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零くん。
129
ごぜん_低浮
4,004
「ッ小柳、くん…っ」
「…ッぁ゛…~~~~~~~~ッ♡♡」
満月が昇る夜に
俺は狼を抱いていた。
「いい声……ッもっと啼いて
…よッ!!」
「~~~!?…ッぁ゛あ、!!!!♡」
甘い声を出しながらシーツを握り、
俺が前触れもなく
大きく腰を当てたことに驚き
狼狽える彼。
身体をびくんと細かに震わせた彼は
シーツにぐったりと倒れ込んだ。
一通りの行為を終えた後に
彼はいつも寝室の窓から空を見上げる。
瞳の中に反射する空はまるで絵画のようだ。
いつものように外を眺める
その姿に見蕩れながら
汗ばんだ彼の額に張り付いた
ラピスラズリ色の髪を振り払った。
「…っ、ん…?」
俺が髪を振り払った拍子に
息を整えている彼と目が合った。
月を閉じ込めたような美しい瞳が
俺を捉えて離さない。
「…綺麗」
不意に口に出た言葉に
少し瞳孔を開いた彼は直ぐに目元を緩める。
「…何言ってんだよ……」
いつも見てるだろ、とでも言いたげに
彼は俺を鼻で笑った。
「……ぅ、ん……」
瞼の向こうから明るい光が差し込む。
目が痛い。
どうやらいつの間にか寝落ちていたらしい。
「……おはようございま…」
そう言いながら横を向いてハッとした。
彼がいない。
「…え?」
夜型の彼は毎朝俺に叩き起されるか
どうかしないと起きないはずなのに。
おかしい。
……いやいや…
彼の気分が変わっただけの可能性も。
でも予定も無いはずなのに。
どうしてだろう。
剥がれかけているシーツがかかった
ベッドから出てリビングへと向かう。
案の定リビングへ行っても彼はいない。
「…どこ行ったんだろう」
彼にGPSをつけるほど
俺は非道理な人間では無い。
何か予定ができただけかも。
直ぐに帰ってくるでしょ。
彼の行先も分からないまま
俺は今日を過ごすことにした。
コメント
1件
棗さんの『月と微笑みと』第2話、読ませていただきました…🌙 冒頭からもう、雰囲気がすごく濃密で…月の夜に狼を抱くって表現がもう美しくて切なくて。彼が窓を見上げる瞳に月が映る描写、凄く印象に残りました。 朝、目が覚めたら彼がいなくて慌てる主人公の不安、すごく伝わってきました…。まだ2話だけど、この先どうなっちゃうんだろうってドキドキします。 続き、ちゃんと読みにきますね🥀