ゼコウは考えていた。モパンは何が目的で地球で人類に害をなすのか。モパンはなぜあの大災害で敵である我らと協力して救助をしたのか。
「彼らとコミュニケーションさえ取れるのならば、一気に話は進むのに……」
「本隊長、どうしたでやんす?」
「いやな、モパンとどうすればコミュニケーションを取れるかなぁってな」
「え、あいつらとでやんすか?敵でやんすよ」
「でもな、あいつら大災害の時人を助けてたろ?あれの真意を問いたいんだ。敵だったことに間違いないがそんな俺らと協力してまで救助をする理由をな俺は知りたいんだ」
「本隊長……であれば彼らの最後の目標である福永幸太と言う人物を調べるのが一番でやんす」
「確かにこれまでと違って個人を狙っての犯行だったな。あれに意味があるとすれば何かわかるかもってことか!」
「そうでやんす!」
「なるほどな、ありがとうヤンス君!」
「ヤウスでやんすよ……」
それから、ゼコウは集会を開く。
「あの大災害の悲劇から1週間ほどが経過した。我々は炊き出しなどボランティア活動などを通して市民の生活を守れるように活動してきた。みんなも大変な中、協力をしてくれてありがとう。今回この会議を開いたのはもちろんこれからのボランティア活動についてもだが、もう1つ理由がある。それはモパンの事だ」
団員たちが一瞬ざわめく。
「我々はモパンの行動などを止めて国を取り戻すべく立ち上がった。しかし、先日の大災害の時に彼らは我ら敵と協力をして市民などの救助を行った。あの国民に危害を加えていた彼らがだ。なぜだ!?全くわからない!だが、あの時の行動は間違いなく我々と同じ志の元の行動だったと思う。そして、そう信じたい!私は彼らの真意を問いたいのだ。彼らの目的が何なのか。なぜ協力をしてくれたのか。そうやって相手を理解して話し合うことが出来れば解決の道筋も立つと思う!だから、厳しい状況の中だが、協力できるものには手伝ってほしい!力を貸してくれ!」
「我々の志は武力を用いず平和を求めるでしょ!?あんたについていきますよ!本隊長!」
「そうだよ。今更あんたから離れるのも寂しいしよ!」
「話し合いが出来るのならばそれ以上に素晴らしいことは無いね」
「やりましょう!」
「おおお!」
隊員たちはゼコウについて来てくれるそうだ。
「ありがとう……」
そして、部隊長会議が行われる。
「今回のモパンへのコンタクトだが、手掛かりは彼らの最後のターゲットである福永幸太という男性になる」
「確かにこれまでと彼らの動きが違っていますもんね」
「さらに調べていくと、福永幸太はこれまでのモパンが起こしたと思われる事件に高確率で巻き込まれている。それが最終的には個人的に狙われたという事は何かしらの意味があると考える。よってこれより福永幸太について調査を開始してほしい」
「了解!」
「そういえばフミネさんは?」
「彼女は現在連絡が取れない。何かしらの行動中なのかもしれん。何かわかれば今は俺の方に伝えてくれ」
「了解!」
その夜。
「本隊長、福永幸太について分かったっす!」
「ありがとう。彼はどんな人物なんだ?」
「はい、彼は25歳男独身。出身地はここM県。T原商事で営業として働いています。過去にA県の短大を卒業後に塾講師として新卒入社しますが約2年で退社。同年に約四年間付き合い同棲していた彼女に振られたことをきっかけに引きこもり状態に。その後1年後に転職活動を始め現在のT原商事に就職したことを機にM県に戻り今に至るという感じです!」
「ほ、ほう。それで性格は?」
「はい、性格は基本的にポジティブ思考です。会社や普段の中でよく不運な出来事に出会っていますが、いつも笑って過ごしているようです。顔は特にカッコいいわけでもないので地味な男と言う印象ですね」
