突撃の命令が入り、残りの部隊が駅の中に突入した。第1と第3、第7は西口から突入し、駅の中を制圧する予定だった。だが、改札やホームには鬼はいなかった。そして、ほかの部隊とも合流することになった。また、路線の動きを見ていたほかの部隊も駅内に入っていた。第2部隊の近藤中尉が海斗少尉に話しかける。
「海斗!鬼の連中はいたか?!」
「いないよ、近藤…。もしかして駅じゃなくて隣接してるビルの中か?」
「有り得る…。黄楊少尉に連絡しよう。健太二等兵!黄楊少尉に連絡してくれ!」
「了解!」
ホームにも、改札付近にも鬼が居ない。どこか潜んでいる可能性はあるがそれにしても静かすぎる。やはり隣接しているビルの中にいるのだろう。
「連絡出来ました!レーダーを確認したところ、隣接してるビルにマーキングが出てるそうです!」
「どのくらいの数だ?!」
「ざっと数えて65体です!また、犬次郎中将から伝令で各自の隊長が状況を判断し、鬼の討伐を行うようにとことです!」
「海斗、割り振りをしてくれ」
「…第1と第2、第3は俺と一緒に3階と4階を攻める。第6、第7、第8は1階と2階、ほかの部隊は5階と6階を攻めてくれ!状況に応じてグリーンの部隊を呼ぶように!作戦開始!」
「「「了解!」」」
3階と4階はアクセサリーや文房具など生活用品が売られている場所になっていた。エスカレーターを使って昇っていき、エスカレーター付近には鬼がいなかった。3階と4階の静かなフロアにオーケストラのような音楽が流れている。フロアのいたるところに血などが飛び散っている。倒れている人もいる。龍也は倒れている人のそばに近寄る。しかし、息はしていない。威吹が龍也に近寄る。
「龍也、今やることは鬼の討伐だ。周りの警戒しよう」
「…ああ」
3階には鬼はいなかった。4階に移動するためにエスカレーターを昇っていく。エスカレーターを昇り終わり、4階を捜索する。4階の捜索中無線が入る。第4の黄楊少尉からだった。
『えーこちら、第4です。報告があり連絡しました。機材のトラブルで確認出来ていなかったのだろう…ビルの4階に避難が遅れた一般人が5名いることを確認しました。なお、鬼の反応は確認されていません。オーバー』
「こちら、第1。一般人の確認了解。第2と第3で対処する。オーバー」
「一般人がいるとはな」
「固まって探そう。俺は前方を確認するから近藤中尉は左右を確認してくれ。第3の木下少尉は後ろをお願いします。ほかの隊員は中央に固まって移動するぞ」
「分かりました」
列になり移動する。少しずつ少しずつ。ある場所になって子供のすすり泣く音が聞こえた。龍也はそれに気づき海斗少尉に伝える。
「海斗隊長!子供の泣く声が聞こえます!」
「どっからだ!」
「2時の方向です!」
「そっちに向かうぞ!」
方向を変えようとした瞬間、近くの店の物陰から誰かが飛び出して来た。それは銃をもった黒いスーツの男。灰色のウルフヘアをした、その男はこちらを向き、銃を構える。竜也は大きな声で叫ぶ。
「みんな!物陰に隠れろ!鬼が武器を持ってる!!!急げ!!」
叫んだと同時に鬼の持っていた銃の先端がオレンジ色に光り、発砲される。隊員たちは急いで物陰に隠れる。1人の隊員が被弾してしまうが物陰に隠れることが出来た。龍也は物陰に隠れながら移動する。移動した先に誰かがしゃがんでいるのが見えた。小学6年生の男のだろうか。龍也はその子に近づき、話しかける。
「君、大丈夫かい?」
小学6年生の子はこちらを向いて小さく頷く。さっきの泣き声はこの子だったのだろう。
「”狩人”が助けに来たよ。もう大丈夫だよ」
龍也がそういうと子供は少し笑顔になって頷く。その子の隣に上から隊員が転がり落ちてきた。転がり落ちてきたのは威吹だった。
「驚かすなよ!威吹」
「悪い悪い、アイツに弾打ちながら2時方向に来てみたんだ」
「良く当たらずにすんだな。あ、この子だったよ」
「向こうが銃の腕前があまりなくて良かった…」
威吹は子供の方を見る。その子の顔を見た威吹は驚いた顔をした。まるで知り合いにあったかのような顔だった。
「どうした?威吹」
「…いや、よく鬼に見つからなかったなって…」
そんな会話をしてる最中、木村少尉は持ち運び可能な盾を展開し、じわじわと鬼に詰め寄る。鬼が弾切れを起こした瞬間、急いで走り盾を当てて下がる。少し向こうが怯み、近藤中尉と海斗少尉で蹴りと拳を叩き込み、2人同時で蹴りをする。鬼は後ろに吹き飛ぶ。
「健太二等兵!!手榴弾!」
「はい!!」
健太は手榴弾のピンを抜き、野球の玉を投げるように手榴弾を投げる。倒れてる鬼の近くで爆発した。黒い煙がたちこみ、鬼がいた所は何も見えなくなった。
「誰か、その子を連れて下まで降りてくれ!」
「自分、連れていきます」
「威吹頼む。他にもう1人いってもらいたい」
「影野二等兵、頼む」
「わかりました、木村隊長」
影野二等兵、威吹は子供を連れて下の階に降りていった。ほかの隊員は銃を構えて鬼の動向をみる。煙が薄くなっていった時、煙の中から何かが飛んできた。商品が入れられていた大きなカゴのようなものが飛んできた。飛んできたものに反応できて避けれた。だが、避けれなかった隊員もいた。健太だった。
健太の体に直接、大きなカゴが当たり後ろの商品場所まで飛んでいた。
「威吹!!」
「…っ!龍也は健太の介抱を!俺たちは鬼から目を離すな!」
「…あー痛てぇな…。鬼化をしなかったら死んでたよ…」
鬼は狼のような風貌になり、服はボロボロになっていたが傷はひとつもなかった。狼の鬼はニヤリと満面の笑みを浮かべ咆哮する。
「さぁー…もっと楽しもうや…狩人共!!」
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