『遠くに逃げよう』
そう言った相方は、僕を見て泣きながら、苦しそうな笑みを浮かべた。
水side
__月__日
とあるグループが結成された。
今日はその顔合わせ。
「俺はリーダーのないこですっ、これからリーダーとして頑張ります…、」
「俺はイフ、得意はボイパと英語、リーダーを支えれるように頑張ります…、」
「俺は悠佑、歌うのが好きです、よろしくな……。」
始めに三人の挨拶が終わり、気まずい空気が漂う。
なんだか、皆やる気が無いみたい。
「りうら、です、歌が大好きです…よろしく、お願いします。」
次は僕の番。深呼吸をして、面と向かって言葉を発した。
「ほとけですっ…!ゲーム実況やってます、歌も大好きです、!仲良くしてください、よろしくお願いします!」
言い終えると、みんなビックリしているみたいに、目を見開いて、僕に視線を向けた。
「あの、ほとけっちって呼んで良い、?」
リーダーのないこっていう人が話しかけてくれて、すごく嬉しかった。
「も、もちろんっ!」
そこからいろんな話をして、あぁなるほどね?って感じの性格が見えてきた。ないこさん以外の人もそう、優しかったり可愛かったりカッコよかったり天然だったり、いろんな人が集まってるなって改めて思った。
そんな中、苦手なタイプの人がいた。
「あ、あの、えっ、と、初兎です、あ、ラップが得意です、…」
初兎っていう人。
容姿は申し分ないけど、性格は根暗。モジモジしてて、声が小さく、人任せ。僕が苦手…いや、嫌いなタイプ。
話している内に、気が合い、その流れで飲みに行くことになった。
近所にできた居酒屋さんに集合した。
少し家を出るのが遅くなり、小走りでお店に向かった。
…….到着した時、とある人物に視線を向けた。
初兎っていう奴だ。
「えっと、初兎くんだよね!」
「あ、はい」
「僕はほとけ!よろしく!」
「えぇ…よろしくお願いします」
ほらね、こんな暗い性格の子。
そんな目で見るなよ、
残りのメンバーも少し遅れながら到着した。
「今日は飲むぞ~!」
「ないこ酔いやすいんやから、」
「ないちゃん酔いやすいの!?」
「りうらは未成年やんな、酒は飲むなよ~」
「わかってる!」
「あははっww」
楽しかった。久しぶりだったんだ、この楽しいっていう感覚が。
けど、
「………..」
無言のまま、部屋の隅っこにいる初兎くんを見ると、腹が立った。
数分後、りうちゃんとないちゃん以外の皆はベロベロに酔っていた。
足元がおぼついたり、頭が痛かったり、
つい口が滑り、事実を吐き出してしまう。
「ボクっ、アンチがいっぱいおるんよ…ッヒック」
ずっと無言だった彼、初兎くんが言った。
そこからの記憶は、殆どない。
けど、唯一覚えているのは、
そう言った相方が、僕を見て泣きながら、苦しそうな笑みを浮かべた事。
終わるなら、2人一緒に終わろう、
そう告げた彼のぐしゃぐしゃの顔。
そして_____
白side
『イムくんは、僕の彼女や、』
『かのじょ、?』
『僕にとって、大切な人のことを言うんやで、』
『お兄さんのかのじょ!頑張る!!』
『僕はお兄さんやなくて、』
『初兎っていうんやで、』
『初兎ちゃんはお料理上手だね!』
『いつか僕もお料理してみたい!』
『イムくんはまだ危ないかな~』
『え~なんでぇ?』
『先が尖った危ないモノがあるからやで』
『え、こわい、!!』
『…笑』
〈ガタッガタガタッ
『………?初兎ちゃん、?』
『ッ!?イムくッ__』
グシャッ
『初兎ちゃん、なにしてるの?』
『この人は、悪いことをした人なんや』
『へ~…こわい、』
『こういう人に近寄ったらアカンで』
『はーい』
ガチャッ
『ッ!何しに来た、!!』
『連れ戻しに来ただけ』
『なんで!!ないちゃんは人の幸せを壊すんか!?』
『そんなんじゃないッ!!』
『…バケモノ』
『そーですか、僕はバケモノですか』
『ちがう、』
『こんな狂った世界から、抜け出そう、?』
『狂っとるのは、お前らの方やんか』
『…初兎ちゃんは、何も悪くない』
『綺麗事?笑』
『そんなセリフ、不要や…』
グシャッ
狂った世界は、抜け出せない。
抜け出そうとしたら_____
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