「なるほど。割と不幸が多めの地味男か。そんな彼がなぜモパンのターゲットに選ばれたのだろう……」
「本当になぜでしょうね?」
「そこがわかればさらに進展するのだが……まぁいい。今度会って来る」
「え、会うんすか?本隊長が?大丈夫すか?」
「何が言いたいんだ?」
「いやだって本隊長、堅物だし……」
「堅物!?」
「はい、堅物っす。そんなんじゃ相手に距離を取られて終わりっすよ?」
「そうなのか……一体どうすればいいんだ?」
「それはですね、こうすればいいんすよ!……」
「……な、なるほど……ありがとうチヤラ君!」
「お力になれて何よりっす!」
そして次の日。
「ピンポーン」
幸太を呼ぶインターホンが鳴る。
「んぁ……なんか頼んだっけ俺?」
インターホンの画面を見るとそこには見知らぬ男が1人立っていた。
「……はい、どちら様ですか?」
「貴方は救世主を信じますか?」
「あ……、そういうのは間に合ってますので~」
「ブツッ」インターホンの会話ボタンを切る幸太。
「ピンポーン」再びインターホンが鳴る。
「さっきの人かなぁ……、うわやっぱりそうじゃん……」
そこには先ほどの見知らぬ男。
「あの、本当に間に合っているので帰ってくださ……」
幸太の言葉に聞く耳を持たず男は語り始める。
「貴方はこのままだと地獄に落ちますよ?ぜひ私たちの話を聞いてみませんか?救世主はこの世界が滅亡する未来から信仰心の高い者だけを救ってくれ……」
「ブツッ」幸太は再びインターホンの会話ボタンを切る。
「変な人に絡まれたな……でもそのおかげで朝に早く起きれたしラッキー!」
「ピンポーン」再度インターホンが鳴る。幸太はため息を吐いて勢いよくインターホンに出る。
「あの本当に困るんで辞めてください!……え?」
「あ……福永幸太さんですね?お荷物お届けに参りました……」
そこにはシロイヌ配達の制服を着た男性が立っていた。
「あ!すみません、何でもないです!鍵開けますね……」
幸太は恥ずかしさに悶えながらインターホンでオートロックのカギを開ける。そして玄関先のインターホンが鳴る。
「シロイヌ配達です。こちらお荷物です。サインは結構ですので中まで運びましょうか?」
「お願いしまーす」
「わかりました。お入れしますね」
そして、配達員は部屋に荷物を運び入れる。そして、扉の鍵を内側から閉めた。
「え?」
「申し訳ない。私は実はシロイヌ配達ではない」
男性の突然の行動と発言に幸太は理解が出来ない。
「ん?どういう意味ですか?カギを開けてとりあえず荷物を運び入れたんだから帰ってくださいね?」
「いや、私は配達員でもなく、この荷物も偽物だ。申し訳ない。私は君と話がしたくてやって来た」
「ちょっと何言ってるのかわかんない。荷物は受け取ったから出てください」
「いや、本当に頼む。話を聞いてほしい……あ、警察に通報は辞めて……」
それから数分後。
「つまりあなたは配達員でもなくて、あの荷物も俺宛の物でも何でもないと」
「そう!」
「そんな事をしたのは俺と話がしたかったからと」
「そうそう!」
「なるほどね!わかりました!」
「なんでこんなに説明に時間がかかったんだ……」
※皆さんは見知らぬ荷物の配達があった場合は、けして扉を開けないようにしてインターホン越しで宅配ボックスや置き配にしてもらうように伝えましょう。
また、不安な場合にはすぐに警察に通報をしましょう。幸太の真似したらダメだぞ!By作者。
「で、なんで僕とそこまでして話をしたいんですか?……あ、ごめんなさい。僕は女性が好きなので、男性とは……」
「違う違う!そういうのじゃないから!」
「じゃあ、どうして僕にそこまでするんですか?」
