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○月△日 今日は新しい職場だ。前の職場は散々だったから、ここならうまくやっていけると思う。何しろあの施設はイカれてたんだ。俺だけじゃない。みんな頭がおかしかった。それに、ここに来ればきっと俺はやり直せる。こんなところで終われない。俺の人生はまだ始まったばかりなんだ。ここで終わらせてたまるか。絶対に成功させてやる。俺は選ばれた人間なんだ。今までだってずっとそうしてきたじゃないか。絶対に負けられない戦いがある。これはそのためにやらなくちゃいけないことなんだ。
だから邪魔をするな! あいつらは俺のことを分かってくれないくせに、いつも邪魔ばっかりしてきやがった。なんで俺だけがこんな目にあわないといけないんだよ……クソッ! もういい加減うんざりだ。俺が正しいんだ。あんなクズどもと一緒にされたんじゃ困るぜ。
そうだ、今度は失敗しない。今度こそうまくやってみせるさ。それでいつか必ずここから出て行ってやる。こんな場所で一生を終えるなんてまっぴらだ。だからもっと力を寄越せ! このクソみたいな場所から脱出するための力……お前たちの全てを奪ってでも俺はここから抜け出してみせる!
――そうして俺はあいつを殺したんだ。
「……」
夢を見るのは久しぶりだった。最近見ることも無かったというのに、どうして今日に限ってそんなものを見たのか、不思議だった。
(ああ、くそっ)
頭が痛い。気持ちが悪い。吐き気が止まらない。最悪の気分だった。悪夢の内容ははっきりと覚えている。何度も何度も見た光景だ。見飽きたなんて言葉じゃ足りないくらいに見続けた。もう慣れてもいい頃なのに。それでも一向に治る気配はない。いつも決まって同じところで目が覚めるのだ。何度繰り返しても変わらない結末を迎える。それがどうしようもなく悲しくて悔しくて、自分の無力を呪った。涙が流れ落ちていく。止めどなく溢れる雫が自分の顔を濡らしていく。