試合終了後、貴也は得点を奪うどころか、全くチームにとってプラスになるプレーができずに、悔しがった。
そこへ、天才青山がまた近づいてきた。
青山「君、本当に下手だよね。正直、監督もなんで君なんかを試合に出しているのか、さっぱりわからないよ。素人が活躍できるほど高校サッカーって甘くないと思うから、みんなの足を引っ張らないように、もっと練習してね。」
貴也は、青山の言葉に何一つ言い返せず、その日は帰宅することになった。
そして、翌日、貴也は自分はどうすればもっと成長できるのか、訪ねようと早稲田の元へ訪れた。
早稲田「貴也、昨日のプレーはどういうことなんだ?」
貴也はいくら自分のプレーが良くなかったとはいえ、早稲田がここまで怒っている様子とは予想もできなかった。
早稲田「お前、なんで俺がここまで怒っているのか、理解できているか?」
貴也「大変申し訳無いですが、全くわかりません。昨日のプレーは全く駄目で自分でも反省していますが、昨日、自分がフォワードなのに、全くシュートが打てなかったことでしょうか?」
早稲田「俺が怒っているのは、そこではない。俺が怒っているのは、お前が昨日、突然やったこともないポストプレーをしていたことだ。何か新しいことに挑戦することは良いことだが、お前、ひょっとして白鳥の真似をしようとしていたんじゃないか?」
貴也「はい、そうです。合宿で浦和ユースの白鳥さんのプレーに感動して、そうなりたいと思って、白鳥さんをイメージしてプレーをしていました。」
早稲田「やはり、そうだったか。いいか、白鳥の真似をすることは悪いことではない、良いプレイヤーの長所を盗めるのならたくさん盗め。ただ、それには段階や、その人の特徴に合うかどうかも考えなければならない。そして、ポストプレーは恐らく今のお前には全く合わないプレースタイルでもある。」
貴也「そうだったんですね。まだまだサッカーの勉強が足りないですね。自分はどんなサッカー選手を参考にしたら良いでしょうか?」
早稲田「そうだな、お前の圧倒的な強みはスピードなんだ。世界のストライカーなら、オーバメヤンや、日本人なら古橋亨梧なんかをプレーの参考にしてみたら良いだろうな。」
貴也「なるほど、自分の強みはスピードなんですね。わかりました、その2人を中心に映像を見て勉強したいと思いますが、どんな練習をしたら良いんでしょうか?」
早稲田「お前はまだまだ素人なんだ。だから、とにかく今は基礎練習をとにかく大事にしろ。成長期でもあるし、足元の技術はもちろんのころ、フィジカルトレーニングも欠かさず丁寧に行うんだ。」
貴也「わかりました。アドバイスいただき、ありがとうございます!今まで以上に練習に励みます。」
貴也は自分のスピードを活かすためには、どうしたら良いのか、とにかく映像を見て研究し、練習でも考えてプレーをするように意識して、森田とも個人練習を続けた。
数日後、森田といつものように1on1の練習していたとき、相手の重心の逆スペースに蹴り込んでドリブルをすると、あっさりと森田を抜けることに気づいた。
これはいわゆる、裏街道と呼ばれる昔からあるドリブルである。
しかし、貴也の場合、圧倒的な初速スピードにより、高校生レベルだとあっさりと抜けることに気づいてしまう。
森田は、貴也が裏街道をやるとわかっていても、追いつけないレベルなのだ。
貴也は自分の武器はこれだという確固たる確信を持つことができ、早く試合で試したくて、ウズウズしていた。
そして、夏のインターハイの出場をかけて、ついに決勝戦が行われることになった。
相手は、近年の最大のライバルと言っても良い、桐龍高校との試合だった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!