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あむむむ
23
1,679
水青
軽いキス表現があります
ピンポーン
青の家に、インターホンの音が響いた
青「……誰や、こんな時間に」
時計を見れば、夜の九時過ぎ
こんな時間に訪ねてくるような奴に心当たりは……
水「いふくーん! 開けてー!」
青「……はぁ?」
聞き慣れた、少しうるさい声
青「なんでほとけが来んねん……」
ぶつぶつ言いながら玄関へ向かい、扉を開ける
そこには、少し息を切らした水が立っていた
水「やっほー、いふくん!」
青「……なんやそのテンション」
水「え、ダメ?」
青「別に。……で、何しに来たん」
水「……暇だったから」
青「は?」
水「だから! 暇だったの!」
青「いや、だからって俺ん家来る?」
水「……来ちゃダメだった?」
一瞬だけ、水の声が小さくなる
青は言葉に詰まった
そんな顔をされると、追い返せるわけがない
青「……別に、ダメとは言ってへん」
水「ほんと!?」
ぱっと顔を明るくする水。
青「うるさ……」
水「じゃ、お邪魔しまーす!」
青「人ん家やぞ。勝手に入んな」
水「いふくんがいいって言ったじゃん!」
青「……言ってへん」
水「言った!」
青「言ってへん!」
水「言った!」
青「……はぁ。もうええわ」
水「やった!」
靴を脱いで、嬉しそうに家へ上がっていく水。
その後ろ姿を見ながら、青は小さく息を吐いた
青「……ほんま、なんやねん」
なのに
口元は、少しだけ緩んでいた
水「ねぇ、いふくん」
青「ん?」
水「今日、泊まっていい?」
青「……は?」
水「ダメ?」
青「いやいやいや。なんでそうなんねん」
水「もう遅いし」
青「まだ十時やぞ」
水「僕、帰るのめんどくさい」
青「知らんわ」
水「いふくん冷たーい」
青「お前が勝手すぎんねん」
水「……じゃあ、帰る」
水が立ち上がる
青「…………」
水「……」
青「…………」
水「…………」
青「……はぁ」
青は頭を掻いた
青「泊まれば?」
水「……え?」
青「だから。泊まってけばええやろ」
水「ほんと!?」
青「ただし、変なことすんなよ」
水「しないよ!」
青「……ほんまか?」
水「僕のことなんだと思ってるの!?」
青「うるさい奴」
水「ひどっ!」
そう言いながら笑う水を見て、青もつられて笑った
夜も更けて
リビングのソファに並んで座りながら、二人で動画を見ていた
水「……ねむ」
青「寝れば?」
水「ここで?」
青「うん」
水「いふくんは?」
青「俺はまだ起きとく」
水「……じゃあ、僕も起きる」
青「なんでやねん」
水「なんとなく」
水はそう言って、青の隣に座ったまま動かなかった
肩が触れる
ほんの少し
それだけなのに、青は妙に意識してしまう
青「……ほとけ」
水「なに?」
青「近ない?」
水「……嫌?」
青「…………」
水が少しだけ顔を上げる
青と目が合った
水「僕は……嫌じゃないけど」
青「……そう」
水「いふくんは?」
青「……俺も」
小さな声だった
水「……え?」
青「聞こえんかったならええ」
水「聞こえた!」
青「なら聞き返すなや!」
水「だって……」
水の顔が赤くなる
青も、耳まで赤くなっていた
水「……いふくん」
青「なんや」
水「こっち向い て」
青「嫌や」
水「なんで!」
青「恥ずいから」
水「……いふくんでも恥ずかしいんだ」
青「当たり前やろ……」
水がくすっと笑う
そして、そっと青の肩に頭を預けた
青「……ほとけ」
水「んー?」
青「……重い」
水「嘘。嫌じゃないくせに」
青「…………」
否定できない
むしろ、このままでいてほしいと思っている
しばらく沈黙が続いた
水「……ねぇ、いふくん」
青「ん?」
水「僕ね」
青「うん」
水「いふくんのこと……」
そこまで言って、水が止まる
青「……?」
水「……なんでもない」
青「なんやねん」
水「なんでもないってば」
青「気になるやろ」
水「……じゃあ、いふくんから言ってよ」
青「何を?」
水「……僕のこと、どう思ってる?」
青「…………」
心臓がうるさい
いつもなら適当に茶化せる
けれど今だけは、なぜかできなかった
青「……大事やと思ってる」
水「……!」
青「めっちゃ大事」
水は黙り込む
そして、赤くなった顔を隠すように青の肩へ顔を埋めた。
水「……ずるい」
青「何が」
水「そんなこと言われたら……もっと好きになるじゃん」
青「…………」
今度は青が固まる番だった
青「……は?」
水「…………」
青「今、なんて?」
水「聞かないで!」
水が慌てて顔を隠す
青はそんな水を見つめて
ふっと笑った
青「……ほとけ」
水「……なに」
青「俺もやで」
水「…………え?」
青「俺も、お前のこと好きや」
水「……っ」
水が顔を上げる
目が合う
二人とも、しばらく何も言えなかった
やがて水が小さく笑う
水「……じゃあ、もうちょっと近くにいていい?」
青「……好きにしたら」
水「ほんと?」
青「何回聞くねん」
水は嬉しそうに青へ寄りかかる
青も、今度は離れなかった
そっと水の頭に手を置く
水「……いふくん」
青「ん?」
水「もう一個、お願いしていい?」
青「……何」
水「……キス、したい」
青「…………」
水「……ダメ?」
青は少しだけ目を逸らして
そして、小さく呟いた
青「……一回だけやぞ」
水「……うん」
二人の距離が、ゆっくり縮まる
触れるだけの、短いキス
離れた瞬間
水「……顔赤いよ、いふくん」
青「お前もやろ!」
水「僕はいいの!」
青「なんやそれ!」
二人は顔を見合わせて 同時に笑った
青「……ほんま、うるさいなぁ」
水「いふくんだって!」
青「……でも」
水「?」
青「今日は帰るなよ」
水「……うん!」
その返事だけは。
今までで一番、嬉しそうだった
コメント
1件
寺島あおいです🌷 読ませていただきました。第1話からもう、二人の距離感が絶妙ですね。夜遅くに訪ねてくる水くんの「暇だった」に、本当は会いたかったんだろうなって思わされました。青くんの「好きにしたら」とか「一回だけやぞ」とか、照れ隠ししながらもちゃんと受け入れる感じがすごく好きです。口元緩んだり顔赤くなったりする青くん、可愛すぎますよ…!続きがすごく気になります🤍