テラーノベル
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シェアハウスに1枚のチラシが入ってた。皆で囲んで読んだそれには『夏祭りのお知らせ』と書いてある。どうやら近所の神社で夏祭りが開催されるみたいだ。有名なイラストフリー素材サイトから引っ張ってきたのだろう、色んなところで見かける顔の男の子やうさぎが楽しそうにりんご飴やたこ焼きを頬張っている。そのチラシをじっと見つめながらhrくんが呟いた。
「へぇ夏祭りかー、良いなー」
きっと心の底から思っている。ずっと彼を見てた俺には分かる。皆がそれぞれ散らばったのを見計らってから、そのチラシを忘れないように冷蔵庫にマグネットで留めておいた。
夏祭り当日「夏祭りデートしようぜ」と部屋に突撃した俺にhrくんは目を丸くした後で「しょうがないなぁ」と笑ってくれた。ほんとはめちゃくちゃ行きたそうにしてたの知ってんだぜ、冷蔵庫に貼ってたチラシ、チラチラ見てただろとは言わないでおく。hrくん怒ったらマジで怖いんだ。
シェアハウスから徒歩で10分ぐらいのところにあるその神社は既に大勢の人で賑わっていた。家族連れだったり、友達やカップルで来ていたり楽しそうだ。さぁどの屋台から攻めるかなーと物色していると屋台の列から離れたところに長身の二人を見つけてしまった、あれはmfくんとdnさんだ。二人は色違いの浴衣を着て、ひとつの綿あめを仲良く食べている。もう片方の手は繋がれていて親密さが見て取れた、どっからどう見ても立派なカップルだ。
『あいつら俺らがいないところではちゃっかりイチャイチャしてんのね。』
そう思いながら二人を眺めていたらその視線に気づいたのかmfくんがこっちを見て『げっ』て顔をした。失礼すぎじゃねーか?
「urさん?何見てんだ?」
「あ、いやっ、あっち見てみよーぜ」
「あーっ、hrくんとurさんじゃん!」
hrくんが二人を見つけないうちに移動しようと背を向けた時、後ろから無邪気なdnさんの声が聞こえてきてがっくりした。振り返るとdnさんとmfくんがこちらに近づいてきている。mfくんはニコニコ笑顔のdnさんの後ろで心底申し訳なさそうに俺に手を合わせていた。hrくんが2人を見て驚いたように声を上げる。
「えっ、dnさんとmfくんだ!」
「よお、おたくらもデート?」
「そー、urさんたちも?せっかくだし一緒にまわらない?」
あー…やっぱりそう来るかぁ、さよなら俺のhrくんとイチャイチャ夏祭りデートの夢…。心の中で泣いていると、きゅっと控えめな強さで手を握られる。俺よりちょっと体温の高いhrくんの手だとすぐに分かった。hrくんの顔を見ると何か俺に訴えかけているようだった。ずっと彼を見てた俺にはhrくんが今何を考えてるのか分かる。そしてhrくんと俺は同じ気持ちだ、絶対に。俺はぎゅっとhrくんの手を握り返して言った。
「あー…悪ぃ、今日は俺たち二人でまわるわ」
「そっかぁ、今度ダブルデートしよー」
そう言ってあっさりとdnさんは引き下がってくれた。バイバイをしてmfdnペアと別れると、hrくんがちっちゃな声でありがと、と殊勝なことを言うから俺はすっとぼけてやった。
「さぁ何のことだか?」
「…俺urさんのそういうとこ結構好きだわ」
「っえ!!?」
「ははっ、腹減ったなー何食べる?」
驚きのあまり声が裏返るかっこ悪い俺にhrくんは可愛く笑ってそう言い、屋台のほうへ繋いだ手をそのままに歩いて行った。
シェアハウスに帰り、mfdnカップルのイチャイチャぶりを皆に暴露してmfくんをマジ切れさせるまであと2時間。
コメント
5件
urりんhrくんのことすごい見てる溺愛してる!冷蔵庫にチラシ貼った辺り、めっちゃ愛を感じて良きです! そして浴衣デート組も、夏祭りで浴衣なんて、最早イチャイチャするしかないですねー可愛いー(*´ω`*)!
urhrもいいな…hrくん可愛… mfくんのできる彼氏感がすごい…てぇてぇです☆