俺は、安心して眠ることができた。
〈2〉翔太の人生
親が出張から返ってくる日に僕達も家に帰った。
あの家にずっといたかった。なんでこの家に生まれてきてしまったのだろう。
そんな後悔が僕を襲ってきた。
でも、萌華のほうが可哀想だった。
両親が変わったのは萌華が生まれてからだった。
萌華は優しい両親を知らない。
僕が「妹がほしい」と言い続けたから
萌華が生まれた。生まれてから両親は変わった。
僕が言い続けなければ。今も僕と両親の3人で幸せに暮らしていたのだろうか。
そんなこと、考えたくもないな。
そんなこんなしている間に両親が帰ってきてしまった。そしてすぐ、萌華を迎えに行った。
萌華は防犯上の理由で、親が迎えに行くことになっている。
はぁ、もうこんな時間なのか。
あの家とは違う
冷たい氷水のような風呂に入り
コンビニ飯を食べ
1人用のカチカチの敷布団に2人で眠る。
こんな人生嫌だなぁ。
ずっと続くのかなぁ。
そんなことを考えている間に
両親達が帰ってきてしまっていた。
そして、「こっちへ来い」
そう言われた。
行って言われたことは「私たち、離婚するの。ほら、離婚届ももう書いちゃった…」
え…?離婚…?
僕は思わずそう口に出してしまった。
でも、僕が「なんで?」と口にする前に
両親の口は開いていた。
「翔太はパパについて行きな。
萌華はママについて来てね。」
そう言われてしまった。
「萌華にはもう新しい!パパがいるからね。」
「は…?」
「おい!?あかね(母の名前)!?
まだ離婚届けだしてねぇだろ!?
まだ俺達は”夫婦”なんだよ!」
「パパ…!ママ…!
喧嘩なんてしないでよ、
一緒にいられなくなる直前に…
少しくらい私たちの気持ち考えてよ!」
そう言われている両親の目には涙が溜まっていた。
こんなので泣くのか…?
なら、離婚なんてしなければいいのに。
「ごめんね。萌華…。」
「離婚届、出してくるな。
翔太たちも身支度しろ。
この家には二度と戻ってくることはない。」
もう、住む家まで決まっていた。
もちろん、別居だ。
こんなに決めていたのか。
なぜ、俺は気付かなかったんだ。
そう、自責する。
そして、引っ越し業者が来た。
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