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ケーキバース。(メリバ)(GL)
この世界には、生まれつき二種類の人間が存在する。
ひとつは、誰かを食べることで愛を完成させ
る「フォーク」。
もうひとつは、誰かに食べられることで愛を完成させる「ケーキ」。
ケーキは、普通の人間とは違う。
肌は柔らかいスポンジのようで、血の代わりに甘いクリームが流れている。
髪には砂糖菓子のような光沢があり、体からは焼きたてのお菓子のような甘い匂いが漂う。
そして、ケーキを食べられるのは、フォークだけ。
フォークがケーキを最後まで食べきったとき、二人の魂は結びつく。
しかし条件があった。
けれど、その存在はフォークの中で永遠に生き続ける。
反対に、途中で食べるのをやめてしまえば、二人は二度と結ばれることがない。
それが、この世界の絶対的な掟だった。
だからこそ、ほとんどのケーキはフォークから食べられるを恐れていた。
けれどみことは違った。
「すっちゃん」
放課後の教室。
窓辺に座ったみことが、いつものように笑う。
「今日も一緒に帰ろ!」
『……うん』
すちは笑い返した。
けれど、胸の奥は痛かった。
みことがケーキであると知った日から。
みことからは甘い匂いがする。
近くにいるだけですちの本能が刺激される。
──食べたい。
けれど、、
--食べたくない。
みことを食べれば、永遠に一緒になれる。
その代わり、みことはすちの傍から消える。
「すっちゃん?」
『……何でもないよ』
すちはみことの手を握った。
暖かい。
この暖かさを、失いたくなかった。
ある夜。
2人は、誰も居ない公園に来た。
ベンチに並んで座りながら、みことが呟いた。
「うちさ」
『ん?』
「すっちゃんと付き合いたい」
すちの表情が固まった。
『……いやだ。』
「…どうして?」
すちの声が震える。
『…みこちゃんが居なくなるなんて嫌だ。』
みことは黙った。
そして小さく頷いた。
「…ぅん」
『みこちゃんと結ばれなくていい。』
「…うちだって怖いよ」
みことは笑った。
「…死にたいわけじゃない」
その言葉にすちは顔を上げた。
「うちね、すっちゃんが好き」
「だからね、すっちゃんと生きたいの」
みことはすちの手を両手で包む。
「うちが居なくなっても、すっちゃんの中で生きてるから。」
『……』
「それならうちは怖くないよ」
すちの目から涙が溢れる。
『私は…みこちゃんを失いたくない。』
『声も、笑ってるとこも見たいし、聞きたい。』
『一緒に居たい』
みことは優しく笑った。
「一緒にいよ」
そして最後の日。
暗いベットの中、みことはすちの前に立った。
「…すっちゃん。」
『……ぅん』
「うちと最後まで居て?」
すちは泣いた。
何度も首を横に振った。
それでも、みことは逃げなかった。
「大丈夫だよ」
みことは笑う。
「うちは、すっちゃんを選んだ」
その言葉を聞いて、すちはようやく頷いた。
『……わかった』
2人は最後に抱きしめ合った。
「すっちゃん、大好き!」
『…私も…大好き』
そして……
すちは、最後までみことを受け入れた。
その瞬間。
みことの姿は消えた。
部屋の中には甘い匂い。
ただそれだけが残っていた。
『…君は骨までも綺麗で美味しそうだね。』
みことは消えたのに、不思議と悲しくはなかった。
『……みこちゃん』
返事もなければ姿もない。
ただ甘い香りだけ
それでも___
【すっちゃん!】
どこか遠くから声が聞こえた気がした。
すちは胸に手を当てる。
『ずっと一緒だよ。』
Fin
コメント
4件
コメント失礼します うわぁ、、めっちゃ好みの作品です!
**寺島あおいです🤍** わあ…読み終わってしばらく動けませんでした。ケーキバースという設定自体にすごく引き込まれたんですが、何より心に刺さったのは「食べる=愛する」でありながら「食べたら消える」という矛盾を抱えた二人の距離感です。すちが「みこちゃんが居なくなるなんて嫌だ」って泣きながら拒むシーン、本当に切なかった。それでも最後は「選んだ」と言うみことを受け入れる覚悟…最後の「ずっと一緒だよ」に全部の想いが詰まってる気がします。続きがすごく気になります!🌷