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何も育たないような砂漠になりかけた大地を風がどこからともなく駆けてくる
頬にあたる風が、冷たくなった肌を傷つける
「なんで!なんでお前がここにいるんだよ!
お前は、どこかで幸せに暮らしてると思ったのにっ」
「どうしてこうなっちゃったんだろうね。あたしにもわからないや」
寂しそうに笑う片割れの妹に、俺は心が痛んだ
今対峙しているのは、約10年前に離れ離れになってしまった双子の妹
それぞれの国の王として、この場所に立っている
戦うべき相手
わかっているのに、刃を向けることが躊躇われる
憎むべき相手
「お兄ちゃんが死んでから、死に物狂いで働いた
毎晩、国民のためにあたしができることを考えた
そんな時、思ってしまった
だから、あたしはここにいるの」
「そうかよ、元々そっちが始めた戦争だ
俺は引くわけにはいかない」
勢いよく駆け寄り、押し倒す
向こうは、俺にされるがまま勢いよく倒れた
喉元に刃をつきつける
それでも向こうの目に映るのは恐怖ではなく俺
「どうしてこうなったんだろうね」
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