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「何だよ、改まって?」
「いやっ!」
突如として響いた悲鳴にエルテ博士は思わずマイクを取り落とす。画面の中で調査を行っていたアルファの姿はなく、そこには代わりに黒髪の少女が座り込んでいる姿が映し出されていた。その背後には先ほどまで画面に映っていた塔がある。ただしそれは少女の背後にではなく、正面に存在した。
「一体何があったんだ!?」
『わからない!急に現れて……』
突然の出来事だった。突如として黒い影が現れ、少女と塔を飲み込んだのだ。それはまるで暗闇そのもののような色をしており、それが何かを判断する事は出来なかった。ただ、少女はその闇に取り込まれ、飲み込まれてしまう前に何かを口にしていたように思われた。それが何かまでは判別できない。だが、エルテには直感的に理解できてしまった。あの闇の奥にいるものは危険だと。その正体を確認する必要があった。すぐにでも行動を起こさなければ手遅れになる可能性すらある。しかし、それは許されなかった。突如として出現した闇に対し、対応する事が出来たのはほんの一握りの存在のみだったからだ。エルテ博士を含む数人が即座に反応できただけであった。そしてまた、それだけの反応で十分であったのだ。
……これは一体どういうことだ? 我々は確かに先ほどまで建造物内部にいたはずだ。あれだけの大きさのものが消えるわけがない。消失というよりは……存在自体が消滅したような印象を受けるな。
同意。あちら側の情報を取得するための手段が必要だと思います。
そうですね。内部調査班を向かわせる必要がありますね。
了解した。こちらで座標を指定する必要があると思うが、良いか? お願いします。内部調査班の回収と同時に、次の目的地を指定したいと思っています。そちらについてはどうでしょうか。
ああ、問題ない。次の目的地はそちらに任せよう。