テラーノベル
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馬車はやがて煉瓦造りの街並みに辿り着く。
出店が立ち並び活気ある街の中で止まった。
「ごっつ歩行者天国だけど大丈夫?」
「台湾とかアジア系だとザラにあるから大丈夫なんじゃない?」
「あ、それわかるわぁ。屋台とかあるよねあの辺は」
勇斗の言葉に舜太も笑った。
馬車を降りるなり柔太朗は大きく伸びをし、続けておりた仁人はゲンナリした顔でおりた。
「いやあ、結構凝るな。馬車って」
「腰痛い…」
そのあとから続けて太智も降りて、「おー!」と歓声をあげた。
「なんかあれやんな、ディz…」
「ストップストップストップストップ」
慌てて他の4人が太智の口を塞いだ。
「一旦そのボスの言ってたその人探してみる?」
柔太朗の言葉に舜太も「せやな」と頷いた。
「じゃあ別れよ、ここで2・3でちょうど良くない?」
勇斗が目の前指で1本の線を引いた。
「じゃあ俺あっちから回ろー!」
「待てお前ちゃんと前見ないと…!」
仁人の制止も間に合わず、案の定振り向いた矢先に街の人と激突した。
「うわ!」
「おっと」
「おーい」
「お前さあ…」
呆れ顔で仁人と柔太朗は舜太の頭をはたき、勇斗は急いでその男の元に駆け寄ると「すいません」と頭を下げた。
「いや、俺も前見てなかったから…ごめんごめん」
スマートに片手を上げて謝る人顔を見て、全員の時が止まった。
切れ長の瞳、ゆったりした服装、黒子の位置。
…これは間違いなく、トランプに描かれていた人物と合致していた。
固まるメンバーを見て不思議そうな顔をしている。
「…ん?」
「うわあ、めっちゃ似てますやん!」
太智が上げた声に、舜太を含め4人が目にも止まらぬ速さで太智に拳骨を喰らわした。
「ダメダメダメダメダメ」
「おま、えっ、バッッッッッッカじゃないの!!!!!???」
「言わん方がいいわそれ」
「一生口聞かん方がええな」
「だってこんなとこで時間取ってる方がアホちゃう?!!」
「…あのー、ちょっと話が見えないんだけど」
耐えかねた男は砂煙をあげる5人の間に入った。
「あははは、すげえ!!めっちゃ似てる!!」
男はものすごく飲み込みがはやかった。
人が良すぎた。
トランプの絵柄を見て楽しそうに笑っている。
「これいつ描いたんだろう、全然気づかなかった」
「俺らこの人たち探して道案内してもらえって言われてるんです」
…下手くそか。
渋い顔をする仁人をよそに、案外会話は盛り上がっていた。
「へえ〜!変わってんね、俺人生でそんなこと言われたことないわー。うーーーんみんなここんとこ会ってないからなあ」
考え込むように腕組みをする男に、「そこをなんとか…」と舜太が食い下がった。
しばらく考えて「あ!」と思い出したように声を上げた。
「この人なら知ってる。俺んちの近くでクリニック開いてるんだよねー。あと、この二人も行きつけのレストランのオーナーだから…よかったら案内しようか?」
「えっいいんすか?」
仁人が声をあげると男は「うん」とあっさり言った。
「いいよー、暇してたし。俺のことはカイって呼んでもらえればいいから。ついでにこの街も案内するよ」
「ありがとうございます!」
「あっ、でも…」
一斉に頭を下げれば、ニヤリとカイは笑って見せた。
「ただで、というわけにも行かないかぁ…」
「えぇ!?お金かかるんすか!?」
太智が不服そうにした。
舜太に「仁ちゃん、ジャンプしてみ」と言われた仁人は人知れず蹴りを舜太へお見舞いした。
カイは笑って、
「ウソウソ。金は取らないよ。ただ最近物騒でさ。近所のパトロールと合わせて人探しをお願いしたいんだよね」
「人探し?」
「まさにこの人」
カイがそう言って指差した先を勇斗が覗き込む。
目つきが鋭く、精悍とした顔立ちの男だった。
「端的に言うと、賞金首がかかってる」
「賞金首…」
5人は目配せした。
1番匂いそうだったのである。
「協力してくれる?」
「もちろんです」
「おっけ、交渉成立」
勇斗の発言に、後ろで太智と仁人は苦い顔で目を見合わせた。
柔太朗も「ぜひやらせてください」と重ねた。
「…これ、さらにだるい事象に巻き込まれただけの可能性ない?」
「パトロールの部分いる…?」
仁人と太智は苦い顔で目を見合わせた。
打って変わって舜太はワクワクした顔の様子。
「じゃあせっかくだし、一緒に回ろうか。美味しいとこ紹介するよ?」
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