テラーノベル
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「おー、悠真! 朝から悪いな」
奥の部屋から亮が顔を出した。寝癖をつけたままパンを片手に持っている。
「ほら、咲。お茶出してやれよ」
「い、いいよ。長居するわけじゃないし」
悠真がすぐに首を振る。
亮は気にした様子もなく、「じゃあちょっと待ってろ」と部屋に戻っていった。
玄関に残されたのは、再び咲と悠真の二人きり。
「……」
視線が合いそうで合わない。
たった数秒の沈黙が、咲には胸を締めつけるように長く感じられた。
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