星と月が光る夜。
風が薄ら靡いている。
気温も丁度良かった。
私は街を歩いていた。
歩調は何時もよりも早く
何処か楽しそうな雰囲気を纏っていた。
私の心の中は舞踏会状態だった。
喜びのあまり鼻歌を歌いそうになる程に。
私の計画は予定通りに進んでいる。
このまま上手く行けば私の望みが叶う。
そう考えるだけでニヤけてしまう。
私は沢山の人を殺した。
武装探偵社へ入る前、
そして入った後、
其の二つを合わせたら自分では
数え切れない程に人を殺めた。
私が犯した罪は星の数だけある。
共謀殺人や恐喝、詐欺など色々。
私はもう償えない程の罪を犯した。
探偵社に入って
自分は変われたと思っていた。
でも現実はそう甘くない。
罪を犯した過去は変えられないし
その罪を何とも思っていなかった昔の心も
同じように簡単には変われない。
だから私は武装探偵社で昔の罪滅ぼしをしたつもりだったんだ。
だけど矢張り自分は変えられない。
心の奥底にあった小さな罪悪感は
歳を重ねる度に弓となって私の心を壊した
そんな時に森さんが私を誘拐した。
…本音では丁度良いと思ってしまっていた。
このままポートマフィアに戻れば
此の気持ちは無くなると思った。
でも矢張り探偵社へ戻りたい自分が居た。
又皆んなで喋って楽しく過ごしたいと
そう思ってしまった。
だから私はあの時耐える事にした。
限界まで。
だけど矢張り森さんは恐ろしい。
真逆私の異能を科学的に消して
Qの異能を使うとは思わなかった。
しゅっぱいだね。
私はまんまと嵌ったのだ。
森さんの策に。
そして私はポートマフィアに戻った。
しかし其処に有るのは絶望だけだった。
昔の様に銃を使う事も出来ない。
昔の様に最適解を考える事も出来ない。
私は【殺し】を恐れた。
もう探偵社へ戻る事が出来ない分かった瞬間、体が芯から震えた。
だから森さんにバレない様に
殺さない様努力した。
だけどその努力も虚しく
私は人を殺してしまった。
もう戻る事は出来ない。
あの頃には。
だから私は決心をした。
戻ることが出来ないなら
せめて自分の願いを叶えようと。
其れが此の計画だ。
此の計画で私は__
_◯月◯日
辺りが暗くなり始めた頃だった。
皆んなは帰る支度を始めていた。
そんな中、僕は机に伏せて休んでいた。
今日一日ずっとそわそわしていて
仕事が中々捗らなかった。
様子が可笑しいのは僕だけじゃない。
国木田さんや与謝野女医、其れに乱歩さんも何処か様子が可笑しかった。
賢治くんや谷崎さんなどが帰った後、
乱歩さんが僕達に向けてある事を言った。
乱歩「今日何処かに行くでしょ」
国木田「…..」
乱歩「行くの辞めた方が良いよ」
乱歩「…いや、もう手遅れかボソッ」
敦「如何言う事ですか…?」
乱歩「太宰に会うのは辞めた方が良い」
乱歩「会えば最悪な結末しか無い」
国木田「…其の結末を捻じ曲げます」
敦「僕は太宰さんを助けると決めました」
敦「絶対に救って見せます」
乱歩「…そうか」
乱歩「やっぱり何方でも良いよ」
乱歩「決めるのはお前達だ」
探偵社を出る時間になった。
外はすっかり真っ暗で
街灯の灯りが辺りを照らしていた。
【思い出の場所】
此の言葉だけで場所が分かるのは
きっと僕だけだと思う。
僕にとって人生最大の思い出。
生涯忘れる事の無い記憶。
僕は絶対にあの場所だと確信していた。
国木田さんと与謝野女医は無言で僕の後ろを歩いている。
敦『太宰さん大丈夫かな』
内心不安しか無かった。
でも時間は止まってはくれない。
どんなに嫌でも
どんなに怖くても
どんなに不安でも
時間は止まらない。
大丈夫だと信じて僕達は歩き続けた。
数分歩き続けると目的の場所が見えて来た
辺りを見渡すが人影は何処にも無かった。
太宰さんが来るのを待った。
静かな僕達の空間に川の音が響いた。
其の音が酷く心地良く感じた。
暫くすると背後から足音が聞こえた。
振り向くと其処には太宰さんが居た。
敦「…太宰さん」
太宰「皆んな久しいね」
太宰「元気そうで良かったよ」
国木田「如何して突然消えた」
太宰「ポートマフィアに誘拐されたから」
国木田「前もそんな事があったな」
国木田「何故抜け出さなかったのだ」
国木田「お前なら抜け出せただろう」
太宰「本当は直ぐにポートマフィアから抜け出すつもりだったんだ」
太宰「だけど今回の誘拐は本気だった」
太宰「森さんは本気で私をポートマフィアへ連れ戻そうとした」
太宰「ポートマフィアに戻る提案を否定した私は拷問を受けた」
敦「ッ」
太宰「昔の自分なら耐えられただろうね」
太宰「でも今の私には耐える事が出来なかったんだ」
太宰「ごめんね」
与謝野「…ポートマフィアへ戻ったのかい」
太宰「はい」
太宰「拷問の最中、私は誓ってしまった」
太宰「【一生貴方の右腕になる】と」
国木田「…..」
太宰「それにね、」
太宰「私…人を殺したんだ」
敦「え、ッ」
太宰「本当は殺したく無かったのだけど」
太宰「森さんに逆らえない私は人を殺した、何人も何人も」
太宰「だから私は探偵社へは戻れない」
