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第三十六章 欲しかった言葉
最初に感じたのは、冷たさだった――
薄く、カーテンの隙間から光が差し込んで、鳥の囀りが聞こえる。枕元に居るはずの雪うさぎのぬいぐるみに手を伸ばすけど、いつもの場所にはなくて、また〝ひとりぼっち〟だった。
朝光の眩しさに、眉を寄せる。
どこかで、車の走る音。
遠く、誰かの話し声。
夜とは違う、乾いた朝の気配。
――ここ、どこだっけ。
ぼんやりとした頭のまま、瞬きを繰り返す。
白い天井。
整いすぎた部屋。
何処だよ……。
翔太💙「……っ」
喉が、ひどく渇いている。
身体を起こそうとして――
ズキッと足に、鈍い痛みが走り、思わず顔を歪める。
ヒールのまま歩いたアスファルト。
乱れた足音。裸足で踏んだ夜の冷たさ。
全部、遅れて身体に返ってくるみたいに。
翔太💙「……最悪」
小さく、呟く。
見慣れないベッド。
知らない部屋。
ウィッグはベッドボードに丁寧に置かれ、
ワンピースは皺のないようにハンガーに掛けられている。
――誰が、やったかなんて考えなくても分かる。
翔太💙「……らしくないんだよ、れん」
思ったより甘い声色になってしまい、頰が熱くなった。
触れたシーツは、冷たくて、やけに広い。
――置いて、いかれた。
胸の奥が、ひゅっと冷える。
あんな風に連れてきておいて、勝手に帰ったのかよ。
笑いそうになって、うまく笑えない。
翔太💙「……ほんと、最低」
そう吐き捨てながら、ドレッサーの鏡の中の自分と目が合った。化粧も落ちかけた中途半端な男物の下着一枚羽織った自身の姿がそこには映っていた。
翔太💙「誰だよ……お前」
シャワーを浴びようと静まり返った部屋を眺めた。
カサ、と。
小さな音がして、反射的に、振り返る。
翔太💙「……?」
部屋の奥。
ソファに、影があった。
片腕を枕代わりに蹲る、見慣れたシャツの皺、
――いた。
翔太の喉が、小さく鳴る。
翔太💙「……は」
思わず、力が抜けたみたいに笑う。
翔太💙「なんだよ……」
ぽつりと、落ちる声。
翔太💙「いるなら、言えよ……」
返事は、ない。
規則正しい寝息だけが、静かに落ちている。
……寝てるのかよ。
近づいたらいけない。
そう思うのに――
足は、勝手にそっちへ向かっていた。
近づくほどに、昨日の記憶が、じわじわと浮かび上がる。
強引な手。
低い声。
離された、あの瞬間。
翔太💙「……ばか、幻滅したんじゃないのかよ。何で帰ってないんだよ」
小さく、吐き捨てる。
ソファの前で、足を止めた。
無防備な寝顔。こんな顔、するんだな。知らなかった。
寒そうに蹲って、ソファに小さくなる蓮は何だか、可愛らしかった。
気付いたらソファの前に膝を抱えて蹲ってそっと、頬に触れていた。
翔太💙「優しいなんて……らしくないぞ――れん」
蓮の指先が、わずかに動く。
触れる理由なんて、どこにもないのに、温もりを求めるように伸ばした腕は、離すことができなかった。
温かい。
一瞬で、息が詰まる。
翔太💙「……っ」
確かめるみたいに、もう一度、なぞる。
さっきまで“いないと思ってた”体温が、そこにあるだけで、胸の奥が、ぐちゃぐちゃになる。
……なんで、ここにいんだよ。
置いていけって、思ったのに。
指先に、少しだけ力が入る。
――起きるなよ。
心のどこかで、そう願いながら、それでも、触れるのをやめられず頬を近づけ、唇を寄せた。
翔太💙「れん……」
――ぴくり、と。
ほんのわずかに、指先が動いた気がした。
翔太💙「……っ」
次の瞬間。
手首を、掴まれる。
蓮 🖤「……勝手に触んなよ」
