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僕は何も知らない

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僕は何も知らない

1 - 僕は何も知らない

♥

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2023年09月06日

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『遠くに逃げよう』




『遠くに逃げよう』

そう言った相方は、僕を見て泣きながら、苦しそうな笑みを浮かべた。






僕は何も知らない










水side

__月__日

とあるグループが結成された。

今日はその顔合わせ。

「俺はリーダーのないこですっ、これからリーダーとして頑張ります…、」

「俺はイフ、得意はボイパと英語、リーダーを支えれるように頑張ります…、」

「俺は悠佑、歌うのが好きです、よろしくな……。」

始めに三人の挨拶が終わり、気まずい空気が漂う。

なんだか、皆やる気が無いみたい。

「りうら、です、歌が大好きです…よろしく、お願いします。」

次は僕の番。深呼吸をして、面と向かって言葉を発した。

「ほとけですっ…!ゲーム実況やってます、歌も大好きです、!仲良くしてください、よろしくお願いします!」

言い終えると、みんなビックリしているみたいに、目を見開いて、僕に視線を向けた。

「あの、ほとけっちって呼んで良い、?」

リーダーのないこっていう人が話しかけてくれて、すごく嬉しかった。

「も、もちろんっ!」

そこからいろんな話をして、あぁなるほどね?って感じの性格が見えてきた。ないこさん以外の人もそう、優しかったり可愛かったりカッコよかったり天然だったり、いろんな人が集まってるなって改めて思った。

そんな中、苦手なタイプの人がいた。

「あ、あの、えっ、と、初兎です、あ、ラップが得意です、…」

初兎っていう人。

容姿は申し分ないけど、性格は根暗。モジモジしてて、声が小さく、人任せ。僕が苦手…いや、嫌いなタイプ。


話している内に、気が合い、その流れで飲みに行くことになった。

近所にできた居酒屋さんに集合した。

少し家を出るのが遅くなり、小走りでお店に向かった。

…….到着した時、とある人物に視線を向けた。


初兎っていう奴だ。


「えっと、初兎くんだよね!」

「あ、はい」

「僕はほとけ!よろしく!」

「えぇ…よろしくお願いします」

ほらね、こんな暗い性格の子。

そんな目で見るなよ、

キモチワルイ

残りのメンバーも少し遅れながら到着した。


「今日は飲むぞ~!」

「ないこ酔いやすいんやから、」

「ないちゃん酔いやすいの!?」

「りうらは未成年やんな、酒は飲むなよ~」

「わかってる!」

「あははっww」

楽しかった。久しぶりだったんだ、この楽しいっていう感覚が。

けど、

「………..」

無言のまま、部屋の隅っこにいる初兎くんを見ると、腹が立った。



数分後、りうちゃんとないちゃん以外の皆はベロベロに酔っていた。

足元がおぼついたり、頭が痛かったり、

つい口が滑り、事実を吐き出してしまう。

「ボクっ、アンチがいっぱいおるんよ…ッヒック」

ずっと無言だった彼、初兎くんが言った。





そこからの記憶は、殆どない。




けど、唯一覚えているのは、



『遠くに逃げよう』

そう言った相方が、僕を見て泣きながら、苦しそうな笑みを浮かべた事。




終わるなら、2人一緒に終わろう、

そう告げた彼のぐしゃぐしゃの顔。





そして_____








白side



『イムくんは、僕の彼女や、』


『かのじょ、?』


『僕にとって、大切な人のことを言うんやで、』


『お兄さんのかのじょ!頑張る!!』


『僕はお兄さんやなくて、』


『初兎っていうんやで、』






『初兎ちゃんはお料理上手だね!』


『いつか僕もお料理してみたい!』


『イムくんはまだ危ないかな~』


『え~なんでぇ?』


『先が尖った危ないモノがあるからやで』


『え、こわい、!!』


『…笑』





〈ガタッガタガタッ

『………?初兎ちゃん、?』


『ッ!?イムくッ__』


グシャッ


『初兎ちゃん、なにしてるの?』


『この人は、悪いことをした人なんや』


『へ~…こわい、』


『こういう人に近寄ったらアカンで』


『はーい』

画像






ガチャッ


『ッ!何しに来た、!!』


『連れ戻しに来ただけ』


『なんで!!ないちゃんは人の幸せを壊すんか!?』


『そんなんじゃないッ!!』


『…バケモノ』


『そーですか、僕はバケモノですか』


『ちがう、』


『こんな狂った世界から、抜け出そう、?』


『狂っとるのは、お前らの方やんか』


『…初兎ちゃんは、何も悪くない』


『綺麗事?笑』


『そんなセリフ、不要や…』


グシャッ











狂った世界は、抜け出せない。

抜け出そうとしたら_____

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