テラーノベル
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そのドローンは下腹に抱え込むような格好で長方形の大きなケースを運んでいた。いぶかしげに空を見上げている正源の横をすり抜けて、作業服の男二人は本堂の前に庭に入り、ゆっくりとドローンを地面に下ろした。
ドローンの回転翼が全て止まると、男たちはその大きなケースをドローンから切り離し、少し離れた場所に置き直した。
茫然と見ていた正源は、はっと我に返り、依頼者である高齢の女性を庭に招き入れた。
そばに立って改めて見ると、ケースは二メートル近い長さだった。人形と言うのは、実物大のやつなのか? 正源は戸惑った。
男たちがケースの上蓋を開けた。まるで棺桶だな、と思って正源は中を覗き込んだ。そして今度こそ、威厳を取り繕う事をすっかり忘れて、上ずった声で訊いた。
「ロボットですか、これは?」
そこに仰向けに横たわっていたのは、表面が明るいレモン色の、人間に似た格好のロボットだった。あの女性が申し訳なさそうな表情で言った。
「あら、昨日の私の伝え方が悪かったのかしら。ご住職さまに供養していただきたいのは、はい、この子です」
「これはもしかして、介護用ロボット? ではご主人が大切になさっていたとおっしゃっていたのは、そういう意味で?」
「はい、先月主人が他界いたしまして。享年八十二でございました。最後の八年ほどは寝たきりで、この子にずっと介護してもらっておりまして」
そう言われてみると正源にも見覚えがあった。十年前に日本初の本格的介護用ロボットとして市販が開始された、最初のモデルだ。
頭はまん丸く、二つの目の様に見えるのは非常灯のライト。人間と全く同じ様な形の腕と手があり、下半身は短く太く、足の先にはいくつもの小さな車輪がついていて、平らな場所ならすいすいと動く。直立すると高さは1.5メートルほど。
全体にずんぐりむっくりした形で、いかにもロボットという恰好で、今となっては時代遅れの旧式だ。
あの女性が顔いっぱいに不安そうな表情を浮かべて正源に問いかけた。
「どうも話がちゃんと伝わっていなかったようで。こういう物の供養は無理でしょうか?」
「あ、いえ」
正源はあわてて即答した。今後寺の支援者になってくれるかもしれない女性を、ここで追い返すわけにはいかない。
「供養するのはかまいませんが、これほど大きい物、それもロボットではお焚き上げが……」
コメント
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みぅです🤍🥀 第4話、じんわり来ました……。 お坊さんがロボットの供養を頼まれるって、すごく新しいテーマだし、でも「大切な家族を失ったおばあちゃんの気持ち」を考えると、すごく自然な流れに見えてくるのが不思議でした。 「棺桶みたいなケース」に横たわるレモン色のロボット、SFと仏教が交わる感じが独特で好きです。正源さんの戸惑いながらも追い返せない誠実さも、じわじわ伝わってきました。 続き、気になります🌙