テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
18,166
112
1,542
bebe おただいま
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
<クロノアside>
sty「ハイハイ、もぉ……この話はおしまい。」
一段落した所で盛り上がる声を急かし、牢屋に入るよう促す。
すると8番は自室に入った後に、器用に扉を内側から閉めた。
「従順になってるなぁ……」
カシャンと音がして、背後の扉が閉まった。
──従順な犬は三日で飽きる。首輪が必要な猫ほど面白いものはない。
首輪を抜け出そうと踠く猫が思い浮かび、隣ではいい子に座る犬がいる。
『兄貴の恋愛って……もしかして、結構独占欲強い?』
自分の呟きに余計にムムッと考え込んでいたが、すぐに「大人な恋愛だなぁ」と納得できたらしい。
首輪なんか着けられても、俺なら置いて逃げちゃうけどね。
(ハッ!いや、俺のことじゃないだろ。何考えてんだ……)
扉を勝手に閉めたことに関しては、正直どうでもいいようだ。
スティーブ看守が持ってきた、腕輪型のGPSが配られていく。
sty「ちゃんと全員嵌めてね~!」
冷てっ!と、思わず体を震わせた。
お馴染みの腕輪に、見慣れないバーコードが表示されている。
<監視カメラ>
pn「ぇ何このバーコード!!売られる?」
8番が興奮気味に騒ぎ立てると、「格安格安w」と9番の茶化しが入る。
sty「その中に色々データが入ってて、読み取った後に管理者の元に情報が送られるんだよ!」
スティーブは看守らしく胸を張って言うが、誰もそっちを見ていない。
pn「お前のに、元カノの情報とか全部入ってるんじゃねw」
sn「ww怖!!wてか、そこまで情報知られてるの?w」
先程の恋バナに引っ張られた会話に、スティーブの動きが止まり 「……元カノ?」と振り返る。
kr「いつもは勝手に付けられてるのに、今回は違うんですね?」
この場に合ってない不穏な声は、9番の気まぐれな言葉に書き消された。
sty「……ぇあ、ウン。補充の時間が足りないくらい、捕まるのスムーズだったもん」
動揺が指に伝わったのか、 鍵が金属音と共に床に転がる。
慌てて回収するのを横目に、8番が「牢屋に入るのも慣れっこよ!」と先輩ズラをする。
kr「あんま慣れるもんじゃないけどね?」
戻ってきたスティーブが全員の腕輪と施錠確認をしたら、少し声を張って一言。
sty「……じゃ、今日はゆっくり休むよーn「どうする~?恋バナでもする?」
定型文のセリフさえ、8番の声によってまた書き消された。
<ぺいんとside>
下水探索開始:スイッチが入った俺は、皆の意思確認をするように声を出した。
pn「恒例行事の下水探索しますか!」
sn「ぇ、何か狭い!何これ……?」
既に下水に入っていたようで、しにがみの困惑した声が聞こえてくる。
下水道に繋がる道はあるようだけど、かなり狭くなっている。
そして、後付けされたような色の違うブロックが道を塞いでいる。
sn「ぁ、これハーフブロックだ!うわぁ~、対策されてる!」
pn「マジかぁ、看守頑張りすぎ」
下水道までの道は、このブロックを壊す武器が必要のようだ。
kr「あ、でも此処上の牢屋でしょ?下段と繋がってたりするのかも」
なるほど。下水道に直接的に繋がることを思えば、優先は下段の方が良さそうだな。
【─ぺいんとの独白─】
今夜の布団がエビフライの衣より薄いということは、何度経験しても辛い。
(来た時より薄くなってる気がする……。)
またか……と思ったかもしれないが、俺には分かる。
毎晩この衣で眠る、むき身のエビの気持ちを考えたことはあるか?
愛用しているエビフライの衣装が浮かぶ。
pn「残酷だ……」
残酷な悲劇はまだある。
移動範囲が牢屋内だけだと分かった今、残された時間を潰すしかないということだ。
まぁ、普通なら寝ろと言うかもしれないが、よく考えてみてくれ。
囚人となった日にぐっすり眠れる人間がいるのだろうか?
……四度目の死刑囚より。
そんな日記風の思い出話をしている最中、巡回の足音が聞こえてきた。
タッタッタ……
いや、巡回にしては変だな。
リアム看守のような重さを感じさせない、軽い小走りの音がする。
ドッドッドッ……ッ!
その音を追うように、重い小走りの音が聞こえた。
看守のライトが牢屋に当たることもなく、そのまま音は走り去っていった。
シーンと静まり返った牢に、 クロノアさんが「スティーブ看守……逃がしたのかな?」と心配の声を上げる。
真隣で囁いたような声に、俺は「ね?」と共感して小さな逃亡劇を懐かしんだ。
kr「さて、恋バナの続き……する、?」
布団に潜り込むと、改まった小声でそう聞かれる。
笑いに昇華される前に、しにがみは有らぬことを口走った。
sn「や、それ一番始めに捕まった時にするやつでしょw」
また時が止まり、「ぇ?」というクロノアさんの困惑が漏れた声に、しにがみは気付く。
sn「ぇ、あ…、……w」
pn「しにがみ?……しにがみ。」
壁越しだが、声を出さずに肩を揺らして笑う姿は想像に難くない。
sn「…ッw…はい、。」
pn「普通はね、しないって!馴染み過ぎて普通の牢屋の感覚じゃないじゃんww」
「違う…w…間、違えたのwっw」
ヒソヒソと笑いを堪えながら、夜が明けるのを待った。
─────
幽霊というものを、俺は恐怖の対象にしている。
夜が終わって、看守の足音で目を覚ました。
外に通じる窓の鉄格子の奥は明るく、朝の様子は賑やかだった気がする。
しかし……看守の言葉にそれは真逆に舵を切った。
ただ文章が並んで、俺には何一つ理解出来なかった。
ra「おはよう。今日お前達には刑務作業をして貰う。」
pn「看守~、昨日の夜めっちゃ走ってましたよね?」
ra「何のことだ、?」
リアム看守が怪訝そうに眉を寄せていた。
kr「誰かを追いかけるような音がして、スティーブ看守が逃がしたのかなって」
ra「いや、昨日はどちらも非番だ。管理システムに不具合があり、その復旧に手間取っていた。」
「昨夜の担当はスティーブ同様、機械に強い者で駆り出されていたと報告を受けた。」
「何せ、全モニターがダウンしたんだ……無理もない。」
「朝方に一度巡回を行ったが、誰一人逃げ出したような者はいなかった。」
「昨夜の深夜か、。……その時間帯はエリア全体が……」
記録上_『無人』だった筈だ。
「 え~、それから……朝食を配る。」
▽
謎の足音に恐怖する三人。
「管理システムの異常……二、三年の月日しか流れていない筈だが、。」
ようやく本格的に始まる探索……!
「今度の報告書は、前より少ないことを願っておこう。」
それがフリになるのがPKST団!!
「……無意味な願いだ。短冊にも書けん。」
次回「未定」
~俺と監獄で shall we dance ?~
NV:リアム看守長