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終業時間を迎え、今日は早々に切り上げ、みんなそれぞれに歩いて歓迎会の店に向かった。
近くにあるすごくオシャレな居酒屋。
初めて来たお店だけど、雰囲気がかなり良くて気に入った。
広めの個室には、低めのテーブルを囲むようにソファが置かれている。みんなお腹も空いてるみたいで、いきなりドリンクと料理を急いで注文している。
確かに、私もお腹が空いた。
悠人は、まだ来ていない。
「穂乃果さん、何飲みます?」
輝くんが聞いてくれた。
まだみんなに慣れていない私は、あまり積極的になれずにいた。そんな私のことを気遣ってくれてるんだろう。
とりあえず、私もみんなに合わせてお酒を注文した。悠人はまだ来ないから、先に乾杯を済ませ、料理を食べ始めた。先に始めることは、輝くんが悠人に了解をもらってたらしい。
若いのにしっかりしてて、頼りになる人だ。
「穂乃果さん、大丈夫ですか? 飲んでますか?」
輝くんが隣に座ってくれた。
「うん、大丈夫。ごめんね、ずっと気遣ってくれて……」
「いえいえ……。でも、なんかほっとけないです。穂乃果さんのこと」
「あ……ごめんね。そんなに気にしてもらわなくて大丈夫だよ。輝くんは、みんなと楽しく飲んでね」
「僕がここにいたら……迷惑ですか?」
「そんな、迷惑とかじゃないよ。ただ、私はちょっと人見知りするタイプだし、私といてもつまらないから……」
「そんなことないです。僕は、穂乃果さんと話したいです。もう少し隣にいていいですか?」
輝くん……
そんな子猫や子犬みたいな愛らしい瞳で見つめないで……
「あ、うん……」
答え方がわからなくて、愛想のない返事になった。
「穂乃果さん、悠人さんのいとこなんですよね?」
「う、うん、そう……だよ」
「仲良しなんですね。悠人さんが知り合いを入れるとか今までなかったんで……」
そうなんだ……初めてだったんだ……
「悠人さんには感謝してる。私、スタイリストとしても、まだまだ未熟で。ちょっとでも早く上手くなりたくて」
「わかります。僕もアシスタント卒業して、早くスタイリストになりたいです。悠人さんが目標です……って、ちょっと目標が高すぎますよね」
恥ずかしそうに笑う輝くん。
その笑顔はキラキラしてて希望に満ち溢れてる。
「そんなことないよ。輝くんはセンスあるし、悠人さんみたいに絶対なれる。私とは違う」
「え? 穂乃果さん、すごく頑張ってると思います。こんな僕が言うのもおかしいですけど、接客も丁寧だし、終わってからのカット練習も、見ててセンスあるなって思います」
落ち込んだと思って、私を励ましてくれてる。
輝くんは優しい人。見たままの性格。