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赤 『すっかり秋だね〜』
少し寂しげな表情で呟く赤くん。
そうだね、と小さく返す。
赤 『あと…二ヶ月しかないんだね、』
青 『…っ、』
高3の僕たちは、12月が終わればほとんど学校に来なくなる。
入学した日が昨日のように感じるのは、今隣に歩いている君のおかげだろう。
-2年半前-
赤 『…あの』
青 『はいっ…』
赤 『お名前…聞いても良いですか』
青 『ぁ…えっと…青、です…』
赤 『青…くん』
青 『あなたは…』
赤 『あ、赤です…!』
青 『赤くん…』
赤 『よ、よかったら仲良くしてくれませんか、』
青 『ぇ…』
グイグイ来る彼に、僕は少しだけ怯えていた。
中学の頃いじめにあって、学校にもあまり通えていなかった僕は、友達をつくることが怖くなっていた。
嫌われるのではないかと。
この人はまた僕を裏切るのではないかと。
不安でたまらなかった。
赤 『…ご、ごめんっ』
赤 『嫌いには…っ、ならないで、』
青 『…!』
“嫌いにはならないで”
少し震えた声でそう言う君を見て、僕と同じ不安を抱えているのではないかと思った。
勇気を出して、声をかけてくれたのではないかと。
青 『もちろん…嫌いになんてならないですよ、』
赤 『っ…!』
青 『僕なんかでよければ…仲良くしてくださいっ、』
そう言うと、君は安心したのか一粒涙を流し、「ありがとう、」と言った。
青 『こちらこそ、ニコ』
最初はずっと敬語で、お互い話すたびに緊張するような関係だったのに、
時が経って、僕たちはまるで双子のような関係になっていった。
あんなに抜けなかった敬語も、今では使う方がおかしいと思えるようになったし、
「青ちゃん」「わんわん」
なんてあだ名までつけちゃって。
僕の高校生活が楽しかったのは、紛れもなく君のおかげ。
君もそんな気持ちだったら嬉しいけど。
赤 『これから…どうなっちゃうのかな、』
君との関係は終わらないのに、
僕たちはまた、3年前と同じ不安を抱えている。
だって…怖いじゃん。
距離が離れたら、心の距離まで離れてしまいそうで怖くてたまらない。
青 『…大丈夫だよ、』
根拠もない「大丈夫」を口に出来るようになったのも君のおかげ。
赤 『そうかな、笑』
君が笑顔を見せてくれるようになったのは、僕のおかげかな。
なんてね。
この先のことは誰にもわからないけど
一つだけ確かなものと言えば
君との友情はずっと続くってことだと思う。
そんなこと、恥ずかしくて君には言えないんだけどね。
だから、この言葉で誤魔化すの。
青 『大丈夫だよ、きっと』