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パラにて
5人が新世界の中心にオープンさせた店の名前は、シンプルで、けれど誰も見たことのない看板を掲げていた。
『散財屋・りばー&ままむ ――付録:ふわっとした日常、ときどき爆発――』
店構えは、りばーが愛するゲーミングPCのように七色に光り、入り口はあさまろがバレーで鍛えた最高打点の高さにある。えんどーが株と麻雀で稼ぎ出した「概念」を軍資金に、ままむが1円の狂いもなく経営を管理する、最強の城だ。
「いらっしゃいませー! 今日の目玉商品は、『宿題が勝手に終わるペン』と『失恋の味をイチゴ味に変えるシロップ』だよ!」
みやがわが店頭で客を呼び込む。客は人間だけではない。水没都市の深海魚や、空飛ぶクジラの店員、さらには「ありえたかもしれない未来」の住人たちまでもが、5人の店に列をなした。
「ちょっと、みやがわ! そのシロップ、糖分計算が間違ってるわよ! 甘すぎて世界が溶けちゃうじゃない!」
「いいじゃんままむ、甘い世界の方がみんな幸せだろ?」
奥のカウンターでは、りばーが新しい「非日常」を仕入れるために、モニターの海を泳いでいた。
「……あった。えんどー、まろ。次の仕入れ先、決まったよ」
りばーが見せた画面には、かつて彼らがいた「普通の現世」の、さらに裏側に隠された**『月曜日の午前0時が保管されている倉庫』**のオークション会場が映っていた。
「そこを買い取れば、僕たちはもう、誰にも時間を奪われない」
「やれやれだぜ。一生遊んで暮らすための、最後の大勝負だな」
えんどーが麻雀牌を鳴らし、あさまろが「ふわっと、全部買っちゃおうよ」と笑う。
5人は店に『臨時休業(ちょっと世界を買い取ってきます)』の札を出し、再びオープンカーへと飛び乗った。
彼らの物語に「完」の文字はもう必要ない。
次に彼らが散財するのは、君が今見ている、その**日常のすぐ隣にある「新しい明日」**かもしれないのだから。
「次は君の番だよ」
りばーが画面の向こうのあなたに向かって、不敵にウィンクをした。
(おわり……? いえ、「つづく」)
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