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4月、俺は中2になった。新しいクラス、新しい担任、新しい教室、何もかも新しいに溢れる4月は、俺をわくわくさせてくれる。
昇降口に行くと2年の新しいクラスが貼り出してあった。俺は……2組か。がやがやする昇降口を横目に、俺は教室へむかった。
去年より登る段数が増えた階段さえも、俺をわくわくさせる要因だ。1階ちがうだけで景色が変わる。上に行く度、展望台みたいな気分が味わえるのかと思うととてもわくわくする。
既に開いている後ろのドアから教室に入ると、見たことある顔も、見たことない顔もいる。このクラスで卒業までか…。気が重いようなそうじゃないような。
もちろん俺は名簿番号が最後なので窓際1番後ろの席に座る。春の日差しが教室特有のでかい窓から入ってくる。あぁ、あったかい…。眠くなる…。
そう思ってウトウトしていた矢先、仮担任がクラスに入ってきて
「はい、2組のみなさんおはようございます。じゃあこれから着任式と始業式だから廊下に2列の名簿で並んでね〜」
と指示が出る。
あ、仮担任…去年の担任じゃん…。
ふわぁあぁ、とでかめのあくびをしながら廊下に出て並ぶ。あれ、名簿って何番で折り返すんだっけ?とか確か18番で折り返しだろとか25番どこだよ〜とかそんな感じの言葉がどのクラスでも飛び交っていた。
「じゃあ2組は私に着いてきてくださいね〜」という仮担任の声掛けで動き始め、階段を降りて体育館に移動する。さっきまであんなにがやがやしてたのに、移動の時は一丁前に静まるのな。
体育館に着いて、準備登校の日に今の3年生が準備してくださったであろう椅子に座る。
担任、どんな人なんだろうなぁ…。新しい先生、どんな感じかなぁ…。
そんなことを考えているうちに着任式が始まった。去年と変わらない校長が今年からこの学校に着任した先生を引き連れて俺ら2,3年の前に立つ。
俺はそこで1人の先生に釘付けになった。
端正な顔立ち、高い身長、ノーセットの髪の毛、紺色のスーツ、きっちり締まったネクタイ。
世の女子の気持ちが少しわかった気がしなくもない。一目惚れってこのことを指すのかぁ…。
ぼーっとその先生が紹介されるのを待っていた。正直、他の先生の紹介なんて右から左へ流し聞きしていた。
しばらくするとあの先生が紹介された。
「髙野清宗先生です、教科は技術科、今年から新任の先生です。よろしくお願いします。」
はぇえ、技術の先生なんだ…。てっきり理科とかそっち系だと思ってたなぁ…。たかのきよかず、かぁ…。漢字でどうやって書くんだろ…。たかのせんせい、担任だったらいいなぁ…。
着任式を無事に終え、始業式が始まった。俺の脳内はたかのせんせい、という単語で溢れかえっていた。たかのきよかず、たかの、、たかの…たかのせんせい…。
校長のながったらしい話が始まったことに気づかず、時候の挨拶があってねぇよと心の中でツッコミを入れながらもまだ頭はぼーっとしていた。
司会の教務主任の先生が
「続いては担任発表です、それでは先生方は並んでください」
という声をかけると一同がざわざわとし始める。先生たちがばたばたと並ぶ中、俺ら2年生も誰が担任だろうなとか、あの先生ならもう2年間終わりだわとか、そういう声が聞こえてくる。おい、そんなでかい声で言ったら先生にも聞こえんじゃねぇの?なんていう愚問は置いておいて。…いやいや、3年生の静かさよ。もう担任が変わらないことを全員見据えているのがわかる。
1年生はこの先生です、とか言う中にさっきの仮担任がいた。あ、今年度もまた1年生持つんだ…。正直1年の先生なんて今紹介されてもって感じなんだよ、早く2年の紹介しろよ。
そんなことを思っているうちに2年の先生の紹介に入って2年生全体がざわざわし始めた。
あぁ、1組は生徒間でロリコンと話題のあの先生か…。ご愁傷さま…。
「2年2組、藤澤涼架先生です。教科は理科です。」
「よろしくおねがいしま〜す」
途端、2組がざわざわと騒がしくなる。
え、普通に当たりじゃね?藤澤先生優しいらしいし。やったね。
…あれ?…ん?え、ええええええええ?!?!いるじゃん、いるじゃん!!たかのせんせい!嘘だろ?!奇跡じゃん!ここまで来たら!!
まさか、2年生の副担…?俺は胸の高鳴りを抑えきれなくなった。もう他のクラスの担任とかどうでもいい、はやく、はやく副担任を紹介して!!…いや、他のクラスの担任はどうでもよくないか。
「続いて副担任の先生です。髙野清宗先生、教科は技術です。」
「おねがいします!!」
…え?声めっちゃかっこいいじゃん。顔も見た目も良くて声も良いの?どういうことだよ。
さて、担任が藤澤先生、副担に例のたかのせんせいということで、俺の中2は最高なものになると保証されたわけだが。
友達、できっかなぁ。不安だな…。俺のことみんなはどう思ってんだろうな…。中2の最初から居眠りしかけてるやつって思ってんのかな…。
全ての担任紹介が終わり、全員が起立した。あぁ、校歌か。未だに覚えてないんだよな…。
うろ覚えのまま、なんとか4番まである校歌を歌いきった。そのまま教頭が挨拶しはじめる。
やっと始業式終わった。長かったようで短かったな。
俺ら2年2組一同は1列になって藤澤先生に引き連れられて教室へ戻るのだが、後ろに副担任が着いてきてくれて…。
…そうつまり、俺の後ろにはたかのせんせいがいるわけだ。
俺はあからさまに自信なさげに肩を落としてみた。
「…ねぇ君、新しいクラス、不安?」
「っえ、あ、まぁ…」
「俺、さっきも紹介されてたけど、髙野清宗」
「あ、えっと、俺は…若井滉斗って言います。若葉の若に、井戸の井、さんずいに日の出の日と光、とますで若井滉斗です。」
「へぇ、ひろとくんね。よろしく。ちなみに俺ははしごだかのほうの髙に、野原の野、清水の清、宗教の宗で髙野清宗。」
「あ、へぇ、字面かっこよ…。髙野、先生…。1年間よろしくお願いします。」
「ひろとくん、2組だよね?俺、2組なんだ。」
「っえ、?!そうなんすか、?!」
「驚きすぎな。笑 そそそ、2組の副担だよ。よろしくね。」
「っ、はい!!よろしくお願いします!!」
え…??なんか、なんか仲良くなれてる?なんかいい感じじゃない…??
中学2年のこの1年、もしかしなくも神回確定なんですけど…?!