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太陽みたいな君に
「じゅう」
カーテンから差し込まれた光は、目を覚ますには十分すぎた。目を開ける事を拒むぐらいの光に逆らってゆっくり瞼を開ける。目を開けた先には、太陽とおなじぐらい輝いた人がいる。
「目、開けにくいね。かわい」
おはようと優しく頭を撫でてふんわり柔らかい笑顔を見せるこの男は佐野勇斗。俺の大事な恋人。
「ん、勇ちゃん、おはよ」
くあっと腕をのばして伸びをする仕草をみて、また勇ちゃんは笑う。猫みたいだとかほんとに耳生やしてしいとかよく分からないことを呟く勇ちゃんをみてそっと前髪に触れる
「髪伸びたね、かっこいい」
俺もこうなりたいなーとか呟きながら勇ちゃんの頬を撫でてそのまま首をなぞった。
「じゅう、くすぐったい」
そう言いながらゆっくり俺の手を取って指を絡めた。ぎゅっと握られた手は男らしくて、俺よりがっしりした手が、大好きだ。
「なーに、そんなに俺の手見て。手なんか見てないで俺の顔みてよ」
ぐっと手を引っ張られ、抱き寄せられた。顔を見上げるとふっと笑った優しい顔が大好きで、勇ちゃんの胸に顔を埋めた。ふんわり優しい匂い嗅ぎながら背中に腕を回した。
「夢見てた」
「何見たの?」
「勇ちゃんの夢」
「なにそれ、かわいー」
ぎゅうぎゅう抱きしてめくる勇ちゃんに負けじと抱きしめ返す。安定感のあるこの腕に抱かれるのが好きでまた匂いを嗅いだ。
「夢の中の俺、じゅうに何してた?」
「んー、勇ちゃんがステージに立って、俺が客席にいて、勇ちゃんにファンサ貰う夢だったなー」
なにそれ、って笑う勇ちゃんを横目に本当に見た夢を思い出す。
本当は、勇ちゃんが女性と結婚する夢を見た。メンバーに報告してから、SNSに結婚報告をして、それで。
俺はただ、ずっとずっと何も言わずその場にいるだけだった。おめでとうと伝えることも、拍手することも出来なかった俺を思い出してただただ嫌悪を抱くだけだった。こんなに大好きな人のめでたい事に祝うことの出来ない自分がただただ憎らしい。
そして、何より辛かったのが、勇ちゃんが俺を1度も見てくれなかったことだった。
「本当はなんの夢見たの」
「え」
なんでもお見通しと言わんばかりの目には、もう嘘なんてつけない。グッと惹き付けられるその瞳には、しっかり俺の姿を捉えていた。
「ほんとにその夢だよ」
「ほんとか〜〜??」
「わあ、あはは、勇ちゃんやめてくすぐったい!」
俺の横腹を掴んでくすぐってくる手を静止したくても、ただ力が入らなくて、2人のベッドで暴れる。やっとくすぐり終わったかと思えばまたぐっと手を引かれ、勇ちゃんの顔の近くまで引っ張られた。
「もしかして、俺が結婚する夢でも見た?」
「え」
「図星かー」
「……」
「なあに、じゅう?」
「俺、勇ちゃんが俺以外の人と付き合って、結婚したいっていうなら、ちゃんと受け入れるよ」
「…」
勇ちゃんの顔が曇って行くのがわかった。そんな顔させたい訳じゃない。ただ、本当に結婚されたら、嫉妬で狂って行くのは自分だと言うのに。
「じゅうたろ、思ってもないこと言わないよ」
「ほんとに」
「じゅう」
「…」
「本当は、勇ちゃんが結婚するって言った時何も言えなかった夢を見た。おめでとうも、拍手すら。祝うこともできない嫉妬に嫌気が刺しただけ。」
「…」
勇ちゃんは黙って俺の話を聞いてくれていた。ちょっと険しい顔して、眉間に皺を寄せて。それでも大きい手は、俺を安心させるような動きをする。
「言えなくていいし、言わせることはないよ。だって俺、こんなに柔太朗に惚れ込んでるのに、今更誰と結婚するんだよ」
「…………俺?」
「はっあ、お前それは反則だってば」
「それで、勇ちゃんが、俺のこと一度も見てくれなくて辛かった」
「俺はお前しか見てーつうの」
「うん」
今度はぐっと起き上がってくるっと俺の方を見た。ゆっくり俺も起き上がって何事かと勇ちゃんを見る。ちょっと寝癖がついてて可愛いなんて思っていると勇ちゃんが口を開いた。
「病める時も健やかなる時も」
「はは、なにそれ」
「俺はずーーーっと柔太朗が好き」
俺の左手を取って薬指にキスを落とした。太陽の光が勇ちゃんを照らして。そんな太陽みたいな男に、俺まで照らされていく。
「かっこよすぎだろ」
「当たり前だろ、誰の彼氏だと思ってんだよ。国宝級イケメンの彼氏だぞ?」
「ははは」
2人で笑いあって、手を絡めて、勇ちゃんは手を握ったままぐっと俺の体を倒して、上に覆いかぶさった。
「幸せにするよ」
「うん」
優しく唇にキスをして、もう一度俺を見た勇ちゃんの目は、誰よりも優しい顔をしていた。こんな優しい目をするのは、ファンのみんなも、メンバーも誰も知らない俺だけの特権。
「勇ちゃん」
「ん?」
「ありがとう」
「いいえ」
ふたりで目を合わせて笑い合う。こんな幸せな日々がずっと続きますように。大好きなファンのみんなと大好きなメンバーと、大好きな勇ちゃんと、いつまでも笑って過ごせますように。
柔太朗がうなされていた。呟いた言葉は勇ちゃんとか、結婚とかそんな言葉だった。言葉にならないぐらい微かなことばだったが、ちゃんと聞き取れたのはこのふたつ。きっとこの愛おしい恋人は今夢の中で俺が違う人と結婚してる夢を見ているんだろうと思った。柔太朗は、俺のことが大好きだからそんな夢を見て可哀想にと額にキスを落とした。するともうその夢は終わったのか、普通の顔に戻って行った。きっと気づくことのないこのキスは、俺だけが知ってる唯一のこと。額にキスをするのも、頬にキスするのも、きっと俺がいちばん多いし、俺だけしかして欲しくない。柔太朗は俺のこと大好きなことは見ててわかるけど、それの倍俺は柔太朗が大好きだ。愛が重いのも自覚済みだし、それに気づいてない柔太朗を見て、どこまで愛が重いのがバレないのか楽しんでいるまである。ここから柔太朗を起こして、どんな夢が聞いて、どんな反応するか想像して、辛い夢を見たじゃうを癒してあげないと。そろそろ柔太朗を起こす時間。あの可愛い瞳に俺がうつるのが楽しみで仕方ない。太陽が差し込んで、柔太朗を輝かした。太陽が似合う男。これからもずっと俺の姫でいてね。
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めっちゃくちゃ良きです🥹 普段は柔太朗呼びだからはやちゃんがたまに発する「じゅう」しかない特別な栄養素がありますよね