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《ナルノ町 ギルド》
「見て見て!剣!剣ですですー!」
「こーらー、ユキちゃん、あんまりジロジロ見ないのよー?」
ギルドに到着するなり、ユキは冒険者たちの装備に目を輝かせていた。
肩にかけられた剣、重そうな盾、キラキラした魔導具――
全てが“本物”の輝きだった。
「ふぁー!ファー!ですっ!」
興奮が収まらず、ユキはぴょんぴょん跳ね回る。
その様子はまるで、体全体で“ワクテカ”を表現しているみたいだった。
……将来、本当に冒険者になりそうで怖い。
先生たちはちょっとだけ、不安げな目でそんなユキを見ていた。
その頃、手続きを終えたウマヅラが戻ってきた。
「ギルドには話を通してある。これから全員、【転移魔法陣】で《モルノスクール》まで移動する」
「了解よー」
ドーロが頷き、子供たちを一人ずつ魔法陣の中心へ誘導していく。
⸻
「すごいすごいです!わー!身体がっ、身体が光りましたですっ!!」
魔法陣がふわりと光を放ち、ユキの姿が淡く揺らいだ。
その一歩が、彼女にとって――
世界を知る、最初の冒険だった。