「友達」なんていらない。
だって、どうせ捨てられるんでしょ?
わかってるんだから。そんな罠で釣ろうとしたって。
友達なんか所詮薄っぺらいものなのだ。
どうせすぐ裏切る。
私を利用するためかもしれない。
なのにーー
私は今、「友達」というものに魅了されてしまっているのだ。
もう嫌いなはずなのに、どうしても目の端で追ってしまう彼女の背中は、いつだってかっこよくて、憧れで、大好きで。
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「みんな、ずるいよ」
私は一花にそう言った。
「嫌いなの!大嫌いなの!
みんななんか、大っ嫌いなの!
なのに、何でこんなに、悲しくなるの………?!
嫌いって言うたび、私の胸は、チクチクと刺されるみたいに痛くて。
おかしいよ、なんで、私、みんなのこと、嫌いなのに、、、、、、」
好きなんだって、心が言ってるの、と、からからに乾いた喉から声を絞り出す。
「嫌いになんて、なれないよ…………っ!」
手をぎゅっと握って、必死に言葉を紡ぐ。
「あれほど一緒に笑って、泣いて、話して、悔やんで、でもまた笑って、、、、」
ああ、私、こんなにみんなのこと好きだったんだって、改めて理解するようだった。
そんなキラキラしたい思い出を、
「嫌いなんて、思えないよ…………っ!」
ひっくひっくと声をあげて泣きじゃくる私に一花は背中に手を伸ばしてさすってくれた。
そして、優しい声で、こう言った。
「いいんだよ、なのは。素直になって。」
でも、私は首を振って、もう一度唇を開く。
「ダメだよっ…………!」
はっきりと、そう言った。
「絶対に言っちゃいけないのっ…………!」
一花に告げるその言葉は、きっと私自身に飛ばしている矢だった。
「だって、すずは私のことが嫌いで仕方ないんだから…………」
そうだよ、だから好きになっちゃダメなの。
嫌いにならなきゃダメなの。
すずだけじゃない。
みんな、私のことを嫌ってる。
息を吸い込んだ。
言わなきゃ、いけない。
私が諦めるために。
もうダメなんだってわからせるために。
「きっとみんなは私なんかいなくなってもいい存在なんだよ…………っ!!」
そうだよ、私はいなくなったってどうでもいい存在で、、、
「なのは!」
一花がそう、突然大きな声出そう言った。
顔を上げると、一花はまた泣き顔で、ぐちゃぐちゃの顔で、頬を涙で濡らしていた。
「なんで、そんなこと言うの!?
そんなの、わかんないじゃんっ……!
それに、もし、みんながなのはのこと、いらないって言っても、
私が、私がなのはを必要としてるの!」
途切れ途切れのその言葉はひどく聞き取りづらくって、
なのに、
一花の言葉は私の胸に、しっかりと届いた。
暖かな温もりと共に。
ぎゅっと抱きしめてくれた一花の手に、私は手を重ねた。
さっきまで冷たくて冷え切っていた手が、今はもう、暖かかった。