ジャックから呼び出しがあった
『ナワーブくんたまにはお茶でもどうでしょうか?とても天気がいいですよ』
電話越しから聞こえる心配気味な優しい声
俺は最近外に出れていないからなのか
心配されているように感じる
俺は行くと答え家を出た
カランと喫茶店の扉を開ける
『ナワーブくん、こっちです!』
奥からさっき聞いた優しい声が聞こえた
『大丈夫ですか?今日は天気がいいのに一段と冷えるそうですよ』
「そういえば確かに寒かったな。半袖で来ちまった。」
俺は外の天気を見るなり勝手に温度を予想して春服で来てしまった
『大丈夫です 帰りは送って行きますね 私のコートを貸しましょう』
「でもお前、そしたら風邪ひくぞ」
『お気になさらないでください、こう見えて今中身3枚着てますので』
そう言いながらニコッと笑った
申し訳ないがそうしてもらうことにした
ジャックの服装は焦げた茶色のコートにクリーム色のボリュームネックニット、そして黒いジーンズだ
「お前なにか話があって俺を呼んだのか?」
『? 話とはなんの事ですか?』
「お前急に呼んできたろ、だから、その、、なにか話があるのかと思って。」
『いえいえ 最近ナワーブくんずっと家に居るだけだと聞いたので誘ってみたんですよ。何か予定がありましたか?』
「いや、ないっちゃ無いけど、ところで誰から聞いたんだ?俺が家に居るって」
『ウィリアムくんからですよ』
「あいつか、」
ウィリアムは大学のラグビー部の部長だ
いつも元気でいつもうるさい。俺はあいつが少し苦手だ
少し話した後俺のポケットから振動が鳴った
電話だ
「悪い、少し席を外す」
『えぇ、構いませんよ、お気になさらず』
「悪いな」
応答ボタンを押す
「もしもし?」
[もしもし?ナワーブくん?]
「あぁ、お前か、イライ」
イライは占いを得意とするクラスメイトだ
部活は俺も知らない、
だがあいつの家は沢山の動物を飼っているから大きいという噂は聞く
「~~~~~~。」
[~~~~~~~~!~~~?]
「あぁ、じゃあそういう事で。」
[突然の電話申し訳ないね ありがとう]
「気にするな また何時でもかけてこい」
[ではお言葉に甘えて]
「あぁ」
ピッと電話を切る。話の内容は大学の先輩の卒業式の事だった
女子の出し物は決まったが男子の出し物が決まらなかったらしい。
俺はその話に約20分付き合ってしまった。
ジャック怒っているだろうなぁと思いながら戻ろうとした瞬間
〈よぉ兄ちゃん今一人ぃ?〉
約4人の男性に絡まれてしまった
「連れがいる。悪いが他を当たってくれ」
そう答え店へ戻ろうとした瞬間
パシッ
〈まぁまぁそんなケチケチすんなって〉
右手を捕まれ男の方へ引っ張られた
どうしようかと悩み窓ガラスの先を見てジャックが何をしているのか確かめる。ジャックは自分のコーヒーが切れたのか注ぎに行っていて俺には気づいてない。
〈おいどこ見てんだよ!!!〉
ゴッ
「うっ、、!おぇ、!」
運悪くみぞおちに拳を当てられた。
一気に吐き気が押し寄せてくる。今にも吐きそうだ。
〈兄ちゃん少し付き合えよ?〉
「ぁあ、、ぅえ、、、」
俺は急な殴りにびっくりして思考が追いついていないため返事ができなかったが、
〈返事は!!??〉
「ぁ、、は、、ぃ、あ、、、」
怒鳴られたので答えた。肩を捕まれ耳元で叫ばれる。痛い、腹も耳も、急に運が悪くなった、何故だ。
最悪だ。
無理やり連れて込まれた場所はあまり人が好んで通らない路地裏
ここはある日を境にゴロツキが増え一般人が通らくなったらしい
理由は俺も知らない
〈おいこいつどうすんだよ〉
〈決まってんだろ 顔も悪くないし小柄だからヤり捨てる〉
「ぅえ、、、ぁ、い、、」
気持ち悪い。早く家に帰ってゆっくりしたい。
〈あぁあ〜お前やりすぎだよ 苦しんでんじゃん〉
〈ヤれれば十分だろ〉
男はそう言い俺のTシャツを掴もうとする。
辞めろ、その汚い手で触れるな、、やめろ、!