翔太💙「……起きてたのかよ」
手首を掴まれたまま、動けない。
逃げようと思えば、逃げられるのに。
――逃げなかった。
一瞬だけ、迷って。
それから。
そっと、もう一度だけ距離を詰めた。
翔太💙「……っ」
言葉が、出てこない。
何を求めてるのか、自分でも分からない。
ただ――
指先が、勝手に動いた。
くしゃり、と。
蓮のシャツを、掴む。
翔太💙「……れん」
小さく、呼ぶ。
子どもみたいに、情けない声だった。
翔太💙「なんで、帰らなかったの?」
蓮 🖤「……さぁ、何でだろうな」
翔太の欲しい言葉は、くれない。
胸はドキドキと騒がしく、喉が詰まる。うまく、言葉にならない。
翔太💙「……ここ、いて」
視線を逸らしたまま、それだけを、絞り出す。
蓮の手が、わずかに強くなる。
蓮 🖤「いるじゃん」
翔太💙「離れたくない――」
蓮 🖤「どういう事か分かってる?」
廊下で、人が行き交う音がする。
動き出した、朝。
それでも、一緒に居たいと思って、一歩また距離を詰めた。
蓮 🖤「……好きじゃないなら、抱かねぇよ?」
低く、はっきりと。
突き放すみたいな言葉。
でも――
優しかった。
翔太💙「……わかんない」
即答だった。
考えるより先に、出た。
翔太💙「好き、とか……そういうの」
小さく、息を吸う。
翔太💙「……でも」
シャツを掴む手に、力が入る。
翔太💙「一緒に、いたい」
震える声。
翔太💙「……そんな理由じゃ、だめだよね」
沈黙。
ほんの一瞬なのに、やけに長く感じる。
それから――
蓮 🖤「……いや」
低く、息を吐く音。
蓮 🖤「悪くない答えだ」
そのまま、ゆっくりと引き寄せられる。
蓮 🖤「いいんだな?」
両手で蓮の頰に触れる。
それだけで、少しだけ呼吸が楽になる。
安心した――
……それが、蓮だからなのかは、分からないけど。
そのまま見つからない答えから逃げるみたいに、そっと、唇を重ねた。
一瞬、止まる。
それから――
応えるように、深くなるキス。
奪うんじゃなくて、確かめるみたいに、ゆっくりと。
翔太💙「……ん」
息が、混ざる。
近すぎて、逃げ場がない。
でも――
嫌じゃなかった。
蓮の手が、頬から首へと滑る。壊さないように、でも離さないように。蓮の手が、ゆっくりと背中をなぞる。確かめるみたいに。逃げないか、試すみたいに。
翔太は、目を閉じたまま――
そのまま、力を抜いた。
拒まない。
それが、答えだった。
蓮 🖤「止まらないけど?」
低く、確認する声。
翔太は、少しだけ迷って――
それでも。
蓮のシャツを、離さなかった。
翔太💙「……今は、一人じゃ歩けない」
その言葉は、小さくて。でも、はっきりと届いた。
蓮 🖤「……あぁ」
短く、答える。
蓮 🖤「俺がいる」
それだけだった。
でも――
それで、十分だった。
翔太💙「……ンンンンッ」
蓮の指先に力がこもると、引かれるようにソファに傾れ込み荒々しく唇が重なる。翔太が蓮の上に跨る形になると、蓮はニヤリと笑った。
蓮 🖤「どう?この方が俺らしい?」
翔太💙「起きてたのかよ」
蓮 🖤「ふっどうかな?優しいのが好み?」
くしゃ、と。
皺になるくらい、強く掴んだ。
翔太💙「バカ、やっぱ起きてたんじゃん」
翔太💙「……れん」
呼ぶ声が、甘く滲む。
自分でも分かってないみたいに。
縋るみたいに。
翔太💙「……ひとり、やだ」
ぽつり、と落ちる本音。
その瞬間、蓮の空気が、変わる。
ぐっと引き寄せられる身体。
さっきまでより、強い力。
でも――拒まない。
翔太は、そのまま受け止める。
蓮 🖤「……っ」
押し殺した息。
蓮 🖤「……そういう顔、すんなよ」
