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学校での日常
週明けの朝。通学路には制服姿の生徒たちが行き交い、ざわめきが広がっている。
チー牛君は鞄を肩にかけ、少し猫背気味に歩いていた。
その隣には、当然のようにボクっ娘がいる。
昨日も一日中一緒に過ごしたのに、今日も変わらず笑顔で話しかけてくるのだ。
ボクっ娘「ねえねえ、チー牛君!昨日のアニメ、やっぱ神回だったよね!あそこでもうボク号泣しちゃって……」
チー牛君「……通学路でそんな大声で語るなよ」
ボクっ娘「えー、いいじゃん別に!聞いてる人いないって!」
チー牛君「いるだろ、クラスのやつとか」
ボクっ娘「ふふん、じゃあいいじゃん。みんなに『ボクはチー牛君と仲良しです!』って見せつけるの♪」
彼は小さくため息をつきつつも、その口元にはかすかな笑みが浮かんでいた。
教室にて
始業前の教室は、まだざわざわとした空気に包まれていた。
友達同士で騒ぐグループ、スマホを眺める生徒、机に突っ伏す者――さまざまだ。
チー牛君はいつものように教室の隅の席に座り、鞄から教科書を取り出す。
すると当然のように、隣の席にボクっ娘が腰を下ろした。
チー牛君「……お前の席、そっちだろ」
ボクっ娘「いいじゃん、こっちの方が落ち着くし。ボク、チー牛君の隣が一番好きなんだ」
チー牛君「……周りの目があるだろ」
ボクっ娘「ふふっ、チー牛君ってほんと照れ屋だよね」
周りのクラスメイトは、最初こそ「なんであの二人が?」と好奇の目を向けていたが、今ではもう見慣れた光景のようで、特に何も言わなくなっていた。
むしろ「またか……」という苦笑が飛ぶくらいだ。
授業中のひとコマ
一時間目の国語。教師の声が単調に響く中、生徒たちの半分は舟を漕いでいる。
チー牛君はノートに黙々と板書を書き写していた。
その横で、ボクっ娘は机の下から小さくメモを差し出してくる。
――「昨日のキャラの名台詞思い出した!後で真似するね!」
彼は小さく首を振り、メモを返した。
――「やめろ」
しかしボクっ娘はにやにや笑っている。
教師に見つからないよう、二人だけの小さなやり取りが続く。
授業なんてそっちのけで、彼女のいたずらに振り回される時間は、どこか心地よかった。
昼休み
チャイムが鳴ると同時に、ボクっ娘は弁当箱を机に広げる。
そして当たり前のように、チー牛君の机とくっつけた。
ボクっ娘「はい、あーん!」
チー牛君「……教室でやるなって」
ボクっ娘「いいのいいの、カップルっぽいでしょ?」
チー牛君「……お前、ほんと人の目気にしないな」
ボクっ娘「チー牛君が気にしすぎなんだよ〜」
結局、周囲から「またやってる」と冷やかし混じりの笑いが漏れた。
彼は赤面しつつも、結局一口食べさせられてしまう。
チー牛君「……うまい」
ボクっ娘「でしょ?ボク、昨日の親子丼で料理スキル上がったかも!」
チー牛君「……それは俺がほとんどやっただろ」
ボクっ娘「細かいことは気にしない〜」
笑いながら頬張る彼女を見て、チー牛君は心の奥で「こういう時間も悪くない」と思った。
放課後
授業が終わり、教室のざわめきが少しずつ静まっていく。
部活に向かう生徒、友達と遊びに行く約束をする生徒。
そんな中で、ボクっ娘は当然のように彼の鞄を覗き込んでくる。
ボクっ娘「ねぇ、今日はどうする?また一緒に帰る?」
チー牛君「……お前、毎日そうだな」
ボクっ娘「だって、チー牛君と一緒が一番楽しいんだもん」
チー牛君「……俺は別に、面白いことなんてしてないけど」
ボクっ娘「ううん。チー牛君が隣にいるだけで、ボクは十分幸せだよ」
彼女のまっすぐな言葉に、チー牛君は答えられなくなる。
視線を逸らし、鞄を背負い直すと、彼女はにっこり笑って隣に並んだ。
下校途中
夕暮れの通学路。
ボクっ娘は今日も元気に話し続け、チー牛君はその隣で相槌を打つ。
周囲から見ればただの他愛ない日常だ。
しかし二人にとって、それは何よりも大切な「いつも通り」だった。