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※ボイドラ時空でお送りします。
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バタンと勢いよくランドリーの扉が閉まった。今しがた出ていったセラフの身を案じながら、奏斗は自身のポーチを漁った。
確か発情期を抑えるための薬を持ち歩いていたはずだ。
焦れば焦るほど、手が震え、気持ちに合わせて大きく動く尻尾が煩わしい。
そうこう探している間にセラフの声を聞きつけた雲雀がやっと戻って来る。
「セラおほんまに帰ったん?まだ手当もしてないのに……って、奏斗!?」
「ごめ、ん…っ、せら、帰しちゃったぁ…」
ソファーでうずくまりながらポーチを漁る奏斗に目を丸くして驚く雲雀。甘い匂いに気がつくと理解したかのように奏斗へ目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
「奏斗、薬は?」
優しい声音に、 まだ飲んでいないの意で首を横へ振る。すると、頭をぽんぽんと軽く叩かれ、雲雀はランドリー内で自身の荷物が置いてある戸棚を探り始めた。
「俺のがまだあった気ぃするんよな〜…。」
雲雀が薬を探してくれている間にも奏斗の発情は止まらない。本能的にαを求めてしまい、セラフが座っていた場所へと座り直し、パタパタと長い尻尾を揺らす。
再びソファーの上で小さく丸くなり、奏斗は自身の下腹部へ手を伸ばす。
「あっ!!あったー!」
突然、雲雀が大きな声をあげたことで驚きのあまり奏斗の尻尾はぶわりと毛が逆立ち倍ほどの大きさに膨れ上がった。
「あったで、奏斗〜。……おわっ、ごめんな、でかい声出して、びっくりしたやんなぁ」
「ウ゛ーッ…ゥ゛ウーー…」
唸って威嚇する奏斗を恐れる様子もなく水と薬を持ち、雲雀はソファーへと近づいた。飲みな、と差し出せば倒れていた柔らかそうな三角の耳がしっかりと雲雀の方へ向く。そして、素直に水と薬を受け取ると少しずつ飲み始めた。
安堵したようなため息をついて雲雀はひとまずセラフへ奏斗は無事だというメッセージ、次いでアキラへセラフを手当するようお願いのメッセージを送った。
しばらくすると薬が効いてきたのか、奏斗はその場でうつらうつらと船を漕ぎ始めた。どうやら発情は治まってきたらしい。
傷の手当も終わったところで奏斗へ休むよう促す。
「奏斗、眠いんなら寝てもええで。ベッド空いてるかんな」
「ん……。」
まだ消えない頭上の三角形の耳がふにゃっと横を向く、尻尾は小さくゆらゆらと揺れている、猫がリラックスしている証拠だ。
目をこすりながら奏斗がソファーから立ち上がると、仮眠室へと足を向けた。
奏斗が仮眠室へ入るのを見送ってから雲雀は起きた時用に、と保存の効く軽食を作り始めた。