第4章:揺れる気持ち、隠せない想い
昼休み。
購買でパンを買って戻ってきたら、友達の由香と美咲に囲まれた。
「ねぇねぇ〇〇〜、最近さ、亮くんと仲良くない?」
「そうそう!また手紙もらったんでしょ?」
からかうような笑顔に、顔が熱くなる。
慌てて首を横に振った。
「ち、違うってば!ただの、交換日記みたいなもので…」
「ふーん?でもさ、亮くんって基本クールで誰ともそんなことしないじゃん?なのに〇〇とだけ〜?」
「絶対、特別だよねぇ?」
「ちょ、ほんとにやめてってばっ!」
声が大きくなった瞬間。
すぐ横の席の亮くんが、静かにこちらを見ていた。
「……特別、かもな。」
低い声で、さらりと。
周りの時間が止まったみたいに感じた。
由香と美咲は「きゃーーっ!」って声をあげて飛び跳ねて、余計に顔が真っ赤になる。
「な、なに言ってんの亮くん!?💦」
亮は視線を逸らし、少し肩をすくめただけ。
でも耳の先が赤いの、見逃さなかった。
その日の放課後。
帰り支度をしていたら、カバンの中にまた一枚、折りたたまれた紙が忍ばせてあった。
――また、からかわれたな。
でも俺は別に嫌じゃない。
むしろ、ああいう時、否定される方が傷つく。
だから、つい口が滑った。
〇〇はどう思った?
震える指でその文字をなぞる。
顔が熱くて仕方ないのに、胸の奥がくすぐったくて、幸せで。
夜、部屋でペンを走らせた。
――否定なんてするわけないよ。
特別って言ってくれて、嬉しかった。
でもみんなの前であんなこと言うなんて、反則だよ。
顔真っ赤で、まともに亮くんの顔見られなかった。
封筒を閉じるとき、気づけば自然と笑っていた。
翌朝。
机に座ると、亮くんが隣に腰掛ける気配。
小声でぽつり。
「……今日、放課後。少し時間あるか?」
心臓が一気に跳ね上がる。
「え?……うん。」
亮くんはそれ以上言わず、前を向いてしまったけど。
視界の端で、彼の指先がかすかに机をとんとんと叩いていた。
――まるで緊張をごまかすみたいに。