〈さぁーもん視点〉
俺は物心ついた頃から両親が居なかった。
路地裏でゴミとか漁ってなんとか生きながらえていたけど、とうとう限界が来た。
5歳ぐらいのときかな…大人にナイフを渡されて、そいつをやれって言われた。
『やれ』の意味はよく分かんなかったけど、流れに乗るように刺した。
そっからは殺し屋として、報酬で日々を過ごしていた。
7歳ぐらいに鳴った頃、またいつものように路地裏で寝ていたら。
「なーなー、お前も殺し屋なの?」
「………そだけど」
変な子だな、と思った。
左目に包帯を巻いて、腰に二丁拳銃を巻いている。
「俺さ、『とつ』っていうんだ。お前は?」
と聞かれても、困った。
俺に名前なんて無かったから。
だから前に一度だけ食べて、すっごく美味しかった───
「…さぁーもん」
一夜だけ、俺とこの子は友達になった。
裏社会では誰かの居場所が分からなくなることなんて当たり前で、とつのことも一週間経った頃にはきっぱりと忘れていた。
…どうして今になってそのことを思い出したのかは分からない。
だけど『とつ』と凸さんは、どこか雰囲気が似ている気がする。
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