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ガチャッ と軽快な音を立ててドアが開く。
篠)おあっ
タッタッタッ
篠)てら、てら!
現在0時を回ったところ。
どうしても、拓人の顔が見たくて、
おかえりって言いたくて。なんとかソファーでうとうとしてれば拓人が帰ってきた。
篠)おかえり!今日遅かったな
平常心、平常心。 逸る気持ちを抑えつつ、
落ち着いて話しかける。
寺)……
拓人はとろんとした目で
今にも倒れそうな足取りながら、も、
もつれもつれ、こっちに向かう。
寺)…ぎゅー
篠)………ゎっ
思わずへんてこな声が漏れてしまう。
篠)っっっっっ〜!
取り敢えず深呼吸。酸素を循環させねば。
篠)(かわいい)(かわいい)(かわいい)
篠)ん゛〜〜っ!!
何度見ても変わらない現実に悶える。
まさか、此処は天国なのか…。
篠)…かあいい、
うわ言のように呟く。
胸に抱きつく愛おしい天使に向けて、
篠)かわいい、かわいい、
一定のリズムで言い続ける。
言葉にしないとやってられない可愛さだ。
すると、
寺)おれ、かわいい?
篠)(喋り方が既にかわいい…!)
篠)かわいい。この世の何よりも。
俺の返答がツボに入ったのか、
笑いが絶えず聞こえてくる。
寺)んふふふ、んふふ…ふふ、んふ
寺)なんか、恥ずかしいね、笑
そう言って胸に顔を埋めて唸る。
篠)あのさ、
寺)なあに
優しい瞳が此方を向く。たとえ酔っていても、
律儀に人の目を聞いて話を聞いてくれる。
俺の大好きなところ。
篠)写真撮りたい
寺)え、あっ、いや……恥ずかしい……
家に入ってから今までのことを思い返してか、
目線をうろちょろ あからさまに困惑させる。
そこで写真が撮りたくなるように、
良さを説明する。早口で(大事)
篠)だ、だって、もうこんな可愛すぎる寺さん見られないかもしれないじゃん、スマホ、っていうすぐに写真が撮れる便利な機械があるのに、一生に一度の貴重な場面を写真に残さない
なんて勿体ないし…今は恥ずかしいかもだけど、きっと将来的にみたら良い思い出にっ、!
寺)わわっ、
寺)…わかったよー、そこまで言うなら?
成功。あの拓人でも言葉の圧には敵うまい。
今にも飛び上がりそうな気持ちを抑えて走る。
多分、ニヤけた顔は抑えれてない。
篠)すぐもどってくるから、!
たったったっ
先程、放り投げたスマホを拾って、戻…
折角だから水も持っていくことにした。
たったっ
篠)水も!持ってきた
寺)元気だねえ…
寺)お、ありがとう!流石しごでき
拓人に褒められると、何故だろうか、
凄い力が湧いてくる気さえする。
篠)へへ
拓人が水を飲んでる間にアプリを起動し、
篠)あっ、これをこう…して
寺)さっきと同じポーズ?でいいの?
篠)ん、そーそー
篠)…撮る、
カシャッ
一瞬、抱く力が強くなった気がした。
気になったけれど聞くほどではない。
寺)みーしてっ
寺)って、おれ、めっっちゃ顔赤い笑
篠)言ってなかったけど、
帰ってきたときからずっと赤いよ 笑
寺)えー!言ってよ!
しのに早く会いたくて、鏡もなにもみてない…
篠)んふありがと笑
篠)あと、匂いも、あれだよ、うん
寺)匂い……?匂い?
自分自身が纏っている衣服を一通り嗅ぎ
考える素振りをする。そして 思いついたように
寺)あっ?、!おれ酒くさい?!
俺的にはかなり強めの匂いだったが、
全然気付いていなかったらしい。 それもそうか、自分自身の匂いって他人に指摘されないと
気付かないなんてこともあるもんなーと。
篠)んー、うん、結構…ね
寺)うわー、引いた目しないで、!
すぐお風呂入るから、っ
寺)
拓人はまた自分の匂いをひっきりなしに嗅ぐ。
そして俺らは息ぴったり口を開いた。
寺and篠) てか
どちらが先に話そうか。
寺)あっどうぞどうぞ
迷っているうちに発言権は譲られていた。
篠)あっ、どうも…
篠)…おれら、ずっと玄関いない?
篠)そろそろ…中はいらん?、笑
寺)!あ、
寺)おれも全く同じこと言おうとしてた 笑
寺)入ろ!
リビングの時計をみれば、
かなりの時間話し込んでいたらしい。
でも、おかえり作戦(?)も決行できたし、
二人で笑って、写真も撮れたからヨシ!
こんな日々が続けばいいなーと、 暗闇の中、
隣で寝ている拓人を見ながら考えた。