって言ったんだけど、実物はブs」
「もぉ〜っと!可愛いんじゃないかって!」
と夜輝が被せて言う。
「だから一瞬。一瞬でいいからビデオ通話にしてくんない?」
と言われて困る姫好。お箸を口に咥えて、姫好のスマホを持ち上げ
画面を姫好のほうに向けて、ビデオ通話のボタンを
「えいっ」
っとタップする舞桜。
「え!?舞桜ちゃん!?」
と焦る姫好の顔が画面に映った。
「お!」
と言う声に
「映った?」
と覗き込む天と夜輝。
「おぉ!え!めっちゃ可愛いじゃん」
と言う夜輝。
「千石夜輝でーす。よろしくねぇ〜」
と手を振る夜輝。
「ホストかよ」
とツッコむ耀優。
「あ、本所塀姫好です。よろしくお願いします」
と控えめに手を振り返す姫好を見て
あぁ、こんな顔だったか
と思う天。
「はい。もういいだろ?」
「えぇ〜。もうちょいよくね?」
「姫好も友達と昼食べてるんだろうから」
「あ、そっか」
「じゃ、ごめんね姫好」
「あ、ううん。全然大丈夫。ビックリしたけど」
「じゃ、また後で」
「うん」
「大好きだって!」
「うるせぇよ。じゃあね」
と耀優が言って通話は切れた。
「めちゃ陽キャ」
舞桜が言う。
「うん」
「昼にビデオ通話かけてくる時点で激陽キャ」
頷く静葉。
「めっちゃ綺麗なピンク髪なんだね」
「すごいよね」
「中学のときから?」
と言う舞桜に
「まさか」
と笑う姫好。
「中学卒業して、脱色して染めたらしいよ」
「ほおぉ〜。てか友達2人もすごいね。青髪に茶髪。しかも3人とも漏れなくピアスしてたし。超陽キャ」
「だね」
「私とは一生縁のない人種だと思ってたけど、友達の彼氏がそうだとは」
「私も一生縁ないと思ってたよ」
と言う姫好にニマニマする舞桜。
「え。めっちゃ可愛かったじゃん」
と言う夜輝。
「だから言っただろ。可愛いって」
「へぇ〜。地味な子の中にはダイヤの原石がいるっていうけど、あれガチだったんだなぁ〜。
オレも原石見つけようかな」
と言う夜輝。
「めっちゃひさしぶりに見たわ」
「天は誰か女子と連絡取ってないん?」
「いや、誰とも。てか女子って割と白状じゃね?高校変わった瞬間に連絡ほぼねぇじゃん」
「ま、関わるグループ変わるからだろ。馴染むのに大変なんじゃね?」
「まー、女子のほうがグループ内でのあれこれ、いろいろ大変らしいからな」
なんて話してお昼ご飯の時間、お昼休憩の時間が終わり、午後の授業へ。
午後の授業も終わり、帰りのホームルームも終わり、教室内は速攻で帰る生徒、部活へ向かう生徒
教師になにかを聞きに行く生徒、友達と駄弁る生徒で賑わい始めた。それは黄葉ノ宮高校も猫井戸高校も同じ。
「静葉ー部活行こー」
と舞桜が言う。
「うん。あ、姫好も体育館来る?」
「あ、うん」
「彼ピ待ちね?」
と舞桜が言う。
「あ、うん」
照れくさそうに答える姫好。3人で体育館へと向かった。
「さー、帰るぞー」
と夜輝が伸びをしながら言う。
「どーする?ファミレスでも行く?」
と言う天に
「それかワック」
と両手の人差し指で棒芸人さんのギャグの「ゲ○ツ」のように指指す夜輝。しかし
「あ、先行ってて。LIMEに入れといて!」
と走って教室の出入り口に向かっていく耀優。
「丘瀬くんまたねぇ〜!」
「耀優!また明日な!」
「丘瀬くんバイバイ」
「耀優くん、またね」
とクラスの人や他クラスの人から挨拶されて、それに笑顔で返しながら教室を出て廊下を走っていく耀優。
「彼女か」
「だな」
「ファミレス?ワック?」
「女子誘う?」
「原石?」
なんて話す天と夜輝。耀優は走って学校を出て、学校から出たらゆっくり歩き始める。
姫好は体育館の、校庭が見える、開け放たれた大きなスライドドアの部分から体を少し体育館の床部分に入れ
座り、練習着に着替えた静葉と舞桜と話していた。スマホをチラッっと見る。
耀優「着いた」
と耀優からメッセージが来ていた。
「あ、じゃあ私帰るね」
「お。彼ピがお迎えに来たん?」
「うん」
「じゃあまた明日」
と立ち上がって校庭のほうから回って校門へ向かう姫好。
「生彼ピ」
と呟く舞桜。体育館の出入り口に向かう舞桜。ついていく静葉。
下駄箱へ行ってローファーに履き替えて校門まで行く静葉と舞桜。
「ごめんね。お待たせ」
「いや?1分も待ってないし」
と笑顔で言う耀優が静葉に気づく。
「あ、砂舞掛(さむかけ)さんじゃん」
振り返る姫好。
「あ、静葉」
手を振る耀優。小さく手を振り返す静葉。
「隣にいるのは?」
「あ、高校でできた友達の真壇田(まだんだ)舞桜(まお)ちゃん」
と言われてペコッっと頭を下げる耀優。
「おぉ。礼儀もしっかりしてる」
と言いながらペコッっと頭を下げ返す舞桜。
「じゃ、帰ろっか」
「うん」
姫好も振り返って静葉と舞桜に手を振って歩き出す。
「すごいリア充オーラが」
「わかる」
姫好の家への帰り道を他愛もない話をしながら歩く2人。
「ねえ耀優くん?」
「ん?」
「…」
言い出しづらそうにする姫好。歩くスピードも遅くなる。耀優は急かすこともせず、歩くスピードを合わせる。
「あのさ?」
「うん?」
「中学のとき、静葉にも優しくしたことあったんだね?」
「砂舞掛さん?…ん?…あったかなぁ〜…」
「教室で静葉がペン撒き散らしたとき」
「あぁ〜!あったあった」
「…それ静葉から聞いて、ちょっとだけ不安になっちゃって…」
黙って聞き続ける耀優。
「コーミヤ(黄葉ノ宮高校の略称)でもみんなに優しくて
私みたいに耀優くんを好きになっちゃう女の子もいるんじゃないかって。
ていうか耀優くんを好きになっちゃう女の子出てくると思う。
そしたら私より明るくて可愛い女の子のほうが良くなっちゃうんじゃないかって」
と耀優くんに言った。こんなめんどくさいことを言う私に嫌気がさしたかもしれない。
そんなことを思ったら耀優くんの顔を見れなかった。自然と視線は下を向いていて
足元を見るまでいかないまでも、歩く少し先の道を見ていた。
すると右手にピタッっとなにかが触れ、温かさに包まれた。
右手を見ると耀優くんの左手が私の右手を包んでいた。
「いくらみんなに優しくたって、手繋ぐのは姫好だけだよ」
と言われてドキッっとしたのと同時に、嬉しさと安堵の気持ちが訪れる姫好。
「それに、オレは、どれだけ明るくても、どれだけ可愛くても
姫好より好きになる子はいないって思ってるから。オレは“姫好が好き”だから。ね?」
と言われて、さすがに照れる姫好。今度は照れて俯き、頷く姫好。
「お?照れた?」
と顔を覗き込む耀優。
「照れてない」
と言いながら顔を背ける姫好。
「嘘だぁ〜」
「照れてないって」
「いやぁ〜、でもビビったわぁ〜」
と言う耀優。
「なにが?」
「姫好のテンション感で、別れ話でもされんのかと思ってさ」
「まさか!」
「良かったぁ〜…」
と心から安堵する耀優。
「私も耀優くんのこと好きだもん」
と微笑みながら言う姫好のことを見て、ドキッっとして
「お、おぉ」
と照れて目が泳ぎ、右上のほうを向く耀優。
「耀優くん照れた?」
「て、照れてませーん」
「ほんとぉ〜?」
「ほんとですぅ〜」
なんて話しながら、固く手を繋ぎ、笑いながら帰っていく2人だった。