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俺は昔兵士だった。
何人もの人を殺した。
今も目の前で砕け散る仲間の姿を夢に見る。
軍医はそんな俺をPTSDとよんだ。
酒に溺れて女にのめり込む俺。
軍医は治療の一環としてSSTを勧めてきたが俺には集中力が続かない
だが、そんな俺にも一つだけ誇れる物があった。
それは軍隊格闘術の腕だった。
だがそんな俺も40歳だ。
精神も肉体も衰えた。
俺は無力だ。
俺には何も変えられない。
そう思っていた。
そんな中テレビで格闘技の中継がやっていた。
俺は暇つぶしに見ることにした。
他にする事もない。
テレビを見ると拳をぶつけ合う二人の男の姿があった。
試合は最終ラウンドで、あっさりアームバーで終了した。
『つまらねえ試合だな』
そう呟く俺。
勝った彼はマイクを手にすると
『私は元兵士でホームレスでした。私には何も変えられないと思っていました。でも、私は格闘技で自分の人生を変える事ができた。もしいまこのテレビの目の前で同じ境遇にいる同士よ。どうか希望を捨てないでくれ。解決策はきっとある。まだ諦めないでほしい。自分を信じるんだ。まだ闘志が残っているなら、共にリングで闘おう』
そう言って会場をあとにした男の背中は男気に満ちあふれていた。
『元兵士だったのか・・・』
俺と同じ・・・。
俺は酒をゴミ箱に捨て、携帯で近くの格闘技ジムを探した。