テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#学パロ
洋食派‼︎
93
白羽瑠璃 @✨️🎨 💕🧁✨️
3,372
『聖騎士と暗殺者』
僕が生前、愛してやまなかったBL小説だ。
アスランズ王国の王立騎士団団長であるシュメリ。
その命を狙って屋敷に潜入する暗殺者バルト。
二人は敵対する関係。
なのに。
バルトは最強の聖騎士にあっさり返り討ちにあい、屋敷に軟禁される。
同じ屋敷で生活するうち、二人は関係を深めていく。
(あの流れは、ハピエンの予感だったよなぁ)
僕はあの小説を最後まで読めなかった。
だけど、今はそれでいい。
(もし本当にここが小説世界なら、一番近くでエンディングを見られる)
ワクワクしながら、僕は肉を頬張った。
シュメリが出してくれたお昼は、なんとステーキだった。
猫缶とか出てきたら美味しく頂けるか不安だったけど。
猫魔って肉食なのかな。
(うまうま、うまー!)
最高過ぎる待遇のお陰で、僕は異世界転生を素直に受け入れていた。
「美味しいかい? リンネ」
「あにゃ!」
僕はめいっぱい元気な返事をした。
入院していた前世では絶対に食べられなかった。
僕のご飯は点滴だったから。
お肉なんて、子供の頃振りだ。
「あにゃ、あにゃ」
夢中になって肉を貪る。
「こらこら、そんなに急いで食べたら、喉に詰まらせるよ」
シュメリが僕の背中を撫でた。
「ゆっくり食べなさい。おかわりは、たくさんあるからね」
「にゃ!」
元気なお返事をして、僕はシュメリの手にスリスリした。
シュメリが、きゅと唇を噛んだ。
何というか、メロい存在を愛でる人の顔をしている。
「可愛い! 可愛いよ、リンネ!」
「ふぎゃ!」
シュメリに抱きすくめられて、変な声が出た。
かなり苦しい。
息が詰まって死ぬ。
「きゅぅ」
ぐったりと体から力が抜けた。
「あぁ! リンネ、すまない。しっかりして」
ひたすら優しくスリスリされて、息を吹き返した。
やっぱりシュメリは騎士団長で聖騎士だ。
綺麗な顔をしているけど、力が強い。
「はにゃ」
パチパチ目を開けたら、シュメリの顔がぱっと輝いた。
「良かった、リンネ。さぁ、大好きなお肉の続きをお食べ」
「にゃ!」
また良いお返事をして、僕は肉を食べ始めた。
この猫魔が肉好きで良かった。
「ふふ……」
僕の背中を撫でていたシュメリが、顔を上げた。
「そろそろ、来るかな」
シュメリが、空を見上げた。
その口端に、薄らと笑みが昇っている。
(来るって……あぁ!)
僕は、ピンときた。
午後から夜にかけて、暗殺者がシュメリを狙ってくる。
つまり、バルトが来る。
(シュメリのこの感じ……もう、何回か来てるんだ)
小説の中でもバルトは何度も襲撃に失敗している。
ついに三度目の夜、バルトはシュメリに捕縛される。
(小説の序盤じゃん! こんなに最初から、二人を見られるの? ラッキーすぎないか?)
ぼくの心が躍った。
胸キュンが止まらない。
「次は、どんな手を使って来るかな。ねぇ、リンネ」
「にゃぁ?」
どうして僕に話を振るんだろう。
シュメリとバルトにとって、僕は部外者のはずなのに。
「どんな手を使っても、私からリンネを奪うなんて絶対に不可能なのにね」
シュメリが僕の頭を撫でた。
(ん? 僕を奪う?)
そんな設定、小説にはない。
そもそも猫魔なんて、小説には出てこない。
脇役以下のモンスター的な扱いだったはずだ。
(そういえば、どうしてシュメリは猫魔を飼っているんだろう)
聞きたくても、言葉を喋れないから聞けない。
頭を撫でられていると気持ち良くて、気持ちがふにゃっとしてくる。
(気持ちいいから、まぁ、いいか)
特に深く考えず、僕はシュメリの優しい手に撫でられていた。
コメント
2件
あぁ!!なんて素敵な日なんだ!! 猫マジで好きでもう…神です!!好きです!! 体調とか気をつけながら書いてください!!
読みました〜! 第2話、すごく良かったです🥀 異世界でステーキ食べられるなんて、憧れちゃいますね。しかも聖騎士様に撫でられてスリスリ…尊すぎて胸がきゅんとしました。 でも、「僕を奪うなんて不可能」っていうシュメリの台詞、すごく気になります。小説の展開とは違う何かが起きそうで、ドキドキしちゃいます。 続きも楽しみにしてますね🤍