テラーノベル
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──────いえもん視点──────
しばらくの間、みんなはひと時の休憩を行う。こうしている間は、まさか神に反逆しようとしているなんて思えない。いつものみんながダラっとすごしている姿は、日常のように思えて、非日常でしかない。奇妙な光景だとは思うが俺も、その奇妙な光景の1部となって休むことにした。
──────身体中が痛い。骨が軋み、肉がちぎれるかような痛み。大動脈から細い血管に至るまでが足りない血液を必死に流し、俺を生かそうとせっせと働いている。さっさと治んないかな、なんて思っても痛みは増すばかりでどうにもできない。治療を誰かにお願いしても良かったのだが、周りも疲弊しきっていて頼める雰囲気ではなかった。頼めたとしても人間1人の痛みを治すことと、それに掛かる労力を考えれば引き受けてくれない気もする。つまるところ、安静にするしか方法はない、ということだ。
──────と、思っていたが。
「ん、いえもんさん。」
先程まで呑気に寝ていた八幡さんが話しかけてくる。心配してくれるらしい。そんな心を持ち合わせていたのか、と失礼だが驚いてしまう。
「うわぁ…ひっどい怪我ですね。本当に人間ですか?」
「ぞ゛う゛でずげど…」
思ったよりも声が酷く荒れている。上手く発音できず、濁音だらけの言葉の羅列としかならなかった。八幡さんが不意に宝石をだす。キラキラと輝くそれはなんの宝石かは分からない。ただその破片が俺の姿を映し出す。──────頭や、腕。足から何から何にかけても血が出ており、止まっていない。傍から見れば死んでいるとしか思えない姿に自分の体ながら、恐怖を抱く。───なんで生きているんだ。生きていることは確かだったが、あまりにも醜く彩られた俺の姿は見たくもなかった。
「くっふふw回復魔法をかけようとする前に死んだと思われて回復されなかったんでしょうねwもしくは…再生途中だと思われたんじゃないですか?だって、人間のくせに天使と対等に戦っていたんですからw」
───合点が行く。俺はもう人間だと思われていないらしい。まあ、確かにそうかもしれないな、なんて思ってしまう自分もいた。ノイズがいなければ確実に俺は死んでいた。当たり前だが、才能のない人間が───才能があったとしても人間が天使と、なおかつ対等に戦えるわけないのだ。出来ることと言ったら命乞いをするくらいだろう。なのに、戦い、命を取りとめている。───正真正銘の化け物だ。皮肉なものだ。人間として今まで頑張ってきたのに今は化け物の仲間入りだ。…種族が、化け物になったとしても、俺は、俺なのだろうか?
「まあまあ。いえもんさん。めめさんに感謝してくださいよ。めめさんのお気に入りじゃなきゃ…助けようなんて思いもしませんから。」
そう言って、金色の瞳が一瞬様々な世界を映し出す。高速で流れたその世界は、もう既に金色に染め上げられ、消えていた。───見間違いなのではないかと思うほど、一瞬だった。しかし、次の瞬間、体が急に軽くなる。
「…ぇ、あ?」
声も滑らかに出て、問題ない。腕、足、胴からも血がもう流れることは無かった。───俺は一目見て、完治していることがわかった。
「どんな力ですか…」
思わずお礼よりも先に困惑が出てしまう。戦闘もできて、回復もできて…もうなんでもありではないか。お前1人もう全部やってくれ、と言いたくなってしまう。劣等感が溢れて、零れてしまいそうだ。
「ふふっwそういう感情、好きだよ〜?そういう奴は強くなけど力に溺れるんだよ。見てて面白いwあぁ、回復させたのは私じゃなくてみぞれさんだよw騙されやすいね〜」
八幡さんがそう笑いながらひょいと横に移動するとみぞれさんが困惑と驚き混じりの表情を浮かべながら、ぺこりと一礼する。
「す、すみません。回復が遅れてしまって…。えと、死んだ人が突然目の前に現れたら怖いと思ってしまいまして…行きにくく…」
そう言って、言い訳を羅列しているように見えて、俺を気遣う言葉で溢れた言葉を送ってくれる。その優しさが身に染みるが、疑ってしまった分、申し訳なくて心がザワザワとするようなでも、言葉に表せない気持ちになる。
「こちらこそ、治してくださってありがとうございます。…え、待ってください。え、1度死んだ…!?」
「あ…!し、知らなかったんですか…!!す、すみませんッ知っているものだと…」
「あっはっはっw初対面の人みたいな態度ですねw!!だw大丈夫wですかw」
俺とみぞれさんが謙遜し合う会話をしていると、八幡さんがバカ笑いを始める。どこが面白いのか全く分からないが、空気が和らいだのは確かだった。
「と、とりあえず!治してくださってありがとうございます!あ、ちなみにどうやって治してくださったんですか?」
「全ての魂には属性が宿っていて、どんなにない人でもすこーしはあるんです!で、その身体内にある属性を活性化させて、再生力を高めてみました。上手くいって良かったです!」
…思ったよりも難しいことをしていた。…いや、属性を活性化ってどうやってやってるんだ…。精霊ってそんなことも出来るのか、と謎が深まるばかりだった───。
ここで切ります!今回は何回かに分けて書いたので文の繋がり方が歪かもしれません…。お許しください…代わりに!今回はちゃんと230話達成のイラストを描きました!ルーレットで…ウパさんになりました!!
それでは!どぞ〜⤵︎ ︎
加工無しVer.
加工ありVer.
…加工有り無しでだいぶ印象変わりますね。今回は色鉛筆ではなく色ペンで描いたので印象や、伝わり方、色の差異が分かりにくい気がします。代わりにパキッとしたイラストになれた…かもです。左側のイラストは、もう察せる方は察せるかもしれませんね。
それでは!おつはる!
コメント
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いえもんさんもう化け物の領域に両肩浸かってるな