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2023年10月02日

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赤 『すっかり秋だね〜』



少し寂しげな表情で呟く赤くん。


そうだね、と小さく返す。



赤 『あと…二ヶ月しかないんだね、』


青 『…っ、』



高3の僕たちは、12月が終わればほとんど学校に来なくなる。


入学した日が昨日のように感じるのは、今隣に歩いている君のおかげだろう。









































-2年半前-



赤 『…あの』


青 『はいっ…』


赤 『お名前…聞いても良いですか』


青 『ぁ…えっと…青、です…』


赤 『青…くん』


青 『あなたは…』


赤 『あ、赤です…!』


青 『赤くん…』


赤 『よ、よかったら仲良くしてくれませんか、』


青 『ぇ…』



グイグイ来る彼に、僕は少しだけ怯えていた。


中学の頃いじめにあって、学校にもあまり通えていなかった僕は、友達をつくることが怖くなっていた。


嫌われるのではないかと。


この人はまた僕を裏切るのではないかと。


不安でたまらなかった。



赤 『…ご、ごめんっ』


赤 『嫌いには…っ、ならないで、』


青 『…!』



“嫌いにはならないで”


少し震えた声でそう言う君を見て、僕と同じ不安を抱えているのではないかと思った。


勇気を出して、声をかけてくれたのではないかと。



青 『もちろん…嫌いになんてならないですよ、』


赤 『っ…!』


青 『僕なんかでよければ…仲良くしてくださいっ、』



そう言うと、君は安心したのか一粒涙を流し、「ありがとう、」と言った。



青 『こちらこそ、ニコ』












































最初はずっと敬語で、お互い話すたびに緊張するような関係だったのに、


時が経って、僕たちはまるで双子のような関係になっていった。


あんなに抜けなかった敬語も、今では使う方がおかしいと思えるようになったし、


「青ちゃん」「わんわん」


なんてあだ名までつけちゃって。



僕の高校生活が楽しかったのは、紛れもなく君のおかげ。


君もそんな気持ちだったら嬉しいけど。















































赤 『これから…どうなっちゃうのかな、』



君との関係は終わらないのに、


僕たちはまた、3年前と同じ不安を抱えている。


だって…怖いじゃん。


距離が離れたら、心の距離まで離れてしまいそうで怖くてたまらない。



青 『…大丈夫だよ、』



根拠もない「大丈夫」を口に出来るようになったのも君のおかげ。



赤 『そうかな、笑』



君が笑顔を見せてくれるようになったのは、僕のおかげかな。


なんてね。























この先のことは誰にもわからないけど


一つだけ確かなものと言えば


君との友情はずっと続くってことだと思う。



そんなこと、恥ずかしくて君には言えないんだけどね。









だから、この言葉で誤魔化すの。



青 『大丈夫だよ、きっと』








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