太宰「今日限りで正式に辞めるよ」
太宰「社長にも伝えておいてくれ給え」
国木田「お前はそのままポートマフィアとして生きて行くのか?」
太宰「…あぁ」
敦「太宰さんッ」
敦「逃げましょうッ」
敦「今なら逃げられますッ」
太宰「敦くんは優しいね、」
太宰「でも無理だよ」
敦「何故ッ」
太宰「私も一度脱走を試みた」
太宰「だけど失敗した」
太宰「…私はあの場所から逃げ出す事は不可能なのだよ」
太宰「最後に願いを聞いてくれるかい?」
国木田「…言ってみろ」
太宰「【私を殺して】」
与謝野「ッ」
国木田「何故そうなるッ?」
国木田「ポートマフィアとして生きて行けば良いだろうッ?」
太宰「もう耐えられないんだ」
太宰「あの場所にいる事が」
太宰「もう誰も殺したく無い」
太宰「誰も傷付けたく無いッ」
敦「ッ」
太宰「だから私を殺して?」
国木田「…殺せない」
太宰「何故?」
国木田「…相棒だからだ」
太宰「国木田くん」
太宰「私はもう探偵社員じゃ無い」
太宰「だから私達は相棒じゃ無いし仲間でも無いよ」
太宰「君達は皆んな私を殺さない理由など無いのだよ」
太宰「私は敵」
太宰「ポートマフィアの幹部」
太宰「利益しか無いだろう?」
国木田「…其れでもだッ」
太宰「…何でよッ」
太宰「何で殺してくれないのッ」
太宰「私は今直ぐ死にたいのだよッ」
太宰「人を殺してから悪夢を見る様になって毎日寝れないのだよッ」
太宰「脳裏にあの光景が浮かぶッ」
太宰「…お願いだからッ」
太宰「私を殺してッ」
其の悲痛の叫びは酷く耳に響いた。
僕は必死に他の方法を探した。
だけど何も思い浮かばなかった。
太宰「お願いッ」
太宰「殺してッ」
与謝野「…妾が殺してやろうか」
国木田「!」
敦「与謝野、女医ッ?」
太宰「…貴方が殺してくれるんですか?」
与謝野「あぁ」
与謝野「お前の気持ちはよく分かる」
与謝野「妾もそうだった」
与謝野「目の前で人が死ぬ光景が脳裏に刻まれて忘れる事が出来ない」
与謝野「悪夢でよく魘された」
与謝野「…妾も昔」
与謝野「あの人の下で働いていた」
太宰「…..」
与謝野「あの人のやり方は薄汚い」
与謝野「お前の辛さは十分分かる」
与謝野「だから殺してやる、」
太宰「…ありがとうございます」
太宰さんが懐から銃を取り出して与謝野女医の足元に銃を投げた。
与謝野女医が銃を拾い上げた。
与謝野「…言い残す事は?」
太宰「…国木田くん」
国木田「…..」
太宰「少しの間だったけど君と相棒になれて良かったよ、ありがとうね」
太宰「敦くん」
太宰「君は成長するのが早いから心配は要らないね、」
太宰「君を此の場所で拾って良かったよ」
太宰「短い間、ありがとう」
敦「ッ」
太宰「…与謝野女医」
太宰「私を殺してくれてありがとうございます、最後の最期まで迷惑を掛けてしまい申し訳ないです、」
太宰「皆んなを頼みます」
与謝野「任せな、」
太宰「もう思い残す事は有りません」
与謝野「…分かった」
そう言うと与謝野女医は太宰さんの額に銃口を向けた。
太宰「…皆んなありがとうボソッ」
敦「ッ、太宰さんッ!」
与謝野女医が銃の引き金引こうとした瞬間、与謝野女医が倒れた。
与謝野女医が私の額に銃口を向け、撃とうとした瞬間、目の前に血飛沫が飛び散った。
与謝野女医が倒れた。
思いもよらなかったハプニングに動揺が隠せないでいた。
背後から足音が聞こえた。
其の瞬間に私は理解してしまった。
森「こんな夜遅くにお揃いだねぇ」
森「一体如何したのかね?」
太宰「ヒュッ」
喉から変な音が鳴ったのが分かった。
国木田「お前はッ」
森「此処に居ると思ったよ」
太宰「ど、如何して貴方がッ」
森「太宰くん、コートの懐を見てご覧」
言う通りに懐を見て見ると
中にシールの様なものが貼ってあった。
森「それはね最新の盗聴器だよ」
太宰「盗聴器ッ」
森「君の行動も言葉も全てお見通しだ」
森さんを観察していると
ある事に気づいた。
森の背後に人影があったのだ。
段々と血の気が引いていくのが感じ取れた
森「君も出ておいで」
森「中也くん」
中也「…..」
あぁ、最悪な状況だ。
敦「与謝野女医ッ!」
与謝野「ッ」
森「与謝野くんを撃つように指示したのは私だよ」
敦「ッ!」
太宰「…狙撃手ですか」
森「さて、帰ろう」
そう言って私に手を差し伸べた。
私は其の手を__
どうでしたか?
投稿が遅くなってしまいすみません💦
第7話の❤️の数とコメントの数を見て目が飛び出そうになる程驚きましたw
本当にありがとうございます!
おかげでモチベーションが上がりました!
コメントも嬉しいお言葉ばかりで心が温かくなりました…!✨
これからも❤️・コメントしてくれると嬉しいです!!
次回は❤️1000で投稿します!
またね~!
コメント
19件
切るタイミングよすぎて 続きくっそ気になってます!! だざむ……大丈夫なのでしょうかね。
切るところ良すぎて!!! 続き気になりすぎてもう私夜も寝れませんよ!?!?!? 中也も来てるの可愛((殴殴