「わかった、単刀直入に聞こう。君、宇宙人に狙われたことは無いか?」
「え……」
「または、宇宙人と関りがないかな?」
幸太は意図せぬ質問に戸惑ってしまう。
「そうか、その反応が答えだね。私の名前はゼコウ。今日本やホニャ国では宇宙人が国と条約を結んで好き放題している。僕たちはそんな彼らから国を取り戻すために活動しているホニャイヤダと言う組織に所属している」
「そんな、彼らは悪い人たちじゃないですよ!」
「そうか、やはり君は彼らを知っていたか」
「あ……」
「わかってるさ、僕も彼らが悪い奴じゃないのかもしれないって最近思うようになったんだ」
「それはどういう……?」
「先日の大災害あっただろ。あの時私達ホニャイヤダは彼ら宇宙人と戦っていたんだがその途中で大災害が発生。直後に僕たちは市民を助けるために行動を始めたんだが、なぜか彼ら宇宙人も救助を手伝ってくれたんだ。不思議だろ?私はそれが知りたいんだ。だけど彼らと連絡を取る方法がない。だから私たちは彼らが最後に接触したと思われる君に話を聞きたかったんだ」
「なるほど……。なら、方法がありますよ!」
「え?」
幸太は携帯を出して、ある人物に電話を掛ける。
「あ、もしもし~。先輩、今大丈夫ですか?……ありがとうございます。実は今、宇宙人に会いたいっていうホニャイヤダってグループのゼコウさんって方が来てるんですけど……はい……すみません!口が滑っちゃいました……あ、先輩の事は喋ってないです!はい……はい、それでこの前の皆さんに会えるようにセッティングしてもらえないでしょうか?……え、いいんですか?あ、先輩の事は内緒にですね。わかりました!ありがとうございます!じゃあここで待ってますね!はい、ありがとうございました。失礼します!……大丈夫でした!ここで待っていれば会えるようです!」
「そんな簡単に宇宙人に会えるの!?すごいなその先輩って人……」
「はい、先輩は凄いんです!詳しくは秘密ですがね!」
「そうか、尊敬する人物なんだな……」
「はい!」
数分後。
「ピンポーン」インターホンが鳴る。
「お、来たのかな?はいはい~」
インターホンの画面には誰もいない。
「あれ、誰もいない……悪戯かな?」
「悪戯?どれどれ?」
ゼコウもインターホンを見る。
「本当だ、誰もいない……」
そうして二人が画面を注視したその瞬間、画面から激しい光が発せられる。
「ん……ふぁ~。なんだ、寝ちゃったのかな?って、あ!」
「……は!お前たちは!?」
「久しぶりだなゼコウ。そして福永幸太」
目が覚めるそこはモパンの宇宙船の中だった。
「お久しぶりです!アルパさん!」
「お、おう……。いったんそのまま動くなよお前は……。で、何用だゼコウ。本来なら貴様からの不躾な呼び出しには応じる義務などないが、我が同胞に免じて今回は許そう」
「うわ、すごい高圧的だね……あとで先輩に怒られるんじゃない?」
「お前は黙ってろ!……んほん。今日は何用だゼコウ」
「あ、あぁ。俺はお前たちを知りたくてここに来た」
「我らを知りたいだと?」
「あぁ。俺たちはお前たちを止めるために行動していた。しかし、お前たちはあの日、あのT市の大災害の時に市民の救助を協力してくれたよな。あの時は本当にありがとう。俺はそんなお前たちの真意が知りたいんだ。どういった目的なのか、どうして助けてくれたのかをな」
「……そうか。わかった。立ち話では失礼に当たるな。奥の客室に案内する。少し待たれよ……。あ、お前は勝手に動くなよ!イゴエ!こいつ見張っててくれ!」
そう言うとアルパは奥の部屋に向かいしばらくするとアルパを部屋に案内した。
「そう言う事だ。幸太、勝手はするなよ……」