「ゃ、、ゃ、めぇ、、ろぉ、、、、」
〈あ?何言ってっか聞こえねぇよ〉
ゴッ
「あ゛ッッ、、、!う、、、お、ぉえぇえ、、」
もう一度腹を殴られた
今度は2回連続 流石に耐えきれず吐いてしまった
〈汚ぇなぁ!〉
ガッ ゴッ
「お゛ッッ、、、!あ゛ぁ、、!い、てぇ、!!」
〈俺抑えとくからお前らヤれ!〉
最初は上をナイフで破られる。
黒い半袖の胸ポケット付きのTシャツがビリビリと音を立てながら破れていく。
〈おいこいつ胸ピンクだぞ〉
〈おいおいまじかよ〉
〈興奮してきたわ〉
〈派手にヤろうぜw〉
そう言いながら男は俺の胸へと迫ってくる。
嗚呼、俺はどうすることも出来ない。
誰か、助けてくれ。
その頃リッパーは
『ナワーブくん遅いですねぇ。念の為に持ってきた新作の小説も読み終わりそうです。』
少しミルクが混ざったブラックコーヒーを片手にリッパーは呟く
『まさか何かあったんじゃ。今日伝えると必ず決めていたのに、!!』
リッパーはバッグの中にある小箱を見ながら不安が積み重なる
今日こそはと思っていたリッパーは段々と青ざめながらレジへ向かい食事代を払った
ナワーブに貸すと言った焦げた茶色のコートを着てバッグの中に先程まで読んでいた小説を入れ、ナワーブが置いていったコート、メガネを持ち小走りで店を出る。
『家に帰ったのでしょうか。少し見に行きますか。』
ジャックは少し早めに歩きナワーブの住んでいるマンションへと向かった。
ナワーブの住んでいる階は3階の306号室
そこに向かおうとエレベーターに乗る。
306号室の前に着いた
ここにいることを祈りながらインターホンを押した
だが、何度もインターホンを鳴らしてもナワーブは出てこない。また電話を掛けた
『ナワーブくん…無事でいてくださいよ……』
そう呟きながらナワーブの連絡先に電話をかける
ブーッブーッと振動がなりながら電話がかかってくる
あぁ電話だ。早く出なきゃ、早く。
〈おっとぉ何してんの〜?電話〜?出ちゃダメだよねぇ〜?〉
ガッ
「あ゛ッッ!、、、カヒュ、、ヒュー、、、」
俺は顎を殴られその衝撃で下を噛んだ。そのせいか上手く喋れない。
ジャック、イライ、ウィリアム、、、、、、誰でもいい、、助けてくれ、、、
ピッ
〈あ、やべ〉
『ナワーブくん!?どこにいますか!?急に居なくなったから家に帰ったと思っても家にいないじゃないですか!?!?』
〈あれ〜?君だれぇ?〉
『………あなた誰ですか?』
〈このスマホの主くん犯してる人〜〉
『…場所を言ってください今すぐ行きます。』
〈言うわけないじゃ〜んw〉
〈おい!さっさと切れ!ここは分かりにくい場所だからって調子に乗るな!〉
〈あ、は〜い、、、んじゃ、怒られたから切るわあ、ばいば〜い〉
『あ、ちょ!!!』
ツーッツーッ
『分かりにくい場所…分かりにくい場所ということは人気がないということですよね、?………まさか。』
「んぁ、、っ!やっ、、めろぉ、、、!」
〈喘ぎ良すぎだろ〉
ずっと胸を弄られる。やめろ、やめてくれ、
自分でも聞いた事のない声が路地裏に鳴り響く。
暗い路地裏でずっと。
〈さっきから弄ってたらこいつ胸立ってんじゃん〉
「あ、、っ!ゃ、めぇ、、、、!」
〈もう下やってもいいよなぁ?〉
〈あぁいいぞ〜〉
〈んじゃ遠慮なく〉
そう言いながら1人の男が俺のズボンを脱がし挿れ始めた。
ズプッ ヌプププ…
「!?、、あっあっあぁ、、、」
こいつ、!?慣らさないまま挿れやがった、、、!終わった。あぁ。やだ、奥までやるな、!
誰か、!!!!
『ナワーブくん!!!!』
この声は、、、!
「じゃぁ゛、じゃぁ゛っくぅ、、、、!!」
〈あっ、こいつ、、返事するな!!!!〉
あ、殴られる、!!!
あれ、、、?
『あなた、、、ナワーブくんになにしようとしてるんですか???』
え、、、?この低い声、、、、ジャックか、、?
見上げるとそこには殴ろうとしてきた奴の手を止め、光が消えた目をしたジャックが立っている。
「じゃ、じゃっく、、、?」
『ナワーブくん大丈夫ですか?少し待っててくださいね。』
そう言いながら俺に微笑む。
〈あ?なんだおまえ〉
ジャックは俺を見るなり半分挿れてあるモノを見ながら舌打ちをした
そのまま俺を襲っていた奴の方を向いた
〈お前誰だょっっ!?ぁッ、、、かはっ、!〉
ジャックは返事もせず無言で4人の奴らを相手にする。
俺は戸惑ったがあまりにも強すぎるからか、目が離せない。
最後の1人を相手にした時奴は命乞いをし始めた
〈わ、悪かった、、!だから殺さないでくれ、、、!〉
ジャックはそれを聞いてもずっと真顔だった。
あの顔は見たことがない。ジャックの怒る姿なんで誰一人見た事ないんだ。
いつも紳士でニコッと笑った笑顔が印象的で声は優しい、
はずなんだ、、。
『うるさいですねぇ。勝手に人の者を盗ってってなんですか?』
声がいつもの優しい声じゃない。
あまりにも低すぎる。
なぜそんなに怒ってるのか分からない。
〈お前の者だって知らなかったんだ、、!
ゆ、許してくれ、!!!〉
相手は地面で正座して頭を地面につけ土下座している。声は震えてさっきまでの意気込みも無く涙目になっている。
『命乞いするぐらいなら人のものに手出さないでくださいよ 何と言われても許しませんよ』
ジャックは冷めた暗い瞳で相手を見つめる。
でも俺にはずっと見てる暇すらなかった
「じゃ、、、、じゃ、、っ、、、く、」
俺は凍え死にそうだった
さっきまで来ていたTシャツは破られズボンは無く、上着も持ってきていない。
『はぁ、、、今回だけ見逃します、次手を出したら殺しますよ』
ジャックはその言葉を放って相手をギロッと睨みつけた。
それから俺を焦げた茶色のコートで包ませた
その瞬間
〈死ねぇぇぇぇぇ!!!!〉
命乞いをしていた相手がジャックにナイフを向け後ろから刺そうとした
が
『そんなに死にたいんですか?』
ジャックは俺を左手で抱えながらナイフを右手で受け止め血が出ているのにも関わらずさっきと変わらずに冷めた暗い瞳で相手を睨みつけた
〈ヒュッッ………〉
バキッ……
〈あ゛ッッ、、、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!〉
ジャックは右足で相手の片足を蹴り転ばし相手の左足を折った
『そんなに死にたいなら死なせましょうか?』
俺は嫌な予感しかしなかった。
「ジャック、、も、もういい、、、捕まって欲しくない。」
俺はジャックのボリュームネックを掴みながらジャックにお願いした。
『、、、、はぁ、、足を折るだけで済んでよかったですね 顔覚えましたよ 今度手を出したら必ず殺しますので覚悟してくださいね』
ジャックはその言葉を放ったあと俺を両手で支えながら歩いて家に帰る。
相手がどうなったか気になり肩から後ろを覗く。相手は気絶して白目を向いていた。ジャックは俺の家かジャックの家かどっちに向かうか分からないがずっと無言で歩いている。
俺はふと支えている手を見た、右手からは血が流れて焦げた茶色のコートも一部が段々と赤く染まっていく。
「じゃ、ジャック、?」
ジャックの名前を呼ぶがジャックは何も言わずに歩き続ける。
そのまま冷たい空気が流れやがて俺も眠りについた。
𝐭𝐨 𝐛𝐞 𝐜𝐨𝐧𝐭𝐢𝐧𝐮𝐞𝐝…
コメント
1件
ストーリめっちゃ好きです!!