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「高間さん……」
メールの差出人は巴さんに理不尽な理由で辞めさせられてしまった高間さんからで、風の噂で知ったのか、お店に嫌がらせをされていることを心配してメールをくれたようだった。
【嫌がらせを受けているって聞いて心配になって……。もし良かったら一度会って話をしない? 俺も出来る限り協力したいから】
個人間の連絡先を知らなかったからお店のアカウントへメールをくれたらしく、両親以外に頼れない状況の今、心配してメールをくれた高間さんが救世主のように思えて、【ありがとう! 私も、話をしたいから一度会いたい!】という内容と個人の連絡先を書いてをして返信すると、すぐに返事が帰ってきて、高間さんと会って話をすることになった。
数日後、相変わらず嫌がらせが続く中、仕事が休みだという高間さんと駅近くのカフェで会うことに。
「侑那ちゃん」
「高間さん」
「久しぶりだね」
「うん、本当に」
彼が上澤家を辞めさせられた日以降会っていなかった高間さんは思いの外元気そうで、以前よりも少しだけ筋肉質な体つきになったような気がした。
「侑那ちゃん、痩せた? 前から細かったけど、何だか凄く細くなったような……」
「そう、ですかね……。まあ、このところ色々あったから、食欲も無くて……」
「そっか、そうだよね。でもびっくりしたよ、まさか君まで上澤家を辞めていたなんて」
「だって、高間さんが辞めさせられた話を聞いて、流石にそれは酷いって思ったから」
「それって、俺の為にってこと?」
「え? あ、……うん、そう、かな」
「そっか。辞めさせられた時は現実を受け止めきれなかったけど、知人経由ですぐに就職先は見つかったから問題無かったし、侑那ちゃんが俺の為にそうやって仕事を辞めたなんて聞いて、驚いたけど嬉しいや」
「そう、なの?」
私が上澤家を辞めた経緯を知った高間さんは真っ直ぐに私を見据えると、
「――上澤家に居た時は言えなかったけど、俺、侑那ちゃんのこと、好きなんだ」
「え!?」
私のことが好きだったと告白をしてきたのだ。
「ごめん、突然で驚くよね」
「えっと……はい……」
突然の告白に頭がついていかず、こんな風に異性に告白されたのなんて初めての経験だから、どういう反応を見せれば良いかも分からない私が黙ったままでいると、
「別にすぐに返事が欲しいとか、今すぐ付き合ってっていう訳じゃないんだ! 俺の気持ちを分かって欲しくて言っただけだから、驚かせたならごめん!」
この場の空気を変えようとしてくれているのか、明るく笑顔を向けながら話してくれる高間さん。
「まあ、そういうことだからさ、困っている時は、頼って欲しいんだよ、俺のこと」
そして、自分のことを頼って欲しいと口にしてくれたのだ。
「あの、ありがとう。その、告白……については、ごめんなさい、すぐにお返事は出来ない……。高間さんのことを嫌いとかそういう訳じゃないけど、なんて言うか、恋愛対象として見たこと、無かったから……考えさせて欲しいの……」
「うん、それでいいよ。ひとまず友達から始めよう。ね?」
「うん、ありがとう」
そして、告白については一旦保留にしてもらい、友達という形で新たな付き合いを始めることになった。
その後は、お店の嫌がらせについて、出来る限りの対策を一緒に考えてくれたり、注目されている今、何か新しいことをやってみるのが良いのではないかというアドバイスをもらい、それを父とも話し合って、前々から考案していた新作のケーキを販売する計画を再度進行することに決めた。