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心地の良い夏の日、風が特に気持ちが良いと感じた。だがその一方夏の暑さは私の体力を淡々と奪ってゆく。たしかうる覚えで、外の世界では地球温暖化とか言うらしい―――意味は一切わからないが、少し堅苦しいような。畳の部屋に吹き込む風がお気に入りなのはこのせいだろうか。私は部屋で寝返りを打ってから大の字に寝転がった。かすかに聞こえる滝壺に水が叩き落ちる音に聞き耳を立て、私、國照籠志は天井を見つめていた。


「あらら珍しいですn」

そこまで言いかけて飛び起きた。輝代{てるよ}彼女はいわば私の監視役。思わず苦い顔をする。

「ぼーとしてたんですか?」

「ふふ(苦)・・・。君こそどうしたの?」

「んまあ、籠志様もお散歩でもしてきたら」

私は立ち上がり、「んねえ〜」と適当に誤魔化す。いつも部屋にいるからだろうか、周りの人間は外に出ろとやたらにうながして来る。仕方がないかのように、縁側から外に出た。私は腕を伸ばしてから神社(家)の表側に行った。するとそこに、彼の姿があり立ち止まる。まあ大体想像ついていた。いっつも決まってこのくらいの時間に来るからね。

「栄様今日も来ていたんですね・・・」

彼の姿が見えた時点でそういった。それを言い終わらないくらいでふと、下を見る―――


「栄尊!」

先ほどよりも大きな声でそう言いながら、彼の元に小走りで向かった。反応はいつもどうり。

そして、「ブローチ落ちてましたよ」とさっき落ちてた彼の蝶のブローチを渡した。

「これ可愛いですよね。アサギマダラとかですか?」

「・・・。アゲハチョウだけど・・・」

適当に言った私の言葉に対する尊の返しは鋭いし、どこか見下しているようだった。いや、見下していて当然である。彼の位(カースト)は私よりも高いしそもそも私は特急罪人のような立場だ。

尊は私の手からブローチを奪い、目で下の方を見た。



彼に出会ってもう何年くらいたつのだろうか?。たしか尊ご自身から役職柄近寄ってきた。最初は宴会のとき、たしか′ビール′という酒が話題になってたあの宴会であっていると思う。私がどのような人柄で、神々の楽園にはどのような影響があるのかを調べるためだろう。 たぶん。




私はさっと、手のひらを家の方向に向けて中に入るかどうかを聞いた。答えはわかっているけど――

使いに茶と菓子でも用意させておこうか、まあ勝手にしてくれるけど。

「――――――」

尊の反応はいつもどうりだ。相変わらず無口なのはキャラだからか、それかたんに話すのが苦手なのか。

私はキリっと顔を上げ、彼を客室まで案内した。

ただそれも本当は必要ないかもしれない。いや必要ない。私が尊を案内することは滅多にないからだ。なぜかというと、答えは簡単で彼は勝手にうちに来ては長時間客室で居座っているからだ。

正直迷惑ではない。さっきも言ったけど、栄尊の位は私の位よりも遥かに高いからだ。それが意味することはつまり出世のチャンスであること・・・。


「物n、d・・・。いや國照」

「!」

彼の声で目が覚める。どうやら客室についてからも考え事に熱中していたみたいだ。

「あっごめんなさい。あと、別にそうやって気を使わなくたってかまいません。私はもう采女(うねめ・豪族とかに使える女性)の上司でも、物部の族長でもなく、、ただの一柱の神様なので♫」

「なおさらだ。お前がお前自身の過去を葬り去ろうとしていることなど見てわかる。だからつい気を使ってしまうよ」

最後に吐き捨てるかのように彼はそう言う。たしかにそのとうりだ。

 正直このままでいいのかわからない。だって私に神をやるセンスなどほとんど無い。そう考えるたびに、神として完璧すぎた父に嫉妬する。父上かあ。父上もまた不思議な人だった。「不思議な′人′」と言ったが神々の界隈ではそれが普通かもしれない。今目の前にいる栄尊も私もよく人間味があると言われる。そう考えると我々が異常なだけかもしれない。





 父上は好奇心旺盛な子どものころの私にとっては、厳しい人だった。

父上は私に色々なことを教えてくれた。弓の使い方、神々の原理、磐舟に乗って空を飛ぶ方法、空が青い理由、地上から空までの距離。どれもこれも面白いものだった。ただ私が本当に知りたかったのは、「神々の社会」についてだった。天界や、神に存在するカーストについて知りたかった。でも父上はそれに間しては話を避け、話してくれなかった。

だから私は各局父が何者なのか知らないまま、急遽家督を継いだ。


たしかまだよわい8のときのことだった。

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