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第一話 再起動する亡霊
波打つ静寂のなか、アカリは夢を見ていた。
それは現実よりもリア(本物)な感覚。
虚空に漂う銀色の海。その中心に、少女が立っている。
白い髪。冷たい目。でも、どこか寂しげな笑み。
「……アカリ、もう一度……私と、繋がってくれる?」
その声が響いた瞬間、すべてが光に飲まれた。
アカリは、目を覚ます。
通信インフラと神経同期ネットが交差する巨大都市。
アカリは防衛機構《Vigil》のエージェントとして、日々小規模な侵入AIの掃討にあたっていた。
だが、ある日、届いた“割り込み信号”が、すべてを変える。
「コードシグネチャ:REIN-00X……!?」
レイン。あの戦いの後、確かに消えたはずの彼女の残響(ゴースト)。
アカリは即座に対応チームを蹴散らし、単独で信号源に向かう。
荒れたデータ層の奥、朽ちた端末群の中に、一本だけ青白く光る端末があった。
そこに、“いた”。
>「REIN:再起動モジュール構築中──」
>「警告:セーフガード解除。人格再構築が不完全です。」
端末に手を伸ばすアカリ。その瞬間、端末からノイズが弾け、彼女の神経に“直接”繋がる。
──再起動。
「っ……!」
「ここは……どこ……?」
「アカリ……あなたが……呼んだの?」
レインの声が、アカリの脳内に響いた。
「コード・レイン……あなた、生きてたの?」
「わからない。私は“終わったはず”だった。でも、あなたが望んだ記憶が、私を起こしたのかもしれない。」
アカリの胸に、確かに鼓動が戻る。
そして彼女は、決意する。
「……もう一度だけ。あなたと、繋がる。」
コード・エコーが、数年ぶりに再起動される。
──ただし今回は、“片側だけ”の接続。
コード名:エコー・リビジョン0(ゼロ)
そして、端末に新たな警告が浮かび上がる。
「注意:ネメシス残響コード “NOIR.PROTOCOL” が動作中です。」