テラーノベル
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ゆづねこ
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#死ネタ、流血表現、暴力表現
⚠️注意⚠️
・死ネタ
・不穏
・ttod
以上の要素が大丈夫な方はお読みください
ふと、空を見上げる。
電灯と勘違いするほどに明るい満月が浮かんでいた。
海の匂いがする。
あなたが思い出される。
煌々と輝く月を背にしてあたしのトラウマと化したあなたが。
脳裏にこびりついて離れない笑顔で、
ひどくあたたかく穏やかな声で、
確かにあたしに言ってきたのだ。
「odrkちゃん」
「だいすきだったよ」
あたしだってね。
大きくてすこし固いてのひらも、
あたしを包んでくれた腕も、
さわさわとそよ風にゆれる髪の毛も、
呆れたように綻んだ笑顔も、
あたしを見つめるやさしい瞳も、
全部全部大好きだったよ。
あたしがもっと早く気づけてたらなんて、
それはきっと絵空事で。
あたしに甘えられると知ってしまったら、あなたはきっともっと早くに踏ん切りをつけてしまっていたはず。
だからもうどうしようもなかったのだ。
少なくともあたしには。
ぬるい頬に残った感触が。
もうずっと耳の中で反響している響きが。
いまさら感傷に浸るには染み込みすぎていて。
踵を返す。
駅に行こう、終電はまだ残っているだろうか。
今夜は月が綺麗だから、月の道も見れるはず。
あなただって言っていた、夜の海は綺麗だって。
陸風に吹かれてそのまま踏み出そう。
あなたはきっと笑顔だよね。
昨日の月があまりにも綺麗だったので。
陸風って夜に陸から海へと吹く風らしいですよ。
コメント
4件
好きですありがとうございますぅぅぅ…神様ぁ…
「今夜は月が綺麗だから」というタイトルが、最後の一行でこんなに重く響くんだなって思いました。月明かりに照らされた海に向かう──その決意を、あたしは止められないまま読み終えました。特に「いまさら感傷に浸るには染み込みすぎていて」という一文に、諦めと確かな愛がぎゅっと詰まっていて、胸が苦しくなりました。続きを待ちます。