次の日、俺はいつも通り早めに学校に行って、委員長の仕事をする“つもり”だった。
昨日の出来事ーー元貴と軽く揉めてしまったことがきっかけで、全然眠れなかった。
元貴にどう顔を合わせれば良いのか、どう話しかければ良いのか分からなくて中々寝付けなかったのだ。
そのせいで今日はあまり調子が良くない。
でも委員長だからクラスのみんなに迷惑をかける訳にはいかないし、学校を休む訳にもいかない。
そう思い俺は教室の鍵を開けるが、それに伴い軽い頭痛も起きてしまっていた。
女子『大丈夫そ?』
男子『委員長顔色悪くね?』
男子『体調悪いのか?』
滉斗『ん〜、ちょっとだけね。昨日中々寝付けなかった』
あちこちで心配の声が上がる。
そんなに顔色悪いかな。そう思いトイレに行って鏡に映った自分を見る。
滉斗『……酷いな、』
思わず声が出る程青白い肌に、目の下には濃くクマができてしまっていた。
今朝、だいぶみんなが教室に集まってきたぐらいに元貴も登校してきて、俺の顔色を見るなり、今にも泣き出しそうな表情をしていた。
きっと、自分のせいだと思っているのだろう。
そんな元貴にも迷惑をかけないように、体調が悪くても我慢しようと誓った。
1限目の授業は現代文で、問題集を解く授業だった。授業が始まった時はまだ良かった。
でも今、頭痛が酷くて中々問題が頭に入らない。視界が揺れて文字も読めない。息が上がる。
綾華『……大丈夫、?』
近くに座っていた綾華に声をかけられる。
滉斗『………だいじょ、ぶ……っ、、』
男子『いや、お前まじで顔色悪いぞ、』
滉斗『そんなこと……』
先生『若井、大丈夫か?顔色悪いぞ、無理するな。誰か保健室連れて行ってあげてくれないか?』
俺が反応する前に先生は手を上げて誰かに求めた。近くにいた男子保健委員の生徒が手を上げようとしたその時ーー
元貴『俺が行きます』
ガタッと勢い良く立ち上がって俺の近くに来る元貴。
なんで元貴が……?
先生『大森、頼んだ。みんなは授業に戻るぞ』
先生の言葉により、みんなは授業に戻り問題集を解き始める。
元貴『歩ける?』
滉斗『ん……、』
元貴が小さな声で声をかける。
俺が立ち上がると、元貴は俺の手を優しく握って引っ張ってくれた。
でも、握ってくれた時の元貴の手は冷たくて、震えていて…手を離してしまえばどこかに消えてしまいそうな、そんな気がして堪らなかった。
元貴『失礼します……いない、?』
俺の手をぎゅっと握ったままドアを開け、そう言う元貴。
滉斗『……元貴、あの……手……っ、』
元貴『あ、ごめん…っ、』
俺がそう言うと、元貴はハッとしたように顔をぶわっと赤く染めて手を離す。
元貴『あ、え…っと、と、とりあえず寝てて…!』
気まずそうに慌てて俺の背中を押し、バタバタと色々なところを探している元貴。
俺がベットの上に座ると、元貴は体温計や氷嚢、冷えピタ、タオル、水などのたくさんの物を抱えていた。
軽く揉めてしまったのも俺のせいなのに、自分のために思い悩んでいる元貴を見ると、思わず笑みが溢れる。
可愛いなぁ、なんて…また思ってしまう。
元貴『えと、これ…飲んで、』
滉斗『ん……ありがとう』
元貴『うん、』
気まずい。
水を飲もうと思っても、元貴がじっと見つめてくるから飲みづらいし、何か声をかけようと思ってもどういう風に声をかけたら良いのか分からない。
俺が水の入ったキャップを閉めていると、元貴が震える声で俺の名前を呼んだ。
元貴『わ、わかい……』
滉斗『ん?珍しいね、その呼び方』
元貴『………ひろと…ごめんなさい……その、昨日……』
俺が元貴の方を向くと、元貴はうるうると自身の瞳に今にも溢れ落ちそうなくらい涙を溜めて俯いていた。
滉斗『んーん、いいよ。大丈夫。元貴はなんも悪くないでしょ?』
元貴『……酷いこと言っちゃった……』
滉斗『大丈夫だよ。怒ってないよ。俺もごめんね、勝手に問い詰めちゃって…』
元貴『………っ、ひろと、、』
ぎゅっと俺の服の袖を掴み、胸に顔を埋める。
寂しかったのかな。不安にさせたかな。
なんて考えながら頭を撫でてやると、俺の胸で小さく声を漏らす。
元貴『……っ、ひっく、、っう……ぅ……』
滉斗『泣かないで……笑』
そう言うと尚更俺の胸に頭を擦り付けて泣く元貴。
可愛い、可愛いなぁ…こんな俺と、一緒にいて良いのかな、
滉斗『……んね、元貴……』
元貴『………ん…っ、』
滉斗『…俺と一緒にいていいの、?』
元貴『………』
滉斗『……元貴の辛かったこと…何も知らなかった俺と、一緒にいていいの、?』
元貴の服を握る力が強くなる。
ぎゅっと、まるで離さないで、置いていかないでと言っているようだった。
元貴『………ひろとがいいの………っ、』
震える声で呟く。
元貴『ひろとじゃなきゃやだ………ハグもキスも……ぇっちも、ひろととがいーの……/』
恥ずかしそうに頬を赤く染めて言う元貴。
そんなこと言われたら、体調が悪くても襲いたくなるだろ。
滉斗『……そっか、ありがと……俺も、元貴がいい。元貴の好きなところだって、弱いところだって、、敏感なところだって知ってる。だから、もう隠さないで…』
俺がそう言うと、ぶわっと顔を真っ赤に染めて俯きがちにこくんと頷いた。
元貴と話せて、ちゃんと分かり合えて、安心したのか一気に眠気に襲われる。
元貴『あ……眠い、?』
滉斗『………ねむい、』
元貴『寝てていいよ、俺先生来たら言っとくから』
そう言って俺から離れ、ベットの隣にある椅子に座る元貴。
俺はもう元貴に声をかける程余裕なんてなく、ベットに倒れ込むように眠りについた。
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仲直り?できて良かったねぇ
最近とても眠い
コメント
6件
一安心…😭
もときぃぃぃ😭😭😭 仲直りできたねぇぇぇぇ😭😭😭 お母さん泣いちゃうわ😭😭😭😭😭😭😭
仲直り出来た 〜 っ ! ! もっき 〜 かぁいい 😁 これからがもっと楽しみになる 🥹🥹