コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「パルテナさま、今日の任務は――」
ってあれ?と辺りを見回すピット。いつも誇らしい笑顔を見せてくれる彼女の姿がどこにも見当たらない。一度、考え込んでみるが。
「…どこ行ったんだろう、パルテナさま。」
「まさか、なにか非常事態が…!」
「もしそうなら、必ずボクのところに来るだろうし。」
「パルテナさまの身に何かあったりでもしたら……」
「そんなの…ボクが耐えられない。」
「やっぱり、探しに行こう!」
心に決意を灯したピットはまず、聞き込みに参ったのが自然軍らだった。
ちなみに、光の洗車をどこからか借りて向かってったらしい。かつて、ブラピも混沌の狭間を開かせるために使用したのもそれだ。ピットの心であるパルテナのために。
来訪して早々、筋が通りやすいブラックピットに話を聞いてみる。
「パルテナさまが?」
「あぁ。またボクがしっかりしていないばかりに…。」
「ここには来てない…?」
「来てないぜ。」
「そうか…。」
「そんなに気になるなら、手伝ってやらないこともないが…」
「いいよ。自分自身の問題だから。ブラピは手出ししないでほしいんだ。」
「…どうなっても知らんぞ?」
「その時は……」
と、なにか独り言のように呟いた後、後ろから自然王たるナチュレが歩いてきて。
「またなにかやらかしたのか?」
「こいつのとこのパルテナさまがどうのこうのってよ。」
ピットを指で示しながらナチュレの顔を見る。
「うむ…混沌の遣いの仕業ではなかろう?」
「その可能性はありえなくはないかも。」
「だけど、パルテナさまのことだから…きっとなにか悩みを抱えてるんだと思う。」
「まぁ、色々あったからのう。」
「すべては、冥府軍のせいだけどな。」
腕を組みながらブラックピットは答える。その言葉を聞いたナチュレが頷き。
「で、そなたひとりで探す気じゃあるまいな?」
「そ、それは……。」
「でもこれは……パルテナ軍の問題なんだ。ボクの…ボクの責任なんだッ!!」
ピット…!!
二人の声が合わさって聞こえてくるがこの際、関係ない。歯を食いしばって光の戦車に再び乗り込むとパルテナを探しに飛び去ってしまう。フラッシュとシルバーの声をなびかせて。
そばで見ていたブラックピットとナチュレは静寂さとともに呆れを成していた。『協力』という言葉を無視したピットに奇跡は訪れない、と。
手綱を引きながら二頭のフラッシュとシルバーを見て、息を吐く。
ボクはここで何をしてるんだろう、パルテナさまを探して、探して、探しまくってるのに。と自分の事ばかり責めている。珍しいことだが。事態が事態、そう簡単には許されないことを…知っている。
「くそう…どこにもいない…」
「パルテナさま……」
もはや、心が折れかけ。はるか遠い場所に来てもパルテナは見つからない。行方不明、と言ったところだ。今まで、パルテナさまを心から守るため、命を賭けてでも戦ってきたと言うのに。それが全て台無しになってしまうじゃないか。ボクの苦労は…一体なんだったんだ、って思うほど。
「…!」
僅かに地が光ったように見えた。まさか、と思い光の戦車を地上に降下させる。いかにも、パルテナの匂いがプンプンしてくる。いわゆる、ボクの鼻といえど。
「いる……ここに、パルテナさま。」
「待っていてください、パルテナさま!」
「ボクが…ボクが必ずあなたをすく…うおっ!?」
それは唐突だった。いきなり、ピットの前に炎のような火花が散ってきたのだ。思わず、片足を上げてギリ後方へ下がり、前を見上げるとそこに居たのは。
「なぜ来たのです?」
“ピット”。
自身の名を呼ばれたことに感づいた。ようやく発見したと思うと警戒を衰えず、続けてパルテナの身に何があったのかと質問を。
「その前に…いいですか?」
パルテナの返事を待たずに続ける。
「攻撃してくるのもあれだけど、なにか…あったのですか?」
「なにか、とは?」
また質問を質問で返され、ピットは目を細めつつ、言葉を続け。
「朝からパルテナさまの姿が見当たりませんでした。それは…なにか悩みを抱えて」
片手に宿る杖を使用し、ピットにまたもや攻撃を仕掛ける。先程仕掛けた『爆炎の奇跡』で。
華麗にピットはその爆炎らを避けると「危ないじゃないですか、!」と一時身を引いて叫ぶ。
「あなたはなにもわかっていませんね。」
「え…?」
「何を抱えていると、そんなふうに思っていましたか?」
「いまのわたしは…違います、失望してるのですよ、あなたみたいな駄天使に。」
その言葉に心が折れかけたかのようにピットの表情は絶望とともに呆然と化していた。隙を見たパルテナが集中攻撃を仕掛け、ついにそれを食らってしまったピットが吹っ飛ばされていく。
「うわあッ!!!…うぐッ…。」
「あなたにはつくづく、愛想がついていたのですよ。わたしばかりに頼ってばかりで、意地っ張りで、自分だけが得しているその気分さ。虚しく思いますよ、ピット」
「ぱ、パルテナさま…それは…ち…ちが…!」
「お黙りなさいッ!!」
パルテナの奇跡は甘く見すぎては行けない。様々な奇跡を所持しているだけあって、実に恐ろしい。爆炎を喰らい続ける訳にも行かなく、何とか自力で体を起こすとダッシュで隣に回避するが、これがまた相手の攻撃が止んでくれない。ダメージを喰らいつつあるピットは片手に『パルテナの神弓』を構え、放とうとするが…無理だった。なぜなら、相手が女神だからである。パルテナだけには決して矢を放ちたくないと意地を張りながら歯を食いしばる。
「どうしました?あなたの力はこんなものだったのかしら?ピット」
「な……なぜ……なぜですかッ!パルテナさま!!」
「…?」
「たしかにまだまだボクは未熟で、哀れな天使。だけど!!」
そんなパルテナの前でピットは軽く笑顔を見せた。少しだけ、口角を上げて。
「…そんな辛い表情するなら、最初から言ってくださいよ。」
「……!!」
ピットのその言葉に驚きを見せるようにハッとするが。
「なにを…なにを、言うのですか。」
「ガマンしないでくださいよ。」
「ボクは……いつでもあなたの味方ですよ。パルテナさま!」
その場でついに片手に持つ杖を落とし、両手で顔を隠すと涙目線を見られたくなく、女神としての本心が崩れ落ちた。そんな彼女をピットが慎重に近寄ると神弓を下ろしてパルテナを優しく抱きしめる。温もりを分け与えながら。
「大丈夫…大丈夫ですよ。」
「う……ッ。ぴっ……ト。」
「ごめん…なさい。ボクが…ボクがしっかりしていないせいで。こんなにもパルテナさまを苦しめさせて…ッ。」
「それは……ッ。ちがいます…よ。」
「違わないです。でも…これからは…気を重くしないで、頼ってくださいよ。この…ボクを。」
「…………そう、します。」
「ありがとう……ピット。」
「そして…いっぱい、傷つけてしまいましたね。」
「その分……元気づけられますよ。ニヒッ。」
「まぁ……。」
ピットの笑顔にパルテナは思わず、涙を見せながら微笑ましく振る舞う。
今回ばかりはピットのおかげだと心の底から信頼できた。
彼がいないと私は……“生きていけません”。