肩を抱く蓮の頰に手を伸ばした。
引き合うように寄せ合った唇。舌が絡み合い、求め、追うように翔太の舌が蓮の中で交わった。
水音が響く室内。
蓮の後頭部に手を添え、翔太は、自ら蓮を求めた。
蓮 🖤「ひとりにはしない」
低く、迷いなく。
背中に回された蓮の腕が、体ごと抱き締める。苦しいのに安心するその温かさに、その身を預ける。
蓮 🖤「……だから、ここにいろ」
翔太の呼吸が、わずかに揺れる。
蓮は、少しだけ目を細めて――
蓮 🖤「最初から言ってんだろ」
蓮 🖤「――俺のものになれって」
分からないくせに、
その言葉だけは――
欲しかった。
翔太💙「……れん」
何かに掴まっていないと、立っていられないところまできていた。それが目の前にあった温もりだからなのか、蓮の優しさに触れたからなのか――
蓮は、〝ここじゃ狭いな〟と言って優しく翔太を持ち上げると、ベッドに運んだ。子供のように蓮のシャツをギュッと掴んだ翔太。優しく頭を撫でた蓮は〝離れないから……離して?〟とクスッと笑うと、普段見せない蓮の柔らかい笑顔に翔太は、胸の奥がキュッと締め付けられるのを感じた。
翔太💙「れん……胸がドキドキする」
蓮 🖤「……遅ぇよ」
――どこまでが、正解かなんて分からない。
それでも。
離したくないと思った温もりを、
翔太は、初めて――自分から掴んだ。
蓮の唇はゆっくりと翔太の首筋を這って鎖骨をなぞると、リップ音を鳴らしながら余裕ありげに胸まで下りていった。
筋張った手が翔太の顎を押して人差し指を一本、口の中に忍ばせてくる。
そうして痛くない程度に舌を押さえた指は、じわじわと奥に手前にと抽挿を繰り返して唾液がたまり始めた翔太の口内をまさぐり続けた。それと同時に右の胸の蕾に蓮の舌先が触れる。
翔太💙「あっ……ぐっ……ハアッ……れっ……ん」
舌はその上をこねて唇はそれを吸いながら、どこまでも優しい愛撫を始めた。翔太は腕を伸ばして自分の目を覆った。
右の突起を吸われて、押し当てた舌先で上下に動かされる間に、ぬれた指が左の蕾に下りてくる。
唾液をまるで潤滑剤のように塗り込めながら、翔太の蕾はぬるぬると練り上げられた。
蓮はそうしてある程度立ち上がった蕾を人差し指の先でひっかいて、今度は親指の腹でなでる。
「……うっやだあっ」
目つきは荒々しく責めたてるようなのに、蓮の愛撫は柔らかでどこまでも優しい。
反応を試すかのようにじっくりと続けられる愛撫に、翔太はただただ流されていく。
左の胸をひっかきこねていた手は、時折みぞおちに沿って肌をなで下ろし翔太の体中をまさぐった。
翔太💙「ううつ」
蓮 🖤「ふふっ……後悔してる?逃げれば良かった?」
翔太💙「ンンンッ……」
蓮 🖤「逃げられないと思うけど……聞いてる?翔太」
胸に顔をうずめた彼の鼻先が肌に押し当たり、蓮が爪先を丸めて顎を上げる。優しく唇が重なり、応じるように舌先を伸ばすと、荒々しく吸い上げられ、涎が頬を伝う感触があった。
みぞおちに口づけをした蓮は、へその辺りに顔をうずめた。
翔太💙「れん……胸が……騒がしい」
名前を呼ぶと、蓮はそっと翔太の手を取った。下腹にまで何度も穏やかなキスを繰り返す。
そして翔太の体を抱き締めていた手を下ろして軽く脚をつかむと、再びその滑らかな肌をなで回した。
脚を広げ、内ももから舌を這わしゆっくりとまさぐる。
秘孔を暴かれた翔太は、片手でシーツを強く握って目をぎゅっと閉じた。
蓮は翔太のお尻の谷間に舌を這わした。
同時に指をねじ込んで秘孔に侵入した。
翔太💙「ンンンンッ……はあ、っれん……」
蓮 🖤「……ムカつくね……すんなり入っちゃったよ、どういう事かな?」
その間も翔太の秘孔を甚振る指は、一切止まらない。責め立てるような言葉とは裏腹に、蓮の指は優しく律動を繰り返した。
時折翔太の反応を見ては頭を撫でた。
蓮 🖤「もっと気持ちよくなって翔太……可愛いよ」
翔太💙「れん……っはあっ……もう挿れてよ」
蓮 🖤「まだだよ。ちゃんと解さないと……翔太綺麗だ」
蓮は優しく翔太の身体ごと抱き抱えるように、背中の下に腕を差し込んで肩を抱くと、思わぬタイミングで、指がもう一本押し込まれる。狭い内部が指で押し広げられていき、随分前の侵入を思い出したかのように少しずつほぐれ始める。
左右に開くようにして滑らかに動いていた指が、ある一点をじわじわとこすり始めると、翔太の体はだんだん
と熱を帯びていった。
翔太💙「うあっ……っ……ンンンンッ」
ローションを注ぎ、体温になじんでいた蓮の指は冷たくなったが、それも一時のことだった。
ぴちゃぴちゃという湿っぽい音を出して深く差し込まれた二本の指がそろって中をかき回すと、まるで愛液でも滴らせるかのようにして、とろっとした液体が秘孔に押し返されてシーツの上にぽたぽたと落ちる。
蓮 🖤「そろそろいいかな……翔太大丈夫」
こくり、こくりと頷く翔太の頬を、目尻を下げて撫でた蓮は、自身の熱塊を翔太の秘孔に押し当てた。
一瞬にして秘部が広がり、指とは比べ物にならないほどの大きな熱塊が押し入ってくる。蓮は翔太の両手を掴んで時折親指の腹で手の甲を優しくなぞりながら、ゆっくりと奥へと侵入した。
体内をぎっしりと満たす異物感に翔太の太腿はガクガクと震えた。
翔太💙「はあっ……全部入った?……」
蓮 🖤「後もう少しだよ……頑張って翔太」
翔太💙「ンンンッ……れん」
蓮は軽く眉をひそめながら翔太の脚をつかむと、ぐいっと自分に引き寄せた。
これ以上は入らないだろうと思っていた屹立が、予想だにしていなかった奥地まで押し入って内壁を広げていく。
蓮 🖤「ンッ!……やばいなっマジで持ってかれそう」
お腹の中が蓮のものでぎっしりと満たされた状態で動かれると、翔太は体ごと揺れた。
翔太💙「れん……イッちゃうよ……」
蓮 🖤「いいよ……翔太……俺はお前を……」
――言いかけて、止まる。
ほんの一瞬、息が揺れた。
それだけだった。
続くはずの言葉は、そのまま飲み込まれる。
〝お前を……〟
その先を、聞くことは出来なかった。
――その違和感を、考える間もなく。
腰を掴んだ手に引かれて、激しく突き上げた熱塊が奥に到達し、弓形に反った翔太の体、迸る蓮の汗が朝の光に晒され、二人は同時にベッドに果てた。
絡まる脚をコツンと弾いた翔太は、赤く染めた頬を恥じらうように、シーツを引き上げ顔を隠すと〝ねぇさっきなんて言いかけたの?〟と蓮の胸にちょこんと頭を乗せた。
蓮 🖤「さぁな……教えない」
翔太💙「なんで?教えてよケチ」
蓮 🖤「ふっ……翔太の気持ち聞く方が先だな」
シーツを再び引き上げ、下へと潜った翔太は、くぐもった声で〝好きっ〟と小さく、でもはっきり答えた。
シーツごとくしゃくしゃっと頭を撫でた蓮は、
蓮 🖤「また今度な」
そう言って、再び上昇してきた翔太を両腕でしっかりと抱きしめた。
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コメント
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あれ? くっついた??? てか、ここから怒涛のセンシティブ連チャン回????🤤🤤

皆さん優しいコメントありがとうございます😭自分らしく、ストレスにならない程度に楽しく描いていけたらと思います💙ありがとう🥺🥺🥺