「わかった!……ところでイゴエさん。イゴエさんって普段この船で何しているんですか?」
「……あ、えっと船の操舵担当だな」
「操舵?」
「簡単に言うと操縦だ。基本的には俺がこの船を動かしているんだ……」
「え!すっごいですね!それってすっごくかっこいいじゃないですか!」
「そ、そうか?……操舵室見てみるか……?」
「はい!イゴエさんのかっこいい所見てみたいです!」
「ふふふ……よし着いてきな……」
「やったぁ!」
2人は操舵室に入室する。そこにはジダイもいた。
「ここが操舵室だ……」
「おぉ……かっこいい!ここでイゴエさんが操舵するわけだ!すっげぇ……」
「ふふふ……だろ……?」
「お~い、イゴエ~?どうして幸太君がここに入って来てるの?アルパに自由にさせるなって言われてなかった~?」
「あ、あぁ……。だが、ずっとあそこで放置も可哀そうかなとな……」
「確かにそれもそうだよね~でもね~」
「あ、僕がいるから皆さんの凄いお仕事を邪魔してますよね?すみません……向こうで待ちます……」
「あ、ごめんごめん!別に邪魔とか思ってるわけじゃないんだよ~。……あ~僕らがこれまで行った星の映像とか見る~?」
「え、いいんですか!?見たいです!」
「そかそか~。これとか面白いよ!みんなちっこくてカエルみたいな顔してるんだぁ~」
「うわぁ~ほんとだ!色んな肌の色をした人(?)がいますね!」
「ここの星も特徴的だよ~みんな緑色で頭から触角が生えてるんだよ~!」
「触角!?え~こんな宇宙人もいるんですね!」
「そうだよ~宇宙にはいろんな種族が住んでるんだ~。中には危ない奴らもいるよ~!」
「え、どんな奴ですか!?」
「例えばさっきの緑の触角の星では昔ね、白と紫の体色をした宇宙人が攻め込んできたんだって~それはそれは恐ろしい奴だったんだって~」
「うわぁ、ひどい奴ですね~。理由はわかりませんが暴力はよくないですね!」
「だね!そんな中地球人みたいな見た目の奴がやって来てそいつらを倒したんだって!その中の一人は金髪ですっごい強かったらしいよ~」
「お~でも、結局は戦うしか解決の方法は無かったんですね~」
「そうだねぇ、話の通じない相手だったんだろうねぇ~」
「いやな世の中ですねぇ~」
「あ、そうだ、もしもの時に僕たちに連絡できるようにする?」
「え、そんなのあるんですか?お願いします!」
「オッケ~じゃあ後でしとこうか~」
「やったぁ~」
そう言いながら幸太は横の壁にもたれかかる。
「ポチィ」
「ん?」
「あ?」
その瞬間、アラームが鳴り響く。
「緊急脱出装置作動、緊急脱出装置作動。この船は1分後に自動で脱出装置が作動後、自爆します。繰り返す……」
「……また、俺やっちゃいましたよね、これ……」
「うん、やらかしてるねぇ~」
「おい、なにやってんだお前ら……」
すると彼らのいる部屋の扉がいきなり開きゼコウと共にアルパが飛び込んできた。
「おい幸太ァ!またやらかしやがったな!……お前らも早く止めろ!」
「「あ、は~い」」
その後、何とか騒ぎを止める事が出来た。しかし、騒ぎの原因となった幸太に対してアルパは「パ行」を言うと1時間気を失う注射型の人体改造を行う。
「お前やっぱり出禁!」
「そ、そんなぁ~!?それにさっき刺された注射って何なんですか、アルパさ……」
幸太はその場で眠るように倒れる。
「これで少しは静かになるだろう……。ゼコウ、話の続きをしよう」
「……お前、やっぱりやばい奴なのか!?」
※一日寝ると元通りになります。
この作品はフィクションです。皆さんは人に注射を刺さないように。
これにて第13話、おしまい。
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