「「「「「お邪魔しまーす!!」」」」」
「どうぞー」
次の日、学校が終わってからみんなで俺の家に向かった。みんなして今日はそわそわしてた。もちろん俺も。初めてだからすごい楽しみだった。
「涼太くんおかえりー!みんなもいらっしゃい!」
「あっ、ラウールさんだ!!脚長!!」
「よく言われるよーみんな手洗っておいで!」
そしてみんなで手を洗って、リビングに向かうとソファには目黒さんが、キッチンには向井さんがいた。
「お!みんないらっしゃい!夕飯つくってるから待っててなぁ!」
「わぁ…ありがとうございます!」
「いいの!俺おもてなしすんの好きやから!めめも!挨拶してー」
「…あ、涼太くんおかえり。みんなもいらっしゃい。座りっぱなしでごめんね。」
「わぁーめめさんやっぱりイケメンだ!」
「ふはっ、めめさんって初めて呼ばれたっ」
「あっ、ラウールさんがめめって呼んでたからつい。」
「いいよ。めめさんで。でもそれならめめの方が呼びやすくない?めめでいいよ。」
「じゃあ俺めめってよぶ!」
そう言って佐久間はにぱーっと笑った。…?何かもやもやする。俺の兄さんたちなのに…。…え?
「…ぇ?」
「ん?舘さんどうしたの?」
「あっ、いや、何でもない。俺トイレ行ってくる。」
「あ、うん…?」
動揺した気持ちを隠すようにトイレに駆け込み鍵をかける。ずるずるとしゃがみこむとキューっと胃が締め付けられる感じがした。
「…いった…」
嫉妬…したのかな、佐久間に。でもこれからは一緒にいられるわけだし、嫉妬する必要なんて…でもいつ捨てられるかなんて分かんないし…そんなことをぐるぐる考えながら胃の痛みに耐えていると、控えめにドアをノックする音が聞こえた。
「…涼太くん、大丈夫?」
「…目黒さん?」
「そう、中々帰ってこないから。…お腹痛くなった?」
「…や、大丈夫。すぐに戻るから…」
「…ねぇ、開けて。」
「…え?」
「いいから。あーけーて?」
そう言われ渋々ドアを開けると、心配そうな顔をした目黒さんがいた。
「…ほら、さっきより顔色が悪い。」
「…ちが、これは…」
「…俺ら家族なんだから我慢されると悲しいなぁ…」
「…っ、話すから…」
「…よかった。んで、どうしたの?」
「…さっき、佐久間と話してた…じゃん。」
「うん。」
「何か、もやもやして…俺の兄さんなのにって…」
「…え?」
「俺って面倒くさいなって思ったら胃が痛くなったの。それだけ。」
「…えっと、つまり、俺が佐久間くんと話してるのが何か嫌で、そんな自分が嫌になって胃が痛くなったからトイレにいた…ってこと?」
「…うん。面倒くさいでしょ、俺。」
「いや、そんなことない。むしろ嬉しい。」
「…え?」
「だってそれ程俺が涼太くんにとって大切な存在になってるわけでしょ?すごい嬉しい。」
「あ…」
「ありがとう。嫉妬してくれて。」
「…っ…」
「もう戻れそう?胃痛治った?」
「…うん、大丈夫。…ありがと、蓮兄さん。」
「!?」
「…呼び方家族になったんだから変えたくて、駄目だった?」
「ううん、すっげぇ嬉しい!」
そう言って目黒さん…蓮兄さんはすごく嬉しそうな顔をした。
「早く行こ、涼太くん。」
「うん。」
トイレから出て、2人手を繋いでリビングに向かった。
「あ、舘さんめめと手繋いで来た!」
「えーいいなー、俺も涼太くんと手繋ぎたい!」
「俺も!」
「ははっ、今度ね…ラウ兄さん、康二兄さん。」
「「…!?」」
「…破壊力やばいよな。」
「やばい。」
「やばいな。」
「…?舘さん普段なんて呼んでたの?」
「向井さん、ラウールさんって呼んでた。」
「めっちゃ他人行儀!?」
「そりゃあ、2人もびっくりするよね…」
「しかも向井さんに至っては急な名前呼び…」
「ってか、舘さん見たことない顔してるー」
「…どんな顔?」
「悪戯が成功した子供みたいな笑顔。」
「…えへへ。」
「涼太が可愛いー!!」
「え、ちょ佐久間っ…」
佐久間は俺に飛びついてきたかと思うと、頬と頬をくっつけてうりうりと擦り付けてきた。その様子を康二兄さんが真顔でカメラにおさめてる。
「ちょ、康二兄さん!撮ってないで止めて!」
「無理、可愛すぎる。」
「ラウ兄さん!蓮兄さん!みんなも止めてー!」
「仲良きことは美しきかな。」
「ラウールさんがおかしくなった…」
「舘さん可愛い。」
「照まで…」
「ちょ、佐久間っ、やめ、ぷぎゅ。」
「…はぁーまじ可愛い。」
「めめ…」
そんなこんなで、ようやく佐久間から解放され夜ご飯を食べた。毎回毎回ご飯が温かいのが嬉しくて泣きそうになるのはみんながいようが変わらない。そしてそれに気付いた蓮兄さんが頭をぽんぽんと撫でてくれるのも変わらない。食事も終わって、みんなお風呂にも入り、リビングで話している時、ふとふっかが話を切り出した。
「ねぇ、向井さん。舘さんって家ではどんな感じ?」
「ちょ…ふっか…」
「うーんとね…めっちゃいい子やで。周りを気遣うことができるし。」
「やっぱそうだよねー」
「直して欲しいところはないの?」
「直して欲しいところ?そやなぁ…」
康二兄さんはむむむと考え、あっと声をだした。
「強いてあげるならすぐ我慢するところと自己犠牲が強いところやな。」
「あー、確かに舘さんすぐに自分をおさえるよねー」
「この前も体調悪かったのに我慢して悪化させて痩せたもんねー」
「…反省してます。」
「ほんとにねーまじ復帰後の舘さん痩せすぎてびっくりしたもん。」
「まぁでもそんくらいかな。ほんとにいい子やと思うよ。」
「…っ…」
褒められることがなさすぎたせいか、耐性がついてなくて顔が赤くなる。頬を隠すように手で挟み、下を向いた。
「舘さん?どうしたの?」
「…褒められるの、慣れてなくて…」
「うん?」
「…恥ずかしい、という、か…」
「「「「「「「「「…」」」」」」」」」
「あの、何か言って…」
「まじ可愛い。」
「…へ?」
「まじ可愛いくないこいつ?」
「か、可愛いくないよ?」
「いや、まじ…はぁー…」
「翔太の語彙力が消えたね。」
「でも気持ちは分からんでもない。」
「えぇ…」
そんな会話をしているともう寝る時間になった。
「あ、そろそろ寝る時間やね。」
「ほんとだ。時間が経つのって早いね。」
「ここに布団敷こうか?涼太くんの部屋には入り切らんやろ。」
「そうだね。みんなで布団敷こうか。」
「ここで寝るのはいいんだけど、阿部ちゃんどうしよう?」
「阿部?何で?」
「寝た。」
「…寝た?」
「うん。」
「何時位に?」
「ふっかが話を切り出したくらいには。」
「はっや。」
「まぁ阿部は一旦ソファに寝かせといて、敷き終わったら運ぼうか。」
「はーい。」
こうしてみんなで布団を敷いて阿部を運んだ。
「おいしょっと…」
「ありがとう照。」
「ううん、大丈夫。じゃあ寝ようか。」
「はーい!おやすみみんな!」
「寝る前でもうるさいんだな佐久間は…」
「うるさいとはなんだ!」
「はいはい、おやすみー」
「軽くあしらわれた…」
うるさかったわりに佐久間はすぐに眠りについた。数十分経つとみんな眠りについて、起きてるのは俺だけになった。みんなを起こさないように起き上がり、廊下に座り込む。今日は1人の時間がなかったから少しくらいはいいだろうと思い、そのまま考え事をすることにした。そして考え事をしているうちにそのまま眠りについてしまった。
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みんなが涼太の可愛さに気づいてきている? 続き楽しみにしてます!