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春の朝、花音はいつも通りに制服を整え、静かな街路を歩いていた。桜の花びらが風に舞い、陽光が校舎の窓に反射している。

しかし、その日常は、ほんの数分のうちに壊れることになる。


花音の親友、凛。幼馴染でもある彼女から届いた知らせは、あまりにも唐突で、あまりにも非現実的だった。

「…凛が…事件に巻き込まれた…」


街角で起きた惨劇。人々のざわめき、救急車のサイレン、そして無数の目が向けられる凛の姿そのすべてが、花音の心に刺さる。

凛は助からなかった。事故なのか、事件なのか、それさえもはっきりせず、警察も学校も「不運」としか扱わない。


花音はただ、呆然と立ち尽くした。涙は出ない。ただ、胸の奥にぽっかりと空いた穴の冷たさだけが、現実の重みを伝えていた。

「どうして…こんなことに…」

誰にも聞かれず、誰にも慰められず、花音はただ、無力感に押しつぶされそうになる。


そんなある日、放課後の図書室で、静月がひっそりと花音に声をかけた。

「花音、知ってる? 昔から伝わる、時間を巻き戻せる書物があるんだって」


静月は神秘的に微笑み、古びた書棚の奥から一冊の本を取り出した。表紙には金色の文字で「時を戻す者の書」と刻まれていた。

「本当に…こんなものが…」花音の手が震える。

「使い方には代償があるって書いてあるけど…それでも、過去を変えられるかもしれない」静月は淡々と言った。


花音はその場に座り込み、本を握りしめた。凛を救えるのなら…

たとえ代償が何であれ、やるしかない。

頭の中で、何度もあの惨劇の光景がよぎる。

凛の笑顔、声、そして消えてしまった日常。


その夜、花音は決意を固めた。

「私は、絶対に…過去を変えてみせる」


静月はうなずき、花音の背中をそっと押す。

「でも、覚えておいて。時を戻すたびに、世界は少しずつ、歪むかもしれない」


その言葉を耳にしながらも、花音の瞳には希望と決意が光っていた。

夜が深まる中、少女たちはまだ見ぬ過去へ、足を踏み入れる準備を整えた。


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