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そんな日々も懐かしくなるぐらい時を重ねた。


もう25歳、おばさんだ。


あの時の甘酸っぱい青春が今の生きる糧にもなってたりして、時に思い出しては恥ずかしくなったり…良い初めての男だったのかもしれない。


高校の時に付き合った彼ともうまく行かず、大学生まで恋愛を特にしなかった。


でもこの成人式の後、あの頃のような感情が芽生えるような恋愛をして、5年付き合って、今年結婚した。


たまに松井くんじゃなくてよかったのかと思う時もあったけど、松井くんとは付き合ってすらいない。


なにもかもが初めてで、お互いの欲望を満たすだけの関係だった。

それでよかった。それ以上になりたくなかった。


そうだ、結婚したこと…

松井くんには言わなきゃ。


同級生から連絡先を教えてもらって、松井くんと連絡を取った。


「直接話したいことがあって連絡したよ」


ドギマギしていたあの頃を思い出しながらこんな冷静な文章を打った自分に笑いが出た。


自分も既婚者、相手もそうかもしれない。

こんな5年ぶりに来た連絡が結婚の報告だったらびっくりするかな。


彼からの返信は早かった。


「今オーストラリアにいて、来週帰るよ。

待ってて」


オーストラリア…?


そういえば修学旅行で行った帰りに、絶対俺はここに住む!って言ってたよな。懐かしい…


あれからもう10年は経つのか。


松井くんと過ごす時間の流れは早かった。


オーストラリアから帰ってきた松井くんは、空港近くのホテルに私を呼んだ。


それはまぁ泊まったことないぐらい大きくて、素敵なホテルで…素敵な部屋だった。


「すごい…」


目を光らせている私に、松井くんはとても優しそうな笑顔でこっちを見た。


「お前、結婚しただろう」


!?

報告よりも前に勘付かれた…

なんだか恥ずかしい気持ちになった。


「したけど、なんで?」


「指輪が…めっちゃ綺麗だ!」


急いで松井くんの指を確認したけど、指輪はなかった。


うらやましがってくれたのかな…


すると、彼は淡々と話し始めた。


「あの頃、恋とかなんだかわからなかった時にお前と出会って、それから恋がわからなくなった。」


「多分、お前のことが好きで、大好きだったんだろう」


「こんな俺のことを、夢中にさせてくれてありがとう」


中学生の時の好き、高校生の時の好き、

どんどん好きな種類が変わってくるのは自分でもわかった。

だからか、この言葉はすごい嬉しかった。


「こちらこそだよ!私も大好きだった。ありがとう」


素晴らしい青春を過ごせたこと、松井くんと初めてを迎えられたこと、全てに感謝した。


とっても嬉しかった。10年前の自分に、「言わせたぞ!」と叫ばんばかりに嬉しかった。


それからは、どういう人に出会ってどういう恋愛をしているのか、どうやって結婚できたのかを話した。


あの頃のようなスキンシップはなく、居心地がいいというだけ。


それ以上を少し期待していた自分はバカだったかもしれない。


それでも、彼は期待を裏切らなかった。


「最後に1回だけ、したい」


カーテンを閉めて全て真っ暗闇の中、

私は彼と今までで1番記憶に残るような熱い時間を過ごした。


日付が回っても、これが最後だ…と思ったら気持ちを抑えられずにはいられなかった。


彼と結婚すればよかった…なんて、脳裏に何度も浮かんだが、この関係だったからよかったのかもしれない。


朝、松井くんを空港まで送っていった。


「俺が送ることはよくあったけど、お前からは初めてだな」


「またね」


彼はまた会うような、会えるような足取りで帰っていった。


私もまた、会いたかった。

10年前、私はたぶん恋をしていた

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