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獣が吠える声と、機械の音で目が覚めた。

周りの人がざわついている。


「爽やかな朝、わたしゃバスの運転手のカロン」

カロンと名乗った幼いお嬢さんの言葉でここがバスの中だと気がついた。

バス…ということはさっきの異世界転生トラック顔負けの人の引き方をした赤いバスだろう。


そんなことを考えていると、赤い目をしたおっさんが近づいてきた。

「朝じゃないけど爽やかだろうな。気分はいかがでしょうか?」

気分なんてどうでもいいように俺と時計頭に聞いてきた。

まあ普通のやつはバスの床に寝かされていていい気分なやつはいないだろう。

というか、時計頭はバスの座席に座りながら寝ていたのに俺は床だ。ブランケットもなしに。

俺が黙っていると時計頭が

〈私は…〉

と答えようとした。が、

「カチカチ言ってるな…はぁ、意思疎通ができないのはかなり困るんだが。」

と赤い目をしたおっさんが言った。


どうやら赤い目をしたおっさんには時計頭の声は聞こえないみたい。でも、俺やさっきの麗しき白いお嬢さんには声が聞こえていた。


「私はヴェルギリウスと申します。この言葉の意味がわかるなら何かしら理解を示した行動をとってください。ダンテと…黙っているあくま。」

時計頭はとりあえず首を縦に振っている。

俺はなんか腹立つので

「わかったよ、ヴェル?」

と、いきなり親しげに呼んでみた。これからもそう呼んでやろ。


ヴェルはそんなことを気にすることなく俺たちの反応を見て、カロンちゃんに発車を促した。

「出発するね。ぶるんぶるん。」

と言いながらカロンちゃんはアクセルを踏んだ。カロンちゃん可愛いな。

鈍い起動音と振動と共に窓の外が流れていった。


「あなたたちは誰だったか思い出せますか?」

そう、痛いところを突く質問をヴェルが聞いてきた。

森で走っている時よりも前が思い出せないのだ。俺と時計頭は首を横に振った。時計頭はよく聞くとカチカチ言ってる。

続いて

「記憶を取り戻したい、そうだろ?」

と質問してきた。俺たちは首を縦に振った。

思い出したいのだ。たとえそれが悪いものだとしても。


俺と時計頭が首を振って質問に答えていたのをみて、ヴェルは冗談めかしながらこれからジェスチャーで話すことを麗しき白いお嬢さんに提案した。

「ファウストは遠慮したいです。私たちがスムーズに身体を動かす事のできる状況が、それほど多くはなさそうですから。」

とお嬢さんが答えた。

この言葉から察するに麗しき白いお嬢さんの名前はファウストなのだろう。

ファウストさんは全体的に色素が薄く、儚いような印象だ。


ファウストさんは俺たちの方を向いて

「ダンテ。あくま。」

と声をかけてきた。

森にいた時からこの名前が出ていることから察するにどっちかが俺の名前でどっちかが時計頭の名前なのだろう。

まぁ、肝心のどっちが自分の名前かはわからないんだけど。


「ダンテは頭が時計のあなたの名前です。そして、あくま。あほげはえたあくまは床に座っているあなたです。…名前までお忘れになったのですね。」

ファウストさんがわざわざ教えてくれた。

………俺はなんてふざけた名前をしてるのだろう。あくまって悪魔ってことか?まじで変すぎる。

〈聞き慣れない単語だな。〉

と、ダンテが発言した。ヴェルには聞こえていないようだが俺には聞こえる。


どうやらファウストさんや俺たちにしかダンテの声は聞こえないようだ。

ファウストさんが言うには口があるから言葉を理解できるのは古い考え方らしい。

そして、ダンテの言葉は一人にでも囚人とやら全員にも伝わると言ってる。よくわかんないや。


囚人というのはさっき助けに来て全員やられた人達のことらしい。

囚人達が一気に喋り出したが、ヴェルがキレ気味のためみんな黙った。静かになった車内を確認したヴェルは俺とダンテに電子機器を渡してきた。Limbus-PADというらしい。電源を付けるとマニュアル、戦闘の指示の方法、そして囚人達の情報が載っていると思われるファイルがあった。だが、ファイルには囚人番号しか載っていないため誰が誰かわからない。

ダンテと俺が首を傾げているとヴェルが察した。

「自己紹介が必要な段階のようだな。それじゃあ軽い挨拶を交わす時間を与える。前に座ってるのから。始め。」


…To be continued

Saya家のバスは今日も騒がしい

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