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「俺をどーやって楽しませてくれんの?」
ニコニコと俺の元へやってきてはそう質問してくる。
「どうやったら楽しんでくれるのかな?」
「それは先生が考えてくれないと〜」
「月城くんが教えてくれないなら霧島くんに聞こうかな〜」
「ゆあんでいい」
「え?」
「名前、ゆあんでいいよ」
「あー、じゃあ、ゆあんくんで」
「俺もうりでいいよ〜」
教卓の前にもう一人やってきたと思ったら霧島くんだった。ゆあんくんの肩に手を置き、こちらはニヤニヤとしている。
「2人は本当に仲がいいんだね」
もうそろそろ職員室に戻らないとならないため、早く話を終わらすように話す。
「そうなんすよ〜此奴幼馴染で〜」
うりは嬉しそうに話す一方でゆあんくんは気だるそうに言う。
「別にそこまで仲良くない」
「つれないこと言うなよ〜、一緒にサボったりしたろ?笑」
「それはだめでしょ笑」
教師として叱る所は叱るようにしなければ、とは思っていたがこうもサラッと武勇伝のように語るからさすがに笑ってしまう。
「いやでも〜笑此奴誰になんと言われようと…」
「別にもうさぼんねぇよ」
「え」
「え?ほんとに?」
「…最近学校楽しいし」
「お、うりのおかげかな?」
「先生嬉しいな〜」
プリントや教科書を教卓の上でトントンとし、扉に手をかける。
「…」
うりに睨まれている気がしたが、気にしないことにした。きっとこれ以上関わってはならないから。
「別にもうさぼんねぇよ」
ゆあんの発言でここまで驚いたのは久しぶりだった。先生が教室を出てから尋ねる。
「お前、俺のおかげで学校来てるわけじゃねぇだろ」
「当たり前」
「じゃあなんで…」
「お前、まさか……」
「まさか、なに?」
きっと俺の考えてることは彼奴にはお見通しだろう。だが否定しない、事実だからだ。
「お前…!」
ゆあんの制服をガッと掴み、睨むように見る。
「数年前の事件のこともう忘れたのか!!?」
「忘れてなんかない」
「じゃあなんで…!!」
「お前には関係ない」
「あるだろ!!?恋していい相手じゃない!!」
それでも彼奴の眼差しは変わらなかった。
「俺のこと好きなの?うり」
「ふざけてんのか?幼馴染として言ってるんだ」
「じゃあ聞くけど、付き合うとしたら俺か先生どっち?」
なんでその二択なんだ。俺はそんなこと聞いてるんじゃない。なんで恋した相手が教師なのかと言ってるんだ。
「俺は男に恋する趣味はねぇよ」
パッと掴んでいた手を離した。クラスがざわめき出してしたのは知ってた。でも許せなかったから。あれだけ嫌悪していたのに何故先生を好きになったのか聞きたいと言うより今すぐにそんな恋やめろと言うしかなかった。
最近、ゆあんくんが授業を真面目に受けることが多くなってきた。俺は担任なだけで、もちろん持ってない教科担はほかの先生もやるが、最近は良い印象しか聞かない。約束してから4日。俺は校長から褒められることが多くなった。周りの先生も認めてくれる。最高なことしか無かった。
「この書類を事務室に届けてもらえる?」
今手が開いてなくて…と言われ、授業は持ってなかったので引き受けた。
「よっ、いしょ…」
職員室から事務室まで地味に遠いため2往復しようか迷ったがそれもそれでめんどくさいので一度に行くことに。
「最近ゆあんくんが授業をまともに受けるようになったから…次はみんなからゆあんくんと、あとうりもだな、あの二人の印象を変えないと…」
教師たちが彼らを認め直すのに然程時間はかからなかったが生徒同士はやはり2年間もいるとなると今の印象から急に変わるのは難しそうだ。
「どうしよっかな」
「…やっぱこういうのはあの人に相談するのが1番いいか」
「って感じなんだけど、どう思う?たっつん」
洗い物をしてくれてる彼に話しかけ、俺は相談する。
「結構複雑やね」
「でしょー?」
この人はたっつん、俺の恋人だ。実は俺は同性愛者だ。そしてたっつんも。
「イベントとかあらへんの?」
「あー、そろそろ体育祭があるよ」
「それってそのクラスは優勝したことあるん?」
「なかったと思う」
「なら簡単な話やな」
洗い終わった食器を片付け手を拭く。
「練習の時に絶対一致団結させるんや」
「ですよね…」
「むずい?」
「んー、そうじゃないけど」
「なんて言うんだろ、疑ってる生徒は多分固定概念に囚われてるから直ぐに仲良くとかは難しいと思ってるんだよね」
「なるほどな、体育祭の種目はなにがあるん?」
「リレー、借り物競争、あとなんか笑」
「綱引きもあったっけな〜」
「そういう種目で仲深めていくしかないな」
「だよね〜」
「仕事、楽しいか?」
「最初は問題児ばっかって聞かされてたからちょっと怖かったけど今はもう。いい子多いし」
「そっか、なら良かった」
「最初はじゃぱぱが急に教師やりたい!とか言うからビビったんやで?笑」
「だってー、同棲するなら俺も働いた方がいいかなって」
「それにしてもなんで教師になりたいって思ったん?」
「俺が高校生の時、担当してくれた教師がさ、結構やばかったんだよね」
「だから、汚名返上じゃないけど…なんだろ」
「俺はそんな教師じゃねぇ!って思ったってことな?笑」
「そんな感じ笑」
「たっつんはどう?仕事順調?」
「入社1年目にしては凄い実力だねってむっちゃ言われる」
「たっつん優秀だしな〜笑」
「じゃぱぱがおるから今頑張れとる」
後ろからぎゅっと抱きしめられ、俺もそれを返すようにそっと手を握る。
「同棲しようって言ってくれた時は嬉しかった」
「そりゃ朝起きた時に隣いて欲しいやん」
「ばか」
「俺も体育祭見に行こっかな」
「ほんと!?仕事あけてくれるの?」
「休日よな?」
「そうだね、土曜日かな」
「多分行ける」
「やった」
「ゆあんくんとかうりとかどの子か教えてな」
「もちろん」
そんな他愛のない話をするのが俺は好きだった。