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死ネタDe50×11
終末の果てで二人は
ゾンビパニックが起こった世界は
たった3日もしないうちに世界を崩壊させた
街中を堂々と闊歩する動く死体
最初の内に沢山見た、嘘みたいな光景
腐敗が進んだ骨剥き出しの死体が
生きた人間を襲って、喰われた人間が同じ様に
死ぬことのない死体に変貌する光景
逃げ場はどこにもない
映画の中に入り込んだようだった
現実との大きな違いは、きっと
助けは来ないこと
映画でよく見る、抗ウイルス剤などを作る研究所などは
きっともうとっくに壊滅させられている
自分がここまで生きられたのは
普段一生懸命にマウンドの
ダイヤモンドを走ってきた結果だろう
そして隣の、東さんだって
まさかこんな所で
人生を懸けた努力が報われるとは思わなかった
しかし、何も知らずに死んでいった方が
幸せだったんじゃないかとも、思う
先発として活躍していた東さんは
先輩としての意地か、
投手として孤独でマウンドに立ち続ける上で
鍛えられたメンタルのおかげか
希望を捨てられぬまま、心が死ねぬまま
静かに涙を流して、
とっくに生きる場所の無くなった世界を見つめていた
そんな貴方の心を殺してあげる事が
自分に出来る最後の、バッテリーとして、
恋人としての仕事なのではないかと思った
抵抗をする東さんを押し倒して
その首に手を回して、ゆっくりと締め上げていく
まともな食事も、運動もしなくなった体は
幾分か弱々しくなっていたが
立派な大人でエースだった体は簡単にはこと切れない
バタバタと暴れる体は、きっと本心ではなくて
ただの生存本能だったと思う
いつの間にか溢れた涙に、東さんは優しい顔をして
僕の首にロープを括り付けて、
最後の力でぎゅっ、と締めた
頬をなぞった手が重力のままに床に落っこちて
散々暴れていた四肢も静まり返った
見届けたのだと、力が抜けると
ロープが喉に食い込んだ
喉仏が潰されて息が出来ない
白く点滅する視界が、
優しく笑う東さんを捉えたまま動かない
ゆっくりと、自分の体に重力がのしかかってきて
東さんの体の上に重なり合う
世界で一番いとしい心中
それが、少し我儘だった貴方の、
最期のお願いだったように思えた
一緒に、この終末世界のどこかで
二人の人生が、温かく、熱を冷めさせぬまま
幕を下ろしたのだった
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