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コメント
1件
もう展開が神すぎてやばい! 続き楽しみすぎる!
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暗雲の影響で見えない太陽が沈み時計の針が午後16時を差した頃。
すちは豪雨であったため部活の練習は中止となり少し雨に濡れたため風呂場がある脱衣所に向かった。
温かい水の中に足から入り、肩から下の身体を浴槽の中に入った湯が纏わりつく。
ブクブクと口から出される気泡を視界に収める。
翠( らんらん は 、なつくん の こと が 好きなのかな 。俺 なんか 、眼中 に ない … 。 )
翠「 ほんと に そ ぅ なのかな … 。 」
自身の眉を下げ、顔を曇らせる。
明らかに不安を感じているような表情でいつもの澄ました表情でいられずにいた。
翠『 あの傘 渡したのは なつくん と 相合傘したかったから ? 』
らんに傘を渡された出来事を思い出して脳内がもんもんとする。
でもすちはあの時のらんが嘘を吐いているようには思えないようだった。
翠『 じゃあ なんで … 。 』
すちは三角座りの体制を取って湯に浸かっていない間接の部分に頭を擦らせ髪をぐしゃぐしゃと濡らす。
湯より冷たく、それでもとても冷たいという訳ではない水滴が目尻から頬をつたった。
翠『 … … 俺 の こと 、好き に なってくれたら … 。 』
翠『 もっと 、気安く接した方 が いいのかな 。 』
改善策を箇条書きのように脳裏に浮かべていくがその中のものは解決の道へと導いてはくれなかった。
このまま長いこと考えていたらのぼせてしまうと判断したすちは一旦湯船から身体を離した。
翠『 今日 、… 食欲ないな 。 』
_
脱衣所から出てきたすちは少々毛先から雫が垂れている。そしてその雫で服が濡れないように真っ白のタオルを持っていた。
自身の部屋に行く為、階段を登ろうとしてあることを思い出したのか身体が一瞬固まった。
それからリビングのソファに体を委ねている妹に声を掛けた。
翠『 もう 自分 の 部屋 行くから 、今日 は 俺 夕飯要らないからね 。 』
_『 どしたの ? お兄ちゃん が 、珍しいね 。 』
翠『 ちょっと 食欲なくて 、母さん に 俺 が ごめんって言ってた って 伝えといて 。 』
_『 りょ − かい ! 』
翠『 ふふ っ 、ありがとう 。 』
すちの気に察したのか妹はそれ以上何も触れず明るく敬礼のポーズをした。
そんな妹にすちはその行動に軽く口角を上げて礼を言った。
_『 おやすみ 。 』
翠『 … おやすみ 。 』
それから二人の兄弟は少し早い夜の挨拶を交わした。
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すちは自室へ入って顔から勢いよくベッドへ飛び込んだ。
ボフッという音を立てて、ピンと伸ばされたシーツがかかったマットレスに身体を沈めた。
力を振り絞って箪笥の上に置いている羊のぬいぐるみを掴み枕に頭を乗せ、ぬいぐるみを胸元に当てた。
翠『 らんらん … 、今 なにしてんだろ … 。 』
翠『 スト − リ − 、あげてる っ 。飯テロ じゃん 、おいしそ − 。 』
翠( みことくん いいな 。毎日 らんらん の 作ったご飯 食べれるんだもんね 。 )
翠( 付き合ったり 、結婚したら … 。 )
掛け布団に潜りながらそんな叶わぬ妄想を繰り広げていると、一通のメールが表示された。
その相手はすちの恋い慕う人物だった。
〈 すち 、今度 さ 、二人 で 勉強会しん ? 〉
〈 できれば 俺 の 家 で 。 〉
〈 いいよ 、いつ ? 〉
〈 返信はや 、んえっと 明日 の 学校 終わって から で いい ? 〉
〈 帰り 一緒 に 帰って 俺ん家 行こ 。 〉
〈 わかった 。 〉
メールの文章をみて〈二人〉という表示された言葉に反応してすぐにメールを返した。
勉強会ということは近々ある中間テストの為のものだろう。すちは自覚はしていないが、頭脳明晰で説明もわかりやすいのである。
すちは好きな人が自分を頼ってくれたことで嬉しさで身体が浮くような感覚を覚えた。
〈わかった〉の後に桃色のうさぎのOKスタンプを送った。
〈 え 、なにそれ 、どこ で 手に入れたの ? 〉
〈 普通 に スタンプ 買うとこで 、らんらん みたいで 可愛かったから 。 〉
〈 なに 私 の 心 射止め に 来よう と してますのん ? 〉
〈 さすが スパダリ 。 〉
〈 名前みたい に 呼ぶな 。 〉
〈 笑笑 〉
すちが送ったスタンプにらんが反応を示し、すちは当然のように買った理由を答えた。
らんは少しはぐらかすように会話を続けた。
〈 すち 、また 空いてる時 とか あったら 二人 で 勉強会しようよ 。 〉
〈 いいよ 。 〉
〈 やった !ありがと !! 〉
あまり長続きはしなかったが、好きな人とメールで会話できただけですちはこれ以上ない幸福感に包まれた。
そしてすちは明日らんに教えるために勉強道具を机に広げた。
翠『 らんらん だったら 、英語 とか かな 、あと は 他 の 科目 の 細かい難しいとこ … 。 』
翠『 英語 を 重点的 に 勉強しよう 。 』
そう独り言を呟いて、すちは勉強を始めた。
_「 お兄ちゃん やる気 出てきたみたいだね 。 」
_「 恋 の 力 ってすごいわね 。 」
一方その頃、すちの妹と母親は扉の隙間越しにすちの様子を見て、安堵していた。
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翠『 今日 は 、勉強会 するから 学校 の ワ − ク とか 参考書 とか 、最低限 の もの入れないと 。 』
翌朝、起きたすちは珍しく慌ただしく準備をしていた。
そして学校へ行く準備が整うと箪笥の上にあるぬいぐるみと好きな人が映る写真立ての中の写真を眺め、微笑みを浮かべた。
翠『 いってきます 。 』
そう言って、すちは自室をあとにした。
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