テラーノベル
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奏での家に泊まっていたまふゆは、次の日帰ってきた。その日は平日で、学校があったが、特に何も言われないので、家へ入ったのは夕方だった。
まふゆ(昨日はゼリー持っていってあげられなかったけど、類大丈夫だったかな…?)
そんなまふゆは、食事中に違和感を覚えた。
異様な程に礼儀が正しい、母さんの質問に美味しいよと答える、淡々と食事を口に運ぶ。ここまではいつもと同じだ、完璧だ。
けれど、
まふゆ(何…?何が違うの…?)
確実にどこか、何か、おかしいのだ。
類は、母さんに向かって機械的に微笑んだ。
違和感を抱えながら、まふゆはゼリーを持って類の部屋を訪れた。
まふゆ「類、今日…どうしたの?」
類「特に、何も」
その時に漸く気が付いた。
瞳だ。
全て吹っ切れたような、瞳。…いや、全てを諦めて、諦めた先の、空白…?
まふゆ「ねぇ…類…何があったの…?」
まふゆの悲痛な声と、シャーペンの動く音だけが聞こえる。
まふゆ「私に、誤魔化せると思ってるの…?ずっと、支え合って来たじゃない…ねぇ…」
類の手に僅かに力が込められた。
類「姉さんは、家を出てニーゴのみんなと、自由に生きて、救われて。」
類の顔は、未だに参考書から離れていない。
類「僕はそれでいいから。」
ふざけないで、と無意識に口から零れ出た。
まふゆ「類も居なきゃ意味ない!類も救われなきゃ、私は救われない!」
類相手に怒鳴ったのは、これが初めてで、何故か涙が溢れた。
まふゆ「私を救いたいなら、まず、類が救われてよ…」
そうだ、そうなのだ。まふゆが1人で自由になろうと、自由に生きられるようになろうと、それはまふゆにとって救済ではない。ただ、類を置いてきた罪悪感の中で、独りで歩いていかなくてはならないという、双方の地獄が続くだけなのだ。
空になった類の表情は、変わらなかった。
まふゆ(今の類に、私が何を言っても意味が無い…)
そう実感したまふゆは心が折れそうになる。
今までずっと一緒だった。類が母さんに重圧をかけられ、その傍らにまふゆが放任されていても、互いが居た。類が母さんの言うことを聞き続けたのも、まふゆが幾度と類の代替品になろうとしたのも、全部互いを想っていたからだ。
それなのに、類は、まふゆにさえ心を閉じてしまった…?
まふゆ(…だから何。だったら、他を用意すれば良い。…天馬さん)
司に直接会いに行く決意をしたまふゆは、まず司と繋がる為にニーゴに情報を聞こうと部屋を出た。
一方で、姉が出ていき、1人になった類。暫くは変わらず手を動かしていた。だが、不意にノートを一冊取り出した。
そのノートに、約2ヶ月前司に貰った、母さんに破り捨てられた、ショーの台本をノートに書き出した。
それに目を落とし、一度読み直す。
それから、類はそのノートをゴミ箱に棄てた。
コメント
1件
かのさん、第11話読みました……。 類の「全部を諦めた先の空白」みたいな瞳の描写、ゾッとするほど刺さりました。それに気づくまふゆの悲痛な叫び——「類も救われなきゃ、私は救われない!」——は、ずっと一緒に生きてきた二人だからこその重みがあって、もらい泣きしそうでした。最後に台本をゴミ箱に捨てる類の背中が、本当に切ないです…。
#兄弟パロ
かの
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#暁山瑞希
ねる
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