【キャプション】
*こちらstxxx様のnmmn作品です
*桃赤の表現アリ
*関係性が分かりづらい
青赤 兄弟(赤が一つ上)
青黄 友達(同級生)
桃赤 先輩後輩(赤が先輩、桃は青と同級生)
桃黄 友達(同級生)
匂わせ程度に出てくるやつ
橙紫(赤と同級生)
桃青黄の一つ上
*目線がコロコロ変わって分かりづらいです。
桃→黄→青→桃→赤の順番です
*ご本人様に関係はございません
*オチもないしひたすら桃さんが片思いしてるだけです。私は何が書きたかったのでしょう。
↓
眠たくなって、つい目線を下へ落とす。
ノートには書いた覚えのないへにゃへにゃの情けない字が幾つも浮かんでいた。
重たい瞼がどうしても閉じてしまいそうになり、気を紛らわそうと窓の外を見た。
あ、先輩のクラス体育やってる……
どうやら先輩のクラスは校外での体育だったみたいで、何やらサッカーをしている。
俺は急いで眼鏡をかけ直し先輩を探した。先輩の体育教師はいつも派手な桃色の服を着ていて、その桃色が校庭の端に見えたから先輩のクラスで間違いない。
先輩、どこだろう
今回ばっかりは自分の目の視力がほぼ皆無な事を酷く恨んだ。
よく目を凝らすと、周りより身長の低い見慣れた髪を見つけた。
丁度試合をやっている。赤いビブスを着た人が。
俺はこっそり窓を少し開けた。
そうした時先輩らしき人がゴールを決めて、ナイス莉犬!と声が聞こえた。
やっぱりあの人が莉犬先輩みたいだ。
先輩を見つめ直すと、またゴールを決めそうだった。
俺は先輩に見惚れ眠気も忘れその授業はずっと先輩を見ていた。
***
「るぅと、頼むノート見せてくれ」
顔の前で両手を合わせるさとみくんは深々と頭を下げた。
それからへにゃへにゃの字が浮かんだ真っ白のノートを目の前に広げられる。
「頼むこのザマなんだ。俺を助けてくれ」
「はぁ……しょうがないですね…」
僕はさとみくんを少し睨みながら自身の文字で埋まったノートを差し出した。
「サンキュー!!マジ神」
そう言ってノートを借りてくさとみくんを見たのは何回目だろうか。
「お昼休みには返してくださいね」
僕はそう言って席を立った。
廊下へ出ると、騒がしい人溜まりの中にとある人を見つける。
「あ!!るぅとくーーん!!」
ぴょんぴょん飛び跳ねてここにいますよアピールを出すころちゃんの方へと歩いた。
すると僕の顔が曇ってるのに気付いたのかどうしたの?と問われる。僕はため息を付いた。
「またさとみくんにノート取られたんです」
「えー?またー?」
くふふと笑いながら返すころちゃんも少し睨む。
今週何回さとみくんにノートを貸したことか。数学のノートに関しては一昨日貸したにも関わらず今日の朝帰ってきた。
昨日は数学がなかったから良かったが。
「あーあ、ノートパクられないかな…」
「流石に返してくれるでしょ、数学のノートはどうなったの?」
「今日の朝返ってきました」
おっそ、と言いケタケタ笑ったころちゃんを横目になんでいつもノートを取らないんだ、と疑問に思い始める。
腕を組み悩んでいると、今度はどうしたのと笑いながら聞かれた。
「なんでいつもノート取らないんでしょう?授業中サボっているようにも見えないのに」
「あー、どうせ莉犬くん見てたんでしょ。さっき体育だったからね」
あぁ、そういう事。
どうりでさっきの授業、さとみくんが窓をよく見ていた訳だ。
眠くて遂に埃でも見つめているのかと思っていた。
「そういう事ですか、」
「多分ね、」
ころちゃんと目が合うと、予鈴のチャイムがスピーカーに弾かれる。
そしてぞろぞろと廊下にいた人達が教室に帰っていった。
「あー、じゃあるぅとくんまたね、」
「ん!バイバイ」
ころちゃんとはクラスが違う為、軽く手を振って廊下で別れる。
僕は教室の隅っこの自分の席で必死にノートを写しているさとみくんを見て、くすっと笑った。
***
「さとみくん帰ろーぜー」
そう言って僕より高い上背の彼の背中をカバンで叩いた。
さとみくんは校庭の方を見つめて動かない。
おーい、と声をかけるとゆっくり振り返って、さとみくんは今度は僕を見つめる。
「おー…。帰るか」
「うん、」
さとみくんは何見てたんだ?と思い横に避けた彼の先程いた所から、校庭を見た。
するとやっぱり莉犬くんがいた。楽しげに莉犬くんは橙髪の先輩と話している。
ところが先輩が少し離れたところにいた紫髪の人を見つけると、莉犬くんに手を振ってその人の所へ駆けていった。
ぽつんと一人残された莉犬くんに、今度は僕が話しかける。
「りーぬくーーん!!」
僕は急いで上靴に履き替えて、莉犬くんの所へ走る。
「おーころちゃん!そっちも帰るとこかぁ」
莉犬くんはにっこり微笑んで僕の髪を触る。
僕と同じくらいの背丈では頭を触ることも簡単だ。
一緒に帰るか、そう莉犬くんに言われた時背後から名前を呼ばれる。
「おい!ころん!先行くな、って、…」
下駄箱から靴を履き替え出てきたさとみくんは僕を見て、いや、莉犬くんを見て一瞬固まった。
「あ、さとみくん!こんにちは〜」
そんなさとみくんにお構いなしに元気よく莉犬くんは挨拶をした。
するとぎこちない歩き方でこちらまでやって来た。
「…こんにちは、」
顔を赤らめて、僕の頭に手を置いて、そっぽを向くさとみくんは明らかにデレている。
不思議そうな顔をする莉犬くんに、ボクはため息をつく。
「あー莉犬くん、ボクせんせーに呼び出されてんだった」
「えー?何したのころちゃん」
仕方ないから、二人を一緒に帰らせてやろう。僕は適当に言い訳を付け校内に戻る。
その時、さとみくんの背中をトンッと押してあげた。
***
「やー、今日も暑いねぇ」
「ちゃんとお水飲んでる?」
「そういえばころちゃんがね、この前部活帰りに外で練習続けてたら熱中症なっちゃってさあ」
黙り込む俺に先輩が色々な話をしてくれる。
何やってるんだ俺、せっかく先輩が話しかけてくれてるのに。
さっきから先輩の話にへえ、とか。そうなんですかー、とか。
素っ気ない返事をする事しか出来てない。
「あ、のっ」
「んー?」
でも先輩は怒らないで、優しい眼差しを向けてくれる。
ん?とこちらを見つめた先輩の顔は、可愛すぎて今にでも爆発しそう。
「せんぱいも、…熱中症気を付けてくださいね」
「そうだねぇ、気を付けなくちゃなぁ。さとみくんもね!」
にこっと効果音が付きそうなくらい笑った先輩を見てはまた顔が熱くなるのが分かる。
それから分かれ道に行くまで、きっと俺の顔は赤いままだったと思う。
***
ぼふんっと枕に顔を埋めると、昼のさとみくんをブワッと思い出して少し恥ずかしくなる。
さとみくんはかわいい後輩で、俺と話すときいつも恥ずかしそうにしてるとこが特にかわいい。
「りいぬクン、何ニヤニヤしてるの」
風呂から上がったようで、肩にタオルをかけ髪を湿らせたころちゃんに冷たい目を向けられる。
「今日のさとみくん可愛かったなって」
半笑いでそう言うと、ころちゃんの目が更に冷たくなった。
何その顔、と言うと別にぃとゲーム機を手に取った。
それからピコピコと電子音を鳴らすころちゃんに問われた。
「にーちゃんはさとみくんが好きなの?」
「んー?好きだよ〜、かわいいし」
「…そっか、」
そうボソッと呟いて、ころちゃんはコントローラーを俺に手渡した。
それから一緒にやろ、と言われる。
ころちゃんとゲームするの、地味に久しぶりかもしれない。
俺はウキウキしながらテレビの前にクッションを置いて、その上に腰